17歳からのメッセージReport2002

17歳からのメッセージReport2002 page 26/32

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17歳からのメッセージReport2002

争ばかりを見てきたのだろう。子供の頃の体験は後の人生に大きく影響を与える。戦争―そこにあるのは立派な信念なんかではない、憎しみだけだ。優しさなんか生まれるはずがない。何年も何十年も戦争を続けてきて、何故大人達にはそれが分からないのだろう。どうして手を取り合って平和を唱えることができない人々がいるのか。私は戦争を体験したことがないから分かるもんかと言われるかもしれない。けれどそこには子供がいる。私の夢の何十倍もの経験をして心も体もやせ細ってしまった人々がいる。私はその人々に平和を見せてあげたい。「防空頭巾はそれでも暖かかった」と祖母は戦争の中で過ぎていった青春時代を涙目で語った。いつも強気な祖母をこんなに華奢な姿に見せるのは戦争という愚かな出来事のせいだろう。祖母は戦争で失った幼なじみの「貴ちゃん」との思い出を話してくれた。貴ちゃんと祖母は家が近所で親同士の仲が良かったのもあり、よく2人で山の中を探検したり、将来のことを話し合ったという。やがて戦争が始まり、自分の命さえ生き延びるか分からない中、希望を捨てまいと永遠の友情を誓いお互いの防空頭巾を交換したという。その一ヶ月後、逃げ惑う貴ちゃんを米軍兵が空から射殺した。弾は防空頭巾を打ち破り、貴ちゃんの頭に埋まった。終戦を迎え、もう何十年経つだろう。被害者の精神的傷はいつまで続くんだろう。もし戦争が無かったら、多くの人が犠牲にならず、祖母も含めたくさんの人達がかけがえのない時間を失わずにすんだろう。だからこそ、これからも今の平和を保ち続けなければいけない。二度と愚かなモノ・・が出ないように…。先日、テレビの動物番組でティティという猿を見かけた。ティティは、徹底的な平和主義の猿である。小型の猿なので頻繁に襲われはするのだが、攻撃はしない。ただ逃げるのである。そのティティが「攻撃」を捨てて、代わりに手に入れたもの。それは「親愛」だ。ティティは互いに尾を絡めて親愛を表現する。なんてすばらしいのだ、と私は思った。厳しい自然環境の中で攻撃を放棄した猿は、それでも今なお繁殖し続けている。一方人類は、「攻撃は最大の防御」だと信じて疑わず、自分を守るためだけに攻撃し、無駄な殺戮を繰り返している。なんて愚かでばかげているのだろう。人類は、愛することを学ばなければならない。愛することは、人類から「攻撃」を排除し、武器を意味無きものにする。人類が互いに愛し合い、その愛が世界中に溢れたとしたら、世界からは「戦争」という言葉が消え、代わりに「平和」が訪れるのではないだろうか。電車やバスの中で泣く子供たち。子供と親に対する冷たい視線。先日、私はこのような光景を目にした。ここ十数年における虐待相談件数は、一万八千件を超えている。十年間のうちに約十七倍にまで増えたという。虐待する母親が増えた理由を、私はこう考えてみた。子育てに追われる母親は想像以上に大変だと思う。いつも子供と二人きりなのだから孤独や不安を感じるのも無理はない。その挙げ句に子供を責めてしまうのではないだろうか。その上、子供が泣けば周りからはうるさいと言われる。これでは母親のストレスが溜まる一方だ。私は今まで、虐待する母親に全責任があると思っていたけど、よく考えるとそうではないような気がしてきた。子供が泣いても、受け止められるだけの余裕が今の社会には欠けていると思う。これ以上かわいそうな子供を増やさないように、心から「子供はかわいい」と思える環境をつくっていかなければならない。そのためにも、私たち一人ひとりが心の余裕を持つことが大切なのだと思う。日曜の朝、トーストを噛りながら、なにげにつけたテレビの画面に一瞬はっと目が覚めた。アフガニスタンのある光景。そこには泥に近い土の地面から何かを拾いあげて口へ運ぶ小さな子供の姿があった。私は一気に何かが込みあげてくるのを感じた。暖かくて明るい部屋のジュータンの上で寝起きの名残にボーッとしている私と、画面の向こうでまさに生と死との間を必死に駈けずり回っているわずか六歳前後の少年。一体何がこんなにも残酷な違いを生みだしているのだろうか。同じ地球上の同じ人間、何も変わらないはずなのにそこには大きな違いがある。24長崎市立長崎商業高等学校(長崎県)工藤美津紀さん平和について長崎市立長崎商業高等学校(長崎県)松尾美希さん家庭内平和県立鹿児島女子高等学校(鹿児島県)稲葉李佐さん本当の平和県立高松商業高等学校(香川県)黒川あゆみさん防空頭巾が本当に良いと思う方向へ進むことも、あなたは出来る。進むのであれば、あなたが選んだ道をゆっくりでも良いから進むことだ。きっとあなたは正しい道を選んでくれるから」と答える。「どうやって進めば良いでしょうか」再び問われて「大きな事をしなくてもいいんだよ。世界が駄目なら自国。自国が駄目なら隣人を尊敬し、助けていけば良い。そうすれば、君の足はどこか遠い遠い場所へと勝手に動き出す」と答えた。しかし、戦争は耳が遠いようで、なぜかその場へ座り込んでしまった。僕はどうして良いか分からずにその場で立ちつくした。時が流れ、ふと周りを見ると皆が戦争をどこか遠い遠い場所へ連れ出そうとしている。僕も群衆の波に乗って、自分の信じる方へ、今動き出す。『給料泥棒』。この言葉に良いイメージを持つ人は無いに等しいだろう。本来給料というものは、程度の差はあれども働いて得るものだからだ。しかし、私は『自衛官』の方々には給料泥棒でいてほしいと考えている。自衛隊の仕事の中で私たちに一番関わりがあるのが災害被災地での救助活動だろう。突然の地震などで傷付いた人々を助け出す姿は私の心に強く残った。しかし、彼らの本業は、この日本という国を守ることである。すなわち、外敵と戦うということだ。それはいい。しかし、後方支援とはいえ、戦いに『行く』というのは疑問に思えた。自衛隊は『守る』のが仕事であり、『攻める』のはおかしいと思ったのだ。今の世の中、『攻める』事も『守る』事も似た様なものだという考えもある。しかし、どちらにせよ、『戦う自衛隊』は給料泥棒であって良いだろうと思う。それがすなわち、平和であるということの証明ではないのだろうか。いつもの朝だった。起きて一階に下りると母がいない。父がいない。代わりに銃を持った男が私の方へ近づいてくる―私は幼い頃、よくこういう夢を見た。今なら「変なの」で済ませる話。でも幼い私にはよほど衝撃が強かったのだろう。寝る前には父母に必ず十回「おやすみ」を言っていたそうだ。アフガンの子供は平和を知らないと聞いた。生まれた時から戦県立徳山高等学校(山口県)草刈菜穂美さん給料泥棒県立徳山高等学校(山口県)坂本麗さん戦争をしている人達へ