17歳からのメッセージReport2003

17歳からのメッセージReport2003 page 39/76

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17歳からのメッセージReport2003

17歳からのメッセージ?[受賞作品集]??奨励賞?37く欲しい。かといって後者は今の私の心の中に掛けがえのない大切なものを残してくれた重要なものだ。しかし、やはり、「これからの私」に求めるものはどちらの「私」でもない。受験という現在の最高目標に向かうなら迷わず前者をとるだろう。が、目の前にあるものだけでなく人生という大きな視野で考えるのなら私にとって後者は、とても必要なものとなる。私には夢があり、それを叶えるためには今までの自分2人ともが必要となり、まだ会えずにいる新しい自分がさらに必要となる。18年と1カ月を過ごしてきた私には今まで経験してきた多くの出来事をこの先のあらゆる出来事に生かしていければいい。そしてそこで得た経験をさらに先へ生かしていけば、後悔のない人生が過ごせるだろうと思う。「これからの私」は「夢」として形成されている。今はその「夢」に「今までの私」と一緒に歩いていきたい。言えないでいる言葉がある。ずっと心の奥底にあって、言おうと思っていても言えない恥ずかしい言葉でも、悪口でもないけれど、素直じゃない自分のせいで言えない言葉。「お母さん、御免なさい」ある夜、私は母に小言を言われ、あまりにも腹が立ち、三日間口も聞かず避けてばかりいた。けれどもさすがに三日間続けると胸のむかつきも消える。そろそろ話でもしようかと母のいるリビングに下りると、母は一人椅子に座って下の方を見つめていた。泣いている。考えもしなかったその光景に驚いて、足が止まった。母はふと顔を上げ、私の姿が目に映ると涙が見えないようさっと背を向け、「お腹空いたん?何か食べる?御免な、お母さん、怒り過ぎたな」明るく振る舞う母の姿が辛そうで胸が痛んだ。(どうしよう。謝らな!…)謝罪の言葉を口に出そうとしたが、そのまま飲み込んでしまった。(何か、恥ずかしいな…)結局言えず、明日にしようと思ったが、なかなか言い出せなくて、とうとう心にしまってしまった。母は今、何もなかったように振る舞っている。私も同じだ。けれどもいつかあの時の母に反発した自分の悪さを認め、素直になることができたなら…必ず言おう、母の前で。「お母さん、御免なさい」私は現在高校生で、最近やっと未来を見据えて生きていけるようになった。小学生、中学生の頃の私は、いじめで未来どころではなかった。ただ毎日、今日を生きるだけで精一杯で、将来はどうしようかとそのための勉強など、する余裕もなかった。将来のために頑張ろうと思ったのは、現在の高校の3年生からで、それまではただ、ひたすらに毎日を生きることだけを頑張っていた。しかし、小学校、中学校のブランクは大きく、今、実際に意欲的になっても、知識が現実に追いついていけず、焦っている。それまでは、あの苦しい日々から解放されることだけを喜んでいたが、将来に向かって頑張っていこうとする今、あの時にもっと勉強していたら、より自分の希望する将来に近づけたのにと思うと、勉強する余裕さえなかった原因をつくった、あの時のいじめの加害者たちを、憎みたい気持ちになった。しかし、その経験が全然無駄なのかと考えると、そうでもない。いじめの辛さから、人権や人の思いやりなどを大切にすることを学んだし、何より今、勉強がすごく楽しいと感じ、意欲的になれるのも、あの時に勉強ができなかったおかげでもあると思う。過去の経験もプラスにして将来に生かせるよう、努力をすることが大切だと今の私は自分に言い聞かせている。思い出――それは一人一人にとって懐かしくて安らげる、しかし時として辛く、悲しくなる、そんなものだろう。今の私の場合、思い出とは「現在との比較をするもの」である。比較する思い出は決まって、中学三年生の時のもの。私にとって一番安らげる場所だったから。一番充実した生活だったと自信をもって言えるから…。私が「比較」をしていることに気づいたのは、入学してすぐのことだった。自分から話しかけることもできず、友達が上手くつくれなくて困っていた時だった。そんな時、帰りに同じ中学の子と会い、中学の時の話をしていた。ついつい懐かしくなって辛い現実から逃げたくて泣いてしまった。先輩に相談して多くのアドバイスをもらったが、しばらくの間は、学校が辛いものでしかなかった。自分は何故ここで未だに勉強しているのだろう。何故、学校があるんだろう…そんな考えが頭の中一杯に広がっていた。そんな日がしばらく続いた。それからだった。「比較」という辛い荷物ができたのは。それは今でもたまにある。私はこんな自分が嫌だと思う。少しでもいいから前に進みたいと思う。しかし今は思うだけ。実現はやはり難しい。それでも諦めず前に進む気持ちを忘れずにいたい。そうすれば、そのうち少しは前に進めるだろうから。後ろを振り向かずに――。去年の今頃何をしていただろうか、と私は時々考えることがある。何に夢中で、誰が好きで、毎日をどうして過ごしていたのか。思い返し、懐かしみ、また反省もする。人間の脳は、三秒以前の出来事を「過去」として認識している、という話を聞いたことがある。私が思い出し取り出すことのできる限られた記憶の、何倍もの事象が私の「過去」なのだ。もちろんそれは私がこれまで生きてきた十七年間の経験だけで構成されているのではなく、私が今まで関わってきたたくさんの人々の「過去」を内包している。そう考えると、私は自分の存在がとても不思議で仕方なく思えてくる。幾つもの偶然が降り積もって私を形作っているのだ。生まれた時代、育った場所、両親、周囲の人びと。人間はどうしても、知らず知らずのうちにその環境に影響を受けている。ただ一つ言えるのは、今の私はただ今現在にしかいない、ということだ。私はこれからも、どんなにあわただしい日々の中でも、振り返り自分というものを確かめるこの作業を忘れないでいたい。そうすることで自分を、ひいては他人を、大切にして生きてゆくことができると思う。嘘、偽りっていけないこと?私は自分に嘘をついている。はっきりと思い出すことのできない昔は、きっと自分のことが好きだった。でも今私は、嘘や偽りで積み重ねて本当の自分を見失っている。どれが本当の私なのだろう。だけど、どの自分もたとえ嘘でかためた自分さえも、自分そのものなのではないか。そう考え始めた。いつからか、私は他人に合わせようとしてきた。友達を失って独りになるのが恐かった。以来、自分を隠して嘘の自分をつくる日々が始まった。でも時々、本当の気持ちが出てくる。イライラもやり場のない嫌な気持ちも全部、自分が他人とうまくやれないことへの素直な気持ちだ。どう毎日を過ごすのか、私にはすごく難しいことだった。今も、嫌なことも嫌とは言えず、他人の顔色をうかがいながら毎日を過ごしている。私は私が嫌いだ。岐阜県立羽島北高等学校(岐阜県)栗田愛さんうしろ兵庫県立出石高等学校(兵庫県)佐藤好美さん本当の自分大阪朝鮮高級学校(大阪府)金聖華さん〈言えない言葉〉沖縄県立真和志高等学校(沖縄県)金城綾子さん「未来を見据えて」大阪府立三国丘高等学校(大阪府)坂中愛実さん無題