17歳からのメッセージReport2003

17歳からのメッセージReport2003 page 26/76

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17歳からのメッセージReport2003

17歳からのメッセージ?[受賞作品集]??銀賞? 24多文化社会――この間まで私たちとは無関係に思われたこの言葉。しかし今そのように感じることもなくなってきたのではないだろうか。私たちはいまやあらゆる国籍の文化が共生する日本という一つの社会を感じられるようになった。そしてそこから生まれた価値観の多様性は、日本社会を人種や文化とは少し離れた意味での”多文化社会“として築きあげているように思う。それは個々の価値観を日本の文化的バックグラウンドではもう説明づけられなくなった、そんな社会である。正直、私はまだどうしても日本社会が価値観の違いというものを受け入れることを恐がっているように思えてならない。個人を集団の一部とみなしてきた伝統は、そこに同調できない人にとってどこか生きづらい社会をつくってきた。それは私たちをとりまく規制や、時には将来の選択にまでも世間体や面目という形でその面影を残している。こんなに社会が多様化して、伝統を受け入れられない人がいない方が不思議である。価値観が多様化された中で、理由のない伝統などではもう誰も振り返らない時代になったのではないだろうか。私は伝統というものを否定したくはない。しかし、私はそれに従って、時にはそれを言い訳にして生きたくはない。一人の、この多文化社会に生きている人間として、これから生きていく上で何が正しいかを判断できる人間でありたいと思う。グローバル化とは、冷戦終結後市場経済が世界的に拡大し、生産の国際化が進み、資金や人や資源や技術など生産要素が国境を越えて移動し貿易も大きく伸び、各国経済の開放体制と世界経済への統合化が進む現象とされている。グローバル化と聞くとそのメリットばかりを思い浮かべてしまいがちだが、当然デメリットも存在する。デメリットの1つは、経済のグローバル化が引き起こす貧富の格差である。先進国に住む私たちは、世界に飢えた人が8億人もいることや、日々その人たちの命が失われていることも知らず、世界の食糧の4分の1を使っている。飢えで命を落としてしまう人々のほとんどが、1日あと少しの穀物で命をつなぐことができるといわれている。私たちの生活を振り返って考えれば、どれほどムダなことをしてきたのだろうと反省する点は数多くあると思う。しかし、その反省を行動で示すために何をすればいいのかわからないのが現状である。グローバル化を推進するのは、結局は豊かな国である。先進国と発展途上国とが不平等であればあるほど利潤は大きくなる。つまり、豊かな国はますます豊かになり、貧しい国はますます貧しくなる。グローバル化という言葉のもとで貧富の差が拡大し、平等とは程遠くなっていくのは目に見えている。不平等なグローバル化なら推進する必要はない。本当の意味でのグローバル化を見つめ直していくべきだと思う。私は一昨年、ベトナムを訪れ、ホーチミンシティの戦争博物館を見学した。その光景は、悲惨としか言いようがなかった。ホルマリン漬けにされた奇形児、一面に転がる民間人の死体や、拷問を受けるベトコンの写真。それらは、国際情勢などにそれほど興味がなく、戦争など全く無関係のものだと信じ込んでいた私にショックを与えた。旅先で会った、明るい笑顔のベトナム人たちや、その両親が、あんな残酷な戦争を体験しているなんて信じられなかった。その悲しさ、不条理さを感じた。そして今年、私は戦争を身近な問題として感じている。アメリカのイラク攻撃、北朝鮮問題、そして有事関連法案の衆議院通過。もう戦争を他人事として考えていられる時代は終わったのだと思う。私たち国民が戦争の悲惨さを知らず、戦争に対する意見を一人一人持っていなければ、近い将来日本も戦争にまきこまれてしまうかもしれない。国家が国際問題を戦争へ発展させてしまう道のりを防ぐのは簡単ではないが、しかし私は、日本でも他の国でも、あのベトナム戦争のような悲劇は繰り返してはならないと思う。だから、まず「自分」という最小の単位から、現在の国際情勢や、過去の戦争についての知識を得て、自分自身の確固たる戦争に対する意見を持っていきたいと思う。タイのスラムを訪れたことはあるだろうか、この人たちは。私が何かに対しいら立ちを感じた時、いつも心に浮かんでくる言葉だ。中学生の時、学校の先生と友人、そして他校の先生方、生徒たちとタイへ行く機会をいただいた。目的は、日本で修理した車イスを届けるというもの。タイの学校で車イスを渡した後、いくつかの班に分かれ、タイの生活状態を見に行った。私がその時向かったのは、水上に暮らす人々の所であったが、中にはスラムへと赴いた班もあった。ホテルに帰ってから、各班の報告や意見を聞いた。報告用のビデオに映るスラムへ行った子たちの中には泣いている子もいた。ビデオでは分からないが悪臭がすごいとのこと。ただ、涙が出た明確な理由は分からなかった。その後、タイの繁華街的な所へも行った。何より心に残っているのは、地べたに座り込み、体の前に開いた缶ヅメを置き、いわゆる物乞いをする少女だ。少女の年令は、当時の私の妹と同じくらいだった。私はこの体験をし、良くも悪くも人生観が変わったように思う。ただ、変わって良かったと思っている。それは、グローバルということの基本は知ることだと感じているからだ。知らなければ何にも話にならない。全ての根本は知ることだ。無知は悪気がなかろうとも罪である。私はそう思っている。今、世界はグローバル化が進んでいるが、そのことによって私たちの生活にどのようなことが起きるのか。私は特に経済についてその意見を述べたい。近年、ブラジルや中国からの出稼ぎ労働者数は増加の一途をたどっている。それによって、少なからず日本人の就職に影響を及ぼしている。外国人労働者は日本に比べ低い賃金で雇うことができるので、企業にとっては、安価で質のよい労働力を得ることができ、コストの削減にもつながる。しかし、それに伴って、これからの日本人には作業ではなく頭を使う仕事を要求されるようになってくる。また、電子機器製造メーカーや衣類メーカー等には、中国や東南アジアに生産工場を設け、そこへ日本人責任者を派遣するといったことを行っているところが多く、中国語や英語等の語学力も求められてきている。今後は新しい発想や提案のできる有能な人材がますます求められ、日本人はそれに応えなければならなくなる。グローバル化によって海外進出を果たし、どんどん成長している企業も存在する。そういった日本企業の国際化によって、日本人の果たす役割は大きくなってくる。これからの日本人は、新しい発想を生み出し、さらなる可能性を見出せる存在でなければならず、私もその一員として、これからの社会を自らの力で歩んでいきたい。僕の所属する部では、毎年初めに練習メニューを決めるために話し合いをする。結論を出す方法は至って民主的―『多数決』である。しかし、部員同士、友達同士で議論している間はいいのだ岐阜県立大垣工業高等学校(岐阜県)酒井一樹さんグローバル社会の日本経済静岡県立富士東高等学校(静岡県)小田紀子さんベトナムからの贈り物大阪府立芥川高等学校(大阪府)有村比沙さん歪んだグローバル社会グローバル社会に生きる私神戸市立葺合高等学校(兵庫県)青木美紘さん多様化の中に生きる私大阪府立河南高等学校(大阪府)葛城万里さん知ることから始まる。大阪星光学院高等学校(大阪府)谷垣圭太さん「友達」になるために