17歳からのメッセージReport2003

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17歳からのメッセージReport2003

「自由課題」講評17歳からのメッセージ?[受賞作品集]??審査講評?3本テーマに7153編もの多数の応募をいただき、ありがとうございました。自分自身の内面を見つめ、自分の言葉でありのままの自分を綴った秀作が数多くありました。皆さんの作品を読ませていただき、非常に多くのことを考えさせられました。多くの応募作品に共通しているのは、「孤独への不安や恐れ」です。他人に受け入れられず、孤独に悩み苦しんでいる人、さらに孤独感から逃れるために、自傷や自殺を試みた人もいます。その一方で、孤独を恐れるために、他人に受け入れられるよう、複数の仮面を被り、自分を演じている人もいます。しかし、心の底では、本当の自分を表現できず、苦しんでいます。いずれの場合も、人と人との結びつきを強く求めており、自分の存在を受け入れて欲しい、本当の自分を知って欲しいという、心の声や叫びがヒシヒシと伝わってきました。自分自身と真っ正面から向き合い、自分の言葉で「今までの自分」を語ることは非常に難しいことだと思います。ときには痛みが伴うことでしょう。しかし、今の自分を直視しなければ、「これからの自分」は見えてこないのではないでしょうか。今回の作品の執筆によって、皆さんが新たな一歩を踏み出す契機になれば、評者としてこのうえなく嬉しく思います。「今までの自分、これからの自分」講評草野真樹●経営情報学部●担当科目:会計基礎論Ⅰ・Ⅱ/簿記システム論/株式会社会計受賞者のみなさん、おめでとうございます。今年は、2万2千を超える多数の作品が寄せられました。その超難関をくぐって選ばれたのが、みなさんの作品です。受賞作品は、それぞれに光るものがありました。気持ちがストレートに伝えられているもの、胸をつかれるメッセージなど、個性的な作品が選ばれています。受賞作品に共通しているのは、気持ちや思いが生き生きと表現されていることです。私は、「みんなこうすべきだ」という説教口調のメッセージや、「人間一般に人とのふれあいは大切である」といった解説口調のメッセージよりも、作者自身の生きた経験や、なまの思いをつづった作品を高く評価しました。受賞作品においてはそのほとんど全てが、作者の想いが真摯に、そしてストレートに書きしたためられていると思います。みなさんについて、「ぜひうちの大学に来て、知り合うことができたらいいのに」と感じます。みなさんの感性を大切に磨いてください。成長が楽しみです。古宮昇●人間科学部●担当科目:心理学入門/現代の心理学/臨床心理学/カウンセリング論/心理学実験演習Ⅰ/心理学研究法Ⅱ重森曉●経済学部(京都大学経済学博士)●担当科目:地方自治論/地方財政論自由課題には、実にさまざまな問いかけが寄せられました。ゴミ、食生活、喫煙、SARS、そして少年犯罪。「戦争」を取り上げた作品も目立ちました。「自分の誕生日が(イラクの)戦争中だった」と書いた人もいました。今まで知識でしかなかったものが、実感として迫ってくる驚きと戸惑いを、自分の言葉で表現したものが心に残りました。政治や不景気についても、大人の責任を一方通行的に問いただすのではなく、自分自身も現に係わっている問題として、深く考えたものが多く見られました。ただ、問題が大きいために、報道などの「受け売り」に終わってしまいがちだったのも事実です。社会問題を扱う難しさを感じました。しかし、ともすれば誰もが小さな世界しか見ようとしない風潮の中で、その試みは大切なことであると考えます。その一方で、まさにその自分の周りの小さな出来事から、世界への広がりを見渡す作品もありました。親や友人、あるいは私自身の内面を深く掘り下げた作品たちです。ここでも心に残ったのは、私を取り囲む世界を「死に満ちたもの」と感じる人が多かった点です。「死んだらどうなるのだろう」と多くの人が自問していました。「人間とは死亡率100パーセントの生き物」という言葉にははっとさせられました。今の時代が、皆さんに突きつけている不安について、改めて実感させられました。そんな中、受賞作には人間関係や身近な自然、そして今や最も身近にあるものかもしれない携帯電話から、今の自分のいる場所や存在そのものを見つめなおすものが多く選ばれました。決して明るくないかもしれない世界に向けて、皆さんが前向きに進もうとしている姿にエールを送りたいと思います。近藤直美●人間科学部●担当科目:文学入門/日本の文学/日本文化論/日本語表現/人間科学研究法Ⅰ/日本文学Ⅰ「私は日本に生まれて幸せだ。平和で、豊かで、便利だから。ケイタイで友達と会話ができ、インターネットで世界の情報を瞬時に知ることができるから。しかし、地球上には、戦争にまきこまれ、餓えに苦しみ、学校にも行けない子どもたちがたくさんいる。ストリート・チルドレンがいる。その子どもたちのことを思い、署名だけでも、わずかな募金だけでもしてあげたい。」―このようなメッセージがたくさんありました。太平洋戦争に敗れ、戦後の飢餓を経験し、朝鮮戦争やベトナム戦争を目の当たりにして、「こんな貧しい日本という国にどうして僕は生まれたのだろう」と、高校生の頃思ったことのある私にとっては、隔世の感のある作文の連続でした。でも、今の高校生たちの多くは、修学旅行でオーストラリアや中国に行き、アメリカやヨーロッパの国々でホームステイを経験しています。そうした経験を通して、日本の文化と他の国の文化の違いを実感し、新たな地球規模の人間的交流と、それぞれの地域に根ざした文化の継承・発展をたいせつに進めていこうという、若々しい意欲が育まれつつあることを実感しました。「人とのふれあいの中で…」講評「グローバル社会に生きる私」講評