17歳からのメッセージReport2004

17歳からのメッセージReport2004 page 10/40

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17歳からのメッセージReport2004

金賞?17歳からのメッセージ[受賞作品集]??8なかった…などと、私は掃除をしながら反省する。掃除は私なりのストレスの解消法でもある。教室を隅々まできれいにするためなら黒板、窓ふき、はき掃除も、どんなに時間がかかってもいい。使うものは、ほうきと雑巾。窓をピカピカにするには、いらなくなったプリントで磨くのがいい。窓は自分の顔が写るまで丁寧に磨く。今まで曇っていた窓が、私の手によってピカピカになると、たまらなく気分がいい。嬉しさがこみ上げるのと同時に、今まで自分の中にあった後悔や嫌悪感が窓のようにきれいに一掃されていく気さえする。私が遅くまで残って掃除をしていても誰も気づかない。別に誰かに褒められるためにやっているわけではない。でも、次の日、クラスの誰かが、教室がきれいになっていることに気づいてくれたら、とても嬉しい。お祭りへ行った日、お父さんに肩車してもらった私は誰よりも見晴らしがよかった。綿菓子を食べたあとの手で落ちないようにお父さんの短い髪の毛を握りしめながら見た景色は大人の世界だった。エスカレーターに乗るのが怖かった。電車とホームの間にある隙間が見えると足が竦んで跨ぐのが怖くなった。そんな時お母さんは決まって私の手を握ってくれた。「ギュッ」ってしたら「ギュッ」って握り返してくれた。あの時、私はどんなにほっとしたか…。よく公園へ連れて行ってもらった。その度に幸せにしてもらいたくって必死になって四葉のクローバーを探してた。だけどどんなに見方を変えたってそこには三葉のクローバーしかなかった。15歳。お父さんに肩車してもらわなくったってもう周りは見渡せるよ。お母さんに手をひいてもらわなくても、1人で歩けるよ。そう思っていたのが間違いだと最近気がついた。立派な大人に見てもらいたくて無理して背伸びしていたら転んだ。だけど起き上がるとそこにはいつもお父さんとお母さんがいてくれた。恐る恐る子どもから大人への隙間を跨ごうとしたけど怖くなってふと後ろを振り返るとそこにはいつも見守っていてくれるお母さんとお父さんがいた。見えないところで支えてもらっていた事に気づいた。15歳。大人と子どもの狭間で、私の四葉のクローバーの正体がお父さんとお母さんだったという事がわかったのだった。京都成安高等学校(京都府)中嶋友里乃さん四葉のクローバー