17歳からのメッセージReport2003

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17歳からのメッセージReport2003

17歳からのメッセージ?[受賞作品集]??銀賞? 22いが、子供となると車椅子が珍しいのか、じっと凝視する。見られている本人は戸惑いを隠せないで困惑している。こういう時何もできない自分を不甲斐なく思う。親は子供に車椅子について、もっと詳しく教えておいてほしい。別に見るなというわけではなくて、不思議そうな顔をするのはやめてほしいということだ。他にもたくさん困っていることはある。私はもっといろんな人に車椅子に乗る人の気持ちや考えを理解してもらいたい。私の祖父は、祖母と叔父との3人で暮らしている。80歳になった今でも、毎日畑を耕したり、山へ草刈りに出掛けたり、家の周りを掃除したり、とても元気だ。そんな祖父に最近もう一つ趣味が増えた。それは、「買い物」。今までスーパーで買い物なんてしなかった祖父が、病院に行った帰り道にスーパーへ立ち寄り、食べ物をいっぱい抱えて帰って来るようになった。そして、買ってきた物を並べて、「今日はアイスクリームが4割引やった。パンもあるぞ。好きな物を食べんね」とニコニコしながら説明してくれる。やっぱり私が生まれてから祖父を見てきた17年という短い間に祖父は確実に年をとった。入院していた時期だってあった。でも、最近の祖父は、私の今までの記憶の中で一番パワフルだ。そんな祖父を見ていると、私も何か新しい事をしたくなる。今まで何でも面倒くさがっていた私だけど、祖父のようにパワフルに生きたいと思うようになった。そして、祖父の生き生きとした笑顔をずっと見ていたい。今度一緒にアイスクリームを買いに行こう。私の近所にはクソババアが住んでいる。その人と私は犬猿の仲。生まれて十七年、その人と話したこともなければあいさつをしたこともない。「無視」するのみ。だいたい、近所のおばさんというものは、立って世間話ばかりしていて、知らないうちにどれほどの文句を言われているかはかりしれない。本当に恐ろしい生き物だ。ある日、私がいつものように登校していると、世間話中だったおばちゃんは、私の方を見てこう言った。「あいさつばせん女の子はつまらんばい」私は、心の中で怒り狂った。「あいさつをしてもらいたいんなら自分から言え。ずっと大人やってきてるのになんだよあれは。世間知らず」と何度も何度も胸の内で繰り返した。ある時、いい考えを思いついた。自分の中でこれ以上の仕返しはないと思った。ある日の下校中に、それを実行した。夕暮れの中、たまたま外に出てきたおばちゃんに、私は通りすがりざまに言ってみた。「こんばんは」おばちゃんの顔は、絵に描いたようにビックリしていた。作戦成功。私は、すがすがしい気持ちで自転車をこいだ。あいさつはすばらしい。今年の9月、私のお姉ちゃんは結婚し、家を出て行ってしまう。正直、私はお姉ちゃんが嫁にいってしまうのはすごく寂しい。一緒に買い物したり、どこかへ遊びに行ったりすることは全然できなくなってしまう。お姉ちゃんと遊びに行ったりすることは、私の一番の楽しみだ。それができなくなるのは、私にとって泣きたくなるぐらい寂しいことなのだ。この気持ちは、言葉にしたら涙が止まらなくなりそうで家族の誰にも言えない私の本音なのだ。子供っぽいかもしれないけど、私は「お姉ちゃんをとられる」という気持ちもある。どこに行くのも一緒で、笑顔が絶えなかった。寂しさは倍になってしまう。今、お姉ちゃんに内緒で家族5人で旅行に行って思い出作りをしようという計画を立てている。その旅行が、お嫁にいってしまうお姉ちゃんへの最高のプレゼントになればいいなぁと思っている。家族5人の一生の宝物になる旅行にしたい。私にとっては、17年間という、長いようで短いお姉ちゃんと過ごした日々。遊びに行ったり、買い物したり、喧嘩したり……たくさんの思い出を私は忘れない。今まで、一度も言えなかったけど、私はお姉ちゃんのことが大好きです。幸せになってね。伝えることは苦手です。言葉をにごすのは得意です。あたりさわりのないように、なんとかやってきたようです。一番苦手なのはお礼を言うことです。ありがとうよりは、ごめんなさいか、すみませんが先にでてきます。困っています。私は幸せです。誰かと比べてとかじゃなく、自分は幸せです。このことを伝えるのはとても難しいです。このことを私のまわりの人に伝えるのは、何が一番いいんでしょうか。笑っていればいいんでしょうか。でも、私はお腹が痛い時もあるので、そうそう笑っていられません。伝えることは難しいです。でも伝えたいと思います。とてももどかしいです。口で言うだけで伝わるなら言おうと思います。でも私が思いつく言葉はいかにも安っぽくて、私の気持ち全部は伝わらないと思います。真剣に伝えなくてもいいことなのかもしれません。笑ってすむような感じだから、いいのかも。真剣に幸せだと伝えるとそれはそれで重いかもしれない。それは、今の幸せをこわすからやっぱりしないでおこうと思います。今の幸せは変わっていって、そう続かないけど、自分からはこわしたくないです。それとわからないうちに変わっていってほしいです。それでも幸せだと言いたいのは、この幸せを私がつなぎとめておきたいから、つなぎとめておきたい人たちがいるからだと思います。季節が止まればいいのにとよく思います。私は特に本が好きというわけではないけど、暇潰しによく本を読む。本は書いた人、編集している人、印刷した人たちのふれあいの場だと思う。特に書いた人の気持ちはよくわかる。直接会って、触れて、話したこともないのに、一冊の本には著者の気持ちや考えが字として、言葉として表現されているから、私は著者ととても親しくなれた気がする。例えば、最近では『淳』を読んだ。ここには、愛する我が子を未成年によって殺された父親の話が書かれていた。被害者の家族が愛する人を失った悲しみ、加害者やマスコミや少年法に対する憎しみ、怒りが書かれていて、TVや新聞では知ることのできなかった遺族の気持ちや少年犯罪の実体を知ることができた。私は父親の気持ちが文字を通してではなく、直に感じとれた気がした。まるで父親の知り合いか、殺された子どもの友達であったかのような気持ちになった。本は必ず著者の本音が書かれている。だから私も本音でその本の著者に対して感情や考えを出すことができる。年齢も性別も生まれた国も育った環境も全然ちがう人たちと、本はふれあうことができる。そしてその中で私は、たくさんの知識と感情、気持ちを知ることができる。本は会って話すことはできないけど、それとはちがった最高のふれあいの場だと思う。「あっ…」心の中に大きな動揺が走った。それは七月初め、友達大阪学院大学高等学校(大阪府)山田絵里さん文字を通してふれあう長崎市立長崎商業高等学校(長崎県)丸山由紀さん祖父の買い物福岡県立久留米高等学校(福岡県)溝田幸子さんあいさつ長野県立軽井沢高等学校(長野県)宮澤春香さん結婚する姉へ和歌山県立那賀高等学校(和歌山県)森下歩さんメッセージ愛知県匿名希望誰か教えて…