17歳からのメッセージReport2002

17歳からのメッセージReport2002 page 7/32

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17歳からのメッセージReport2002

5グランプリ長崎市立長崎商業高等学校(長崎県)斉藤倫子さん小さな大人尼崎市立尼崎高等学校(兵庫県)夏川雄介さん人それぞれの平和平和の定義はいったいなんだろう。災いの無い日が必ずしも平和だといえるであろうか?誰かにイジメられなかったら平和?好きなものを好きなだけ食べることができたら平和?僕の親が離婚せずに家族みんなで暮らしていたとしても平和?おそらく違うと思う。僕の叔父は戦争を体験している。人間の汚いトコロをくっきりと体で感じてきた人だ。僕は叔父に言った。「なぜ中国人を殺したり従軍慰安婦を利用したりできたんだ?」僕には人を殺すなどとうてい考えられない事だった。知欲が僕を沸き立てた。だが、返された言葉はとてもあっけなく、単純で、何より身近に感じることだった。「皆、やっていたからやった」この言葉で僕はとてつもない共感を感じた。別に人殺しをしたいわけではない。ただ、これは戦争と言うモノを知らない僕が日常で行っていた事をそのまま風刺しているようで、少し体が震えた。いままで、戦争をするような人はどこか異常なのだと思っていた。しかし、僕は自信がない。一度想像してみてほしい。もしも戦争の時代に生まれて戦場へ向かっていたら果たしてあなたは人を殺さずにいられるだろうか?大勢の兵士が従軍慰安婦を利用するために並ぶ。みんなやってる。それを薦める戦友。やってしまうかもしれない。今は時代が変わり、社会体制が変わりはしたが、今も昔も変わらない戦争の事実。それに従う人々。これまで戦争を例にとりあげてきたが、もちろん他の事にも言える。この戦争の言葉のかけらもない時代にでもだ。「みんながしてるから」この言葉が世界で呟かれるかぎり平和などありえない。今のままではいつ殺し合いが起こってもおかしくない。【講評】「みんながしているから」というこの言葉の重みに苦渋し、自問自答する筆者の心情が率直に表現されており共感しました。この根拠無き理由は戦争の場面だけでなく、現代社会においても横行しているのではないでしょうか?さまざまな不祥事が紙面を賑わす現代において、われわれは物事の善悪を他人の言動に惑わされることなく勇気をもって自分自身で決断していかなければならないという筆者の強いメッセージがこの作品には込められていました。「もうしわけありませんでした」TVの中で私よりも2倍も3倍も年をとった人が頭を下げる。「少し前から聞いてはいました」大の大人が苦々しい表情で言い訳をする。ニュースをつければ映るのは記者会見中の困り顔した偉そうなおじさん。”今度は何?“とため息が出る。子供が人を刺した、非行に走った。そんなニュースを聞いていると、その子たちにとっての大人の”像“がなんとなくうかがえる。大人って大きな人。心も、体も。しかし今は、白髪頭に嘘やいつわりを詰めて、へこへことカメラに向かって頭を下げる。そんな大人を信じろといわれても、尊敬しろといわれても、子供の瞳に大人は弱く、小さく映る。大人なのに小人なのだ。テレクラで呼び出されたサラリーマンが、中高生に殴られ、お金を盗られた。TVでは、「最近の若い子は…」というイメージが流される。しかし、私の目には、「まったく、最近の大人は…」と映るのだが。【講評】この作品は、最近ひんぱんに発生している企業の不祥事を題材にして、日本の大人に対する痛烈な批評を中心に展開しています。作者は歯切れの良い文章で、不祥事の際に大人が見せる「嘘やいつわりを詰めて、へこへことカメラに向かって頭を下げる」事態に対し、この人々は「大人なのに子供なのだ」と皮肉り、大人こそ問題なのでは?と問いかけています。大人への若者による小気味の良い批評作品といえるでしょう。3テーマ日本のここが好き、ここがきらい4テーマ平和について