17歳からのメッセージReport2002

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17歳からのメッセージReport2002

審査講評3「自分とはなんだろう」改めてその問の前に立つと、誰しも不安になります。ふがいない自分、夢を見る自分、そして本当の自分を理解してもらえない苛立ち。そもそも本当って何だ?そんな自分の内面にじっくり向き合って、自分自身の言葉を積み上げた作品が印象に残りました。今は前向きでも後ろ向きでもいいから、ありきたりの言葉に逃げずにものごとを見つめ続ける。自分の言葉で語る。そういった力強いメッセージに共感しました。1テーマ「今までの自分、これからの自分」講評2テーマ「人とのふれあいの中で…」講評3テーマ「日本のここが好き、ここがきらい」講評4テーマ「平和について」講評近藤直美●人間科学部●担当科目:文学入門/日本の文学/日本文化論/日本語表現/人間科学研究法Ⅰになったでしょう」と作者が言っているのではなく、その代りに「伝えたい」という気持ちが生き生きと表現されていることです。私は「これが正しいことですから、みんなこうすべきだ」という説教口調のメッセージや、「人間一般に人とのふれあいは大切である」といった解説口調のメッセージよりも、作者自身の生きた経験や、なまの思いをつづった作品を高く評価しました。受賞作品においてはそのほとんど全てが、作者の想いが真摯に、そしてストレートに書きしたためられていると思います。なかには、苦しさ、悲しさ、さみしさ、怒り、傷つきなどが正直につづられたものも多く、読む私の胸につかえました。作品を書くという今回の皆さんの努力が、皆さんがより良く変わるきっかけになればとても嬉しく思います。受賞者の皆さん、おめでとうございます。今年は、多数の応募があった昨年の、さらに倍近い約15000ものメッセージがよせられました。その超難関をくぐって選ばれたのが、皆さんの作品です。受賞作品はそれぞれに、光るものがありました。気持ちがストレートに伝えられているもの、文章の上手なもの、胸をつかれるメッセージなど、個性的な作品が選ばれています。受賞作品に共通しているのは、読ませて頂いていて、いかにも「正しい小論文の書き方を学びました。これで良い文章古宮昇●人間科学部●担当科目:心理学入門/現代の心理学/臨床心理学/カウンセリング論/心理学実験演習Ⅰ・Ⅱ/心理学研究法Ⅱ暮らせることの幸せをあらためて感じた人が多かったようです。さらに、アメリカンスタイルの若者というイメージとは裏腹に、日本の伝統文化や和風の生活が好きという人がかなりあったのもちょっと意外でした。「ここがきらい」では、長引く不況で家族がリストラにあったり、自分の就職のめどが立たないといった厳しい現状への不安といらだちが、諸作品からひしひしと伝わってきました。懸命に働いてきた人間を容赦なく切り捨て若者に夢や希望を与えない日本への憤り、自信を失ったかのような日本の大人たちへの歯がゆい気持ちです。それからもう一つ多かったのは、周りに同調して自分を素直に出そうとしない日本人、若者の個性の未熟な表現をただ押さえつける大人たちへのレッド・カードです。少し物足りなかった点を言えば、「ここが好き」と「ここがきらい」を並べるにとどまり、その両面がどう関係しているのかについて深く考えた作品が少なかったことですが、けれども、この国や私たちがかかえる問題を、「好き」と「きらい」の両面を見つめながら自分たち若い世代も担っていこうという思いが数多くの作品に表現されており、まだまだ日本もこれからだと心強く感じました。平等文博●人間科学部●担当科目:人間科学の基礎Ⅱ/倫理学入門/現代の倫理/生の倫理学平和という難しいテーマにもかかわらず、3926編もの応募をいただきましてありがとうこざいました。応募作品の中でもっとも関心が寄せられたのは、ア藤原忠毅●経済学部●担当科目:国際経済論自分の住む国について、「ここが好き、ここがきらい」と分析的に考えることはふだんあまりないでしょう。けれどもこのテーマで応募した皆さんは、地域・学校・家庭での生活体験やメディアからの情報、さらにはホームステイ経験など、いろいろな機会に感じたこと・考えたことを短い文章に凝縮させて表現してくれました。「ここが好き」で多くあがったのは、日本での生活の便利さや物の豊かさです。また、昨年の〈同時多発テロ〉事件以後の状況や各地での武力紛争などを見聞きするなかで、戦火や暴力におびえずメリカの同時多発テロ事件に関するものでした。それだけ高校生のみなさんにとって、いや、われわれ日本人にとって衝撃的な史実だったといえるでしょう。次いで、平和学習や身内の体験談を通じて感じた戦争の恐ろしさを綴ったものが多くありました。これらの作品の中で共通した認識は「戦争を体験した方々がいなくなる将来、自分たちがその恐ろしさを伝えていかなければならない」というものでした。この他にも、「自分にとっての平和とは何か」を問う作品や「平和を実現するためにはどのようにすれば良いか」を提言する作品もあり、高校生らしい自由な発想にふれることができました。さて、改めて今回のテーマ「平和について」は高校生の皆さんにとって有意義な機会となったのではないでしょうか?ご存知の通り、今まさに日本の安全保障の舵取りは大きな転換期をむかえています。有事関連法案、北朝鮮拉致問題と国交正常化問題・・・。このような不安定な情勢の中、多くの高校生がこれらの問題に対し「自分たちが考えていかなければいけないこと」と強く感じていることを知り、頼もしく思いました。1円を募金する、海外でのボランティア活動へ参加するなど平和への活動はさまざまです。しかし、最も大切なことは「平和(戦争)についてまず知ることである」と改めて多くの高校生に教えられた気がします。そして、いま多くの高校生がそれを知ろうとしている。これは必ず将来の貴重な財産となるに違いありません。若い皆さんの今後のご活躍に期待しております。