17歳からのメッセージReport2002

17歳からのメッセージReport2002 page 6/32

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17歳からのメッセージReport2002

私は今十七歳だ。今はただ学校と家を往復する毎日だ。昔の私は自分でも恐ろしい事をしていた。大人達がいう不良という人間だった。ケンカもたまにした。先生達は私に必ず「何か悩みがあるの?」とか聞いてきた。悩みなんて誰にでもある。そんな事は関係ない。ただむかついたからケンカした。髪を染めたいから染めた。あの頃の私は他人も自分もどうでもよかった。人間なんて大嫌いだった。目の前の人が血を流して倒れても何も感じなかった。自分には血なんて流れていないんじゃないかと思うこともあった。でも、私はある日、母のアルバムを見た。そこには今からは想像もつかないような母の姿があった。茶髪にパンチパーマにピアス、濃い化粧。それを見た時私はなぜか安心した。いつもお姉ちゃんと比べられて生きてきて、本当はそれが重くて不安だったから。その写真を見て私はなーんだこんなものかぁと思った。やっぱり蛙の子は蛙だった。それから私の心が軽くなった。今も悩みはある。むかつく事だってある。髪も染める。だけど、血を流している人を心配してあげられるようになった。人間本当にちょっとした事で変われるんだ。先生や大人たちも少しくらいバカな子がいてもゆっくり待ってほしい。【講評】作者の不安定な状況が、母親が自分と同じ「不良」であったことを知ることで、安定していった。つまり彼女は、自分が「良い子」でないことを後ろめたく思っていたのであろう。ところが愛する母親が自分と同じカテゴリーの人間であると知って落ち着いていった。こうしたプロセスが文章全体から作者自身の言葉で訴えかけられてくる。「…ゆっくり待ってほしい」という結びが印象的であった。1テーマ今までの自分、これからの自分4点?4矛盾のあふれる日々の中で、すべては混濁のうちに渦を巻く。いくつもの仮面を使い分ける人々の面つらの皮は厚く、ナイフを入れても血など滲まない。ぱっくりと開いた傷口から流れ出るものは、慾という名の、嫌な臭いを放つ膿ばかり。止とどまることを知らない。常識という言葉は好きではないけれど、その意味を、「他者に不快を感じさせることのない態度をとる、基準となる考え方」と、敢えて定義づけるのなら、私の周りには常識のある人など、ただの一人もいません。そのような人がいたとして、それでも見つからないのは、私の瞳めが曇っているからですか。寡黙な子供が、その黒く真っ直ぐな瞳を通して、あなたを見上げている時、その心の内で熱いものが紅く、時に青く揺らめいているのに、気がつきもしないのは何故ですか。答えが見つからないうちに大人になってしまうのは、とても怖いのです。どうぞ、お返事をください。【講評】審査員として読ませていただいた2000点近い作品のなかで、私にもっとも強烈な印象を与えたのがこの作品です。作者が強烈に感じている人々への嫌悪感、軽蔑感、怒り、怖れ、そしてそれらの感情の下に覆い隠されている傷つき、悲しみ、心の揺れが表現された素晴らしい作品だと思います。文章力もたいへん優れています。長野県の県立高校匿名希望少し大人になった日2テーマ人とのふれあいの中で・・・府立清水谷高等学校(大阪府)中村梨恵さん冷凍人間の皆様へ