大阪経済大学 17歳からのメッセージReport2001

大阪経済大学 17歳からのメッセージReport2001 page 28/40

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大阪経済大学 17歳からのメッセージReport2001

26私の妹は生まれた時から脳に障害があるため思うように動いたり話したりすることができません。それでも養護学校へ通うようになってから、歯を自分でみがいたり、歩行器を使うことによってたくさん歩けるようになったりして、自分でできることの範囲がとても広がりました。そのたびに人間の可能性について考えさせられ、勇気づけられます。?しかし、その可能性とは無限ではありません、限りがあります。やはり外出する時には車イスが必要になります。そうすると、いろいろ不便だということに気がつきます。階段の近くにスロープがないから抱きあげないととか、狭い所だから車イスが通れないな、とか、でも一番気になるのは人の視線です。障害者だって「心」はあります。冷たい視線はきっと辛いはずです。だから私は、そういう差別意識というものを全ての人がなくし、障害を持つ人が住みやすいと思える環境をつくることが夢です。?県立知立高等学校(愛知県)?鬼頭香苗さん?共存?人類は歴史上、そして今もなお争いを繰り返し、被害は拡大し続けている。その対策として皆が愛と愛に包まれればいいと考えた事もあったが、その考えには大きな盲点、或は180度逆に近いものがある事に最近気付いた。人は近く、身内や近所といったものから普通愛していく。そうするとその遠い近いで愛に大小が生まれる。そして愛に大小が生じるが故に、憎が生まれる。それは自分が愛している(愛が大きい)ものを守るため、愛していない(愛の小さい)ものを侵し、犠牲をやむを得ずとするために生まれる。つまり大きな愛を肯定しようとするため結果、人を傷付けている。そこで21世紀に考えて欲しい。もう一度愛の形を。大き過ぎる愛がマジックミラーとなり、見えない愛の真実を。全てのミラーが剥れた真の心に対して本当に大事なものは何なのかを。そして、その答えを人、動物、生命…と広げていって欲しい。被害を広げてしまった我ら人類の手から。?県立松蔭高等学校(愛知県)?福岡賢一さん?愛の未来?大阪市立桜宮高等学校(大阪府)?釣谷日登美さん?命の重み?時代が進むにつれて、世の中はとても便利になってきている。私が一番便利だと思うものは携帯電話だ。あんなに小さな物で、メールのやりとりや電話ができて、すごく不思議に思うときがよくある。私は友達に何か用事があるとき、携帯電話を持っていない頃は電話で伝えていた。けれど、携帯電話を持ってからは電話をするよりメールの方が安くつくのでメールで伝えるようになった。そんな私のような人も少なくはないだろう。?でも私は友達とメールをしていて不安になるときがある。メールだと、顔も見えないから嘘だっていくらでもつけるから、相手の気持ちが本当なのか嘘なのかわからなくなるときだ。その点では、電話だと声の調子とかでわかるので電話の方がいいと思う。それよりもっといいのは直接会うことだけれど、それは相手の都合もあるのでなかなかできない。今、世の中がとても便利になる中で、人とのコミュニケーションのとり方をもっと見直す必要がある。私はできるだけ相手と直接会うか、電話で話すことを心掛けたい。?府立富田林高等学校(大阪府)?今西未佳さん?提言21世紀の社会について?この近年に、日本は目まぐるしいほど発展した。いわゆる経済成長のことだが、私は、二十一世紀を『精神成長』の時代にしたいと思う。日本は戦後から急成長をして、豊な国となったが、その反面に少年犯罪や殺人事件などで治安が悪くなって、不安になっている人も少なくない。特に少年少女の私たちの世代や、私たちよりも若い世代の精神状態が、不安定で、ちょっとしたことで暴力をふるったりして、殺人にまで発展する場合がある。日本はよくアメリカ合衆国の次の「先進国」だといわれている。しかし、日本人の気持ちも「先進国」といえるのだろうか。「発展途上国」といわれている所は、たしかに経済的にはまだまだ発展していないが、毎日を一生懸命家族みんなで協力し、支えあって生活している。それができるのは、お互いを思いやる気持ちがあるからである。最近の日本はどうだろうか。人への思いやりが失われているのではないだろうか。だから私は二十一世紀を『心が豊かな先進国』にしていきたい。心が豊かになるということは、みんなが安心して暮らす上でもっとも重要なことだと思う。?私たちが創る、二十一世紀なのだから、地球が輝くように、自分たちの気持ちも輝くようにしたい。これは、一人一人、みんなが大切にしていかないといけないと思う。?府立富田林高等学校(大阪府)?江本明貴子さん?二十世紀の社会へ?十七歳。?一昔前まで、これほどまでにすばらしく輝かしい響きを持つ言葉はないと思われていた。しかし今日、十七歳という言葉を耳にし、少年犯罪という悲しい事実を連想せざるをえなくなってしまった。彼らは命の重みを知らない。そして、「よくあることだ。」の一言で終わらせてしまっている大人達も命の重さを忘れてしまっているのではないだろうか。?六十五年ほど前、わずか十七歳前後という若さで命を散らした特攻隊の少年達。彼らは夢を抱き、人々を愛し、そして大切なものを守るため、逝ったにちがいない。彼らは誰よりも命の重みを知っていたにちがいない。?時代は移り変わり、徐々に忘れさられゆく過去のできごと。このまま風化させていいのだろうか。この世に永久不滅の命などない。だからこそ命は重く尊いのだ。豊かな生活の中でマヒしてしまっている私たち現代人は、彼らが命をかけて伝えた命の重さを今こそみつめ直さなくてはならない。?