17歳からのメッセージReport2003

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17歳からのメッセージReport2003

17歳からのメッセージ?[受賞作品集]??銀賞? 34「今日のニュースをお伝えします」感情のこもっていない声で与えられた原稿の通りに仕事を進めるニュースキャスターが知らせる情報を私たちは日々当たり前のように受け取る。最近は悲痛なモノが多い。殺人事件やら戦争やらどれも胸を痛めるモノばかりだ。胸を痛める?本当にその感情は正しいものなのかといつも自問自答する。「かわいそう」だと思う。被害者の気持ちになって心が痛くなる。それは自分がその立場の人間ではないから思うのだ。心の何処かで「自分でなくてよかった」と安心している気持ちがあるのだ。自分はなんと酷い人間なのだろう。他人の不幸で自身の幸福を感じているのだ。私たちは何のために日々ニュースを見るのだろう。時代遅れにならないようにだろうか。ただ理由もなく何となく見ているのだろうか。もしかしたら自分の幸せを得るためなのかもしれない。そして今日も私はニュースを見るのだ。私にとって、DNAという暗号や本能などは、恐ろしいモノである。例えば、花には『ハニーガイド』というサインがあり、虫の目にはそれが見えるのだという。花は花粉を運んでくれる虫に来てもらいたいし、虫も蜜を手に入れたい。ここで利害が一致しているのだが、両者はどう示し合わしてこういう取り決めをしたのだろうか。虫は言葉を持たないのに、どうやってその意味を知ったのか。あたかも、何らかの力が働いているかのようである。動物には、適当な数を保つ能力がある。『大量発生』した時のネズミの集団自殺も、その一例ではないだろうかと私は思う。また、虫の中には、密集している個体と単独行動をとる個体に、差が出る種があるという。体色もそうだが、特に私の目を引いたのは、繁殖能力の変化(密集すると低下する)だった。今や私たち人類は、自然界のルールやバランスなどをまるで無視して発展し、まさに『大量発生』している状況下にある。考えていてはっとした。そのような機能が人間の本能にもあるのだとしたら、理由もなく自殺したがる人や戦争狂が増加するかもしれない。あるいは、人間の生殖能力が退化したり、メス化が起こるかもしれない。バイオテクノロジーがどれだけ進んでも、人間は自分の中にも潜んでいる、自然界に存在する力を甘く見てはならないのだ。1998年5月14日、インドネシアで前大統領のスハルト政権に対する反政府暴動が起こった。首都ジャカルタを中心に暴動は激しさを増し、各地へと広がっていった。その日、ジャカルタ日本人学校のスクールバス通学路が火の海となり閉鎖されたため生徒たちはおろか先生たちも帰宅できず、学校で足止めをくらい、一夜を明かす事態となった。その日から学校は臨時休校となり、それきり別れたままの友達も多くいる。それから一年後の夏に日本に帰国した私は公立中学校に入学した。周りの友達は海外に行ったことのない子ばかりだったので色々質問された。しかし、私が暴動の話をしても誰一人として知っている子はおらず、誰も関心を持たない。日本でも多くのニュースで大きくとりあげられていたはずだが、自分に関係のない事であれば無関心の人は多い。高校は主に帰国子女の多いところに入学した。ここではみんなお互いの海外生活に関心を持ち、興味深そうに聞いてくれ、話し合える。今の日本では一言で「高校生」といっても大きな違いがある。大人たちばかりが「国際化」などと呼んでいても意味がない。未来を背負う私たち若者一人一人が国際化について考えるべきだ。登校前のほんの数分でいいからTVのニュースに耳を傾け、関心を持ってほしい。世界の出来事に関心を持ち、そこから何か考え始めることが国際化につながる大事なことではないだろうか。忘れられない光景があります。小学校の頃、休み時間に運動場でサッカーをするクラスの男子。授業を受けているよりもずっと生き生きしていました。そしてその横で、それをじっと見つめる彼がいました。仲間に入りたいのだろうと、それはすぐにわかります。でも、誰も彼を誘わないことも、やっぱりわかっているんです。色々な感情が入り混じって、ひどく泣きたくなりました。そんな彼に侮辱の言葉を周りの人は投げかけていました。平気な顔でそれをする人たちに”何で“という思いが渦巻きました。今でもたまに、彼を見かけることがあります。そんな時いつも、心の中で必死に謝罪の言葉を繰り返しています。私も彼を疎外した人たちのうちの一人でした。昔に戻りたいといったら、そんな事できる筈はないと一笑に付されました。確かに不可能です。それでも、できるならあの時に戻って、止めることはできなくても、加担しないでいたかったと思っています。私にはとても大切な人がいます。しかし、その人は彼とも彼女ともいえません。外見は女性、内面は男性。つまり、性同一性障害なのです。私は今までその人を男としてみて付き合ってきたし、これからもそうすると思います。けれど世間で私たちは同性愛者と呼ばれ、偏見を持たれています。それが当事者をどれほど傷つけているか知っていますか。差別的な目で見るよりも偏見を言い表すよりも先に理解しようとする心を持ってほしいと思います。そうした理解を得るのも大切ですが、当事者が一番に望むのは戸籍訂正です。それには規定があり、その中に「生殖能力が不能状態にある」という項目があります。事実、性転換を行った人にとってはいいのですが、当事者には色々な人がいます。性転換までは望まない人もいれば、金銭的な問題でできない人だっています。彼らにとってはどうでしょうか。不可能なのでしょうか。そのような面からみて、この項目は改善すべきだと思います。彼は時折「俺なんかが彼氏で幸せ?」と聞きます。私たちは生物学的には同性です。異性なら何ら変わりのないことが私たちにはできないことの方が多いのです。それが悩みや不安となり、誰にも相談できないまま自死の道を選ぶ人たちもいます。私はそのようなことが起こってはならないと思います。一人の人として人間を好きになるのに何が悪いのでしょうか。私は私たち・当事者たちに世間からの理解が得られる日、認められる日が早く来ることを望みます。山口県匿名希望本物の性で扱ってあげたい山口県立下関西高等学校(山口県)三浦真奈美さん自然の統治者は人間なのか長崎市立長崎商業高等学校(長崎県)松沙織さんニュースが与えるもの千里国際学園高等部(大阪府)川まりさん身近なことから始まる国際化大阪府匿名希望目に焼きついた景色