17歳からのメッセージReport2003

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17歳からのメッセージReport2003

17歳からのメッセージ?[受賞作品集]??グランプリ?5いい年して「ピキッ」とか言うなよ…。もう50近いのに。そして父は続ける「蛍見に行こう!!」…。『ブーイ』動き出す。うるさい。私は思う「まだ明るいのにいるのか!?」案の定いなかった。わざわざ見に行かなくても家の近くにブンブン飛んでるのに。どうやら父はガッカリしたらしく、おとなしく家に帰ることにしたようだ。大人は年をとるごとに子供の時の記憶を思い出すらしい。だから父も突然「蛍を見よう」と言ったのかもしれない。忘れていた感覚。どこかなつかしい風景。そんなものを思いださせてくれるのが私の地元。私の地元は田舎だ。一家に一台絶対軽トラを持ってるし、田植え、稲刈りはなくてはならない年間行事。夏にはスイカが大量発生。家中のろうかがスイカでうめつくされる…。これが生まれた時からずっと続いている。昔と変わらぬ澄みきった青空と一面ミドリのカーペットをひいたような田んぼが広がっている。時間がゆっくりすぎていく。安心できるひととき。そして、軽トラは田舎娘を乗せて、ジャリ道を通るのだ。ゆっくり、ゆっくりと…。17歳の田舎娘よ。50年後の今、この気持ちを思い出して。友達が子供を産んだ。名前はあゆ。浜崎あゆみが好きだから。にしては、下ぶくれの平安時代にもてそうな顔。けどママは、あゆが世界一かわいいと思っている。家によく遊びに行くのだが、最近のギャルママは怖い。泣いているあゆに向かって、「飯か?しっこか?はっきりせい!」と暴言ぶり。だけど、おっぱいあげて泣きやませている姿を見ると、やっぱりママなんだなぁと思う。私の母の友達が子供を産んだ。四十四歳、高齢出産、ついでに四人目!名前はしんじ。一番上の子と十七も離れていて、「しんちゃんマンマよ?。あちゅいからフーフーね?」と、溺愛ぶり。とても四十四に見えない。あゆもしんじも偶然ながら同い年。将来、同じクラスになって、参観日なんかにママが並ぶとおもしろいだろうな。いろんな年齢のママがずらり。みんなママの自慢をしてほしい。私のママは若くてキレイ。僕のママは僕のこと大好きなんだって。今、親と仲が悪いっていう子がいっぱいいるけど、私たちが赤ちゃんだった頃から、親は私たちのことをこんなに愛してくれてるってことを忘れないでおきたい。私のママは私の服を着て、ティーンズ気分で出かけるし、顔のしわをエクボやって言い切るけど、その手のがさがさも、しわしわも、私のためやって思える。十七歳のママだって、四十四歳のママだって、ママはママ。ママは世界に一人だけ。高校生になり、僕の世界は急に広がった。高一の時には韓国に二度短期のホームステイに行き、今年の冬にはスウェーデンに行く予定だ。内緒で隣町まで遊びに行き、こってりと叱られた中学時代とは大違い。嫌いな勉強も語学だけは別で、今はフランス語を習っている。確実に世界の扉は開けてきている。今年のゴールデンウィークは友達三人と自転車で、成田空港を目指した。僕の住む我孫子市から、成田空港までは約50キロ。目標は、それぞれ行きたい国のお金に換金してくること。それを机の前に貼れば辛い勉強もなんとか頑張れる気がしたのだ。真っ赤に日焼けして帰宅した時、喜んでくれると思っていた両親は冷たかった。SARSが騒がれている中、空港に行くなんて信じられないと言うのだ。日本で発病もしていないのに、テレビの中の事を大袈裟に話す母親とは口論になった。怖がってばかりじゃ何もできない!不機嫌に部屋に戻ると、香港に転校した友人からメールが来ていた。SARSによる香港の現状と彼の祖母がSARSで亡くなった事が書かれていた。輝いていたはずの僕の世界が急に色を変える。現実の社会では、浮かれてばかりはいられないのだ。たしかに狭い日本の感覚で世界に出ていくことは、危険な事かもしれない。だが、それでも僕は色々な世界が見たい!ポケットの中の50クローネをぎゅっと握りしめた。駅の階段を下りて私は青ざめた。そこにいたのは軽トラに乗った父。まさか、軽トラで迎えにくるとは…。なかなか父もやり手だ。はずかしがりながらも軽トラに乗った。すると父が「さっき腰をピキッとやって痛い」と言う。父はオーバーだ。っていうか、グローバル社会に生きる私郁文館高等学校(東京都)田渕令士さんクシャクシャの50クローネ自由課題平安女学院高等学校(京都府)上田まなみさん軽トラと田舎娘大阪府立長野高等学校(大阪府)湯川奈央子さんママは世界一