17歳からのメッセージReport2002

17歳からのメッセージReport2002 page 24/32

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17歳からのメッセージReport2002

政経の授業の時だったと思う。一般に、日本国憲法は米国からの押しつけ憲法だと言われているがそれは正確ではない―というのだ。シナリオはこうだ。敗戦後憲法改正を命じられた日本の上層部が軍国的なそれを作る一方、高野岩三郎、森戸辰男、鈴木安蔵ら七人の学者・知識人の組織である憲法研究会が憲法草案要綱を発表した。そして、確かではないがマッカーサーが自らの草案にこの要綱を参考に取り入れた。衝撃だった。敗戦直後の、夢も破れ、食べ物も着る物も何もない日本で、報われるとも限らない新たな夢をただ一心に紡ぎ出した人がいる。その事が単純に嬉しかったのだ。それから五十余年。世界が動き、又日本も動いた。かつて日本国憲法を支持した国が、それと理念を異とする有事法制に賛成する。現行憲法が完璧だとは言わない。だが、あの時、荒野の片隅で平和を願った気持ち―と同じ気持・・・・ちで憲法改正はうたわれているのだろうか。武器でも法律でも、何でもいい。そういったハリネズミの「とげ」の様なものを一本一本抜いてはいけないのだろうか。この国は、そんな希望のかけら―それこそ平和を平和の形のままで含有する―も持てない国になってしまったのだろうか。有事法案審議のニュースをテレビで観ながら、私は何処となくやりきれない気分になっていくのを感じた。もうすぐ終戦記念日です。私達にとっては遠い昔のできごとですが、戦争を経験した人達にとってはこの前の様に想い出されると思います。小学校の時に修学旅行で広島に行きました。戦争の遺留品・写真などを見て、生々しさを目のあたりにしました。肌が熱で溶けてドロのように流れ落ち、川は赤く染まり、親や兄弟の死んでゆくその姿を見なければならなかった人々は、どんなに苦しく哀しい気持ちだったかと思うと心が痛みます。こんな無意味な争いで、人の命を奪ってしまうなんてことは許されないと思う。『あっちが仕掛けてきたからこっちも…』というような子供みたいなケンカに巻き込まれ、命を亡くした人達に、私達はせめてもの償いに、二度と戦争を起してはならないと思いました。世界の人々が皆同じ気持ちをもち、一人一人が戦争をとめようと努力していけば平和に近づいていくのではないかと思いました。大人達よ、正しい未来の在り方を教えて下さい。…今日も何処かの国で誰かが死んでいくのだろうか。僕達なら治せるような簡単な病気で。日本ではあり余る程の食糧がなくて。だが協力し合えば、そんな問題はいくらでも解決するのではないだろうか。そうならないのは人を想う心が足りない所以ではないかと思う。苦しんでいる人を助けたい、救いたいという想い。つまり優しさが足りないのではと。僕らは多くのものに恵まれている。これだけのものを当たり前のように手にして、それでもより幸せになろうとするのは強欲ではないか。豊かな国、日本。然し日本でも貧困の危機に瀕しているものがある。人を想う心、優しさだ。それを供給してくれる国なんて何処にもない。自分達で生み出したものこそ本当の価値があるからだ。それを育てる為の土壌が此処にはないかもしれない。だから僕達が造り出すのだ。大人は提起するだけの『平和な世界』を現実にする為にも。僕は、関西人に生まれて本当によかったと思う。梅田も心斎橋も好きで、大人になっても大阪を離れようとは思わない。むしろ、離れたくない。一番離れたくない理由は、この大阪の雰囲気が好きだからだ。僕の周りはおもしろい奴ばかりで、笑わない日はない。おもしろい話をしたり、体をはって笑わしてくれる。そして誰も、人を傷付けるような事で笑わしたりは絶対にしない。今、世界には笑う事すらできないくらい辛い毎日を送ってる人がいる。毎日が死と背中合わせで笑う余裕すらない人たちもいる。でもその逆で、私腹を肥やす一部の偉い人たちは常に笑っている。でもその笑いは関西の笑いとは違う。他人の幸福を奪い、自分の利益を手に入れた時の笑みは人間の裏側が見える気がする。この笑いでは世界は救えない。でも、関西の笑いがいつか世界中に広がればきっと世界は平和になると思う。21世紀、まだ世界は平和ではない。でもいつか笑顔が世界に溢れる日を信じている。関西の笑いで。22府立香里丘高等学校(大阪府)益田恵美さん「平和について」金蘭会高等学校(大阪府)番裕実子さん平和について府立桜塚高等学校(大阪府)久岡秀行さん「世界が笑顔で溢れる日」京都教育大学教育学部附属高等学校(京都府)小石原加奈さん平和の行く先発信基地・・・・に変える努力をしなければならない。透明な海と緑の美しい島を私達若者の手で平和の地に導きたいと思う。初めて落下された原爆は、多くのものを奪い、悲しみだけが大きな傷として残された。そんな悲しみに満ちあふれた広島を救ったのは、夾竹桃という木だった。焼野原となり、黒く焼けこげた広島は、闇のように生気がなく、もう草木も生えないだろうと言われていた。そんな大地に芽吹いた夾竹桃は人々に勇気や希望、生きる力を与えた。復興のきっかけを作ってくれた。そんな夾竹桃が今、私のクラスでピンク色の可愛らしい花を咲かせようとしている。去年、原爆ドームからもらって来た夾竹桃は、大きく育っていて、原爆に負けじと育つ力強さを感じさせている。また、世界各国にくばられ、戦争と原爆の無意味を訴えている。戦争は悲しみの製造工場のようで、作り出すだけで、その後の処理はなにもしてくれない。無責任だ。私達はこれから、終わりなく戦争の日々を続けていく。だけど、戦争はなにの解決にもならないことをわかってほしい。いつの日か、世界中のみんなが夾竹桃の花と共に笑える日が来ると願いたい。私は夾竹桃のような強い人になりたい。暗い世界を明るくさせるような人に。昨年の9月以降、TV画面に毎日と言って良い程米大統領が映る時期があった。その中で、彼は自国が散々制裁を加え、自由を奪ってきた小国の、彼に対する反抗を、「悪」の一言で片付けた。彼は自国と思想を共にしない者に優しくはない。地球上の全てを「アメリカ合衆国」にでもしようと言うのだろうか。言うまでもなく、世界的な「同一化」と「平和」、この2つは根本的に違う。そして、前者は実現することはまずないだろう。何故なら、別々の人間の思想をぴたりと合わせる事は不可能だからである。しかし、米大統領はそれを目指していないと断言できるだろうか。私には、彼がそれに限りなく近い世界を欲しているように見える。自分達と思想を共にする者しか信じられないのは愚かだ。唯一つの思想しかない世界など退屈で、「個人」の存在理由さえない。これは、一見当然のようでいて、案外気付けない場合が多い。しかし、皆がそれを理解し、お互いを受け入れ合えれば、他人に従うだけの「同一化」とは違う、本当の意味での「平和」が必ず実現する筈だ。県立下伊那農業高等学校(長野県)福澤志穂さん「平和の花」セントヨゼフ女子学園高等学校(三重県)浅井麻結さん「思想の『同一化』は『平和』と同意語ではない」