17歳からのメッセージReport2004

17歳からのメッセージReport2004 page 24/40

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17歳からのメッセージReport2004

人間は、知識を持ったウイルスであると、僕は考えている。生物というものは本来、自然と共存する術を本能的に知っている。周囲の環境に適応するために自身の身体を変化させる、いわば一歩退いた態度で自然の中に生きている。一方のウイルスは、自己確立のために他者を侵害する。他者を侵害することで自身の往みやすい環境を創り出すのだ。しかし、それはそれで自然界の中では均衡がとれていただろう。だが「人間」の場合、話は別である。自分も含め、彼らはウイルスと同じやり方で繁殖してゆく。しかし彼らは、ウイルスの持ち得ない「知識」を持っている。故に彼らはこう考える。「もっと往みやすい環境を創り出せることができるのではないか」と。そして彼らは侵食を繰り返す。自身の侵したあやまちを正すには無理な状況におちいるまで。「知識」は「向上心」を生む。我々の歴史は「向上心」によって創られたと言っても過言ではないと思う。しかしながら、僕は他者を侵害してまで幸せになりたいとは思わない。むしろ他者と共存してこそ本当の幸せを手に入れることができるのではないだろうか。他者を侵害すること、それが人間の性だとしたら、人間は滅びるべきかもしれない。「タッタ、タカタカターン、ラリ、ロンロンラリローン、パラパーラリ、ピーポー。」仲良しのA子ちゃんと歩いている時、思いつくまま口から出まかせの歌を、なぜかハモって歌っている。それがおかしくて、笑いころげ、盛り上がる会話。A子ちゃんと私。心がぴったり寄り添っている。こんなひと時、私の心は幸せで満たされている。私は小学6年の時、突然失明した。「なんで私なの?」って、神様をいっぱいいっぱい恨んだ。自分の障害に、なかなか向き合えなかった。つらくて悲しい日々。「本当の友達がほしい」と切望した。折も折、放送部の交流で、彼女と出会った。彼女は何の偏見も持たずに、自然に私に接してくれた。交流が重なるにつれて、いつの間にか、大の仲良しになっていた。視力を失ったことは悲しいけれど、かわりに人を信じること、人の心の優しさを知った。身近に、私の手を引いてくれる人がいる。話を聞いてくれる人がいる。手引きの手から、温かい心が伝わってくる。A子ちゃんは今、大学1年。私は受験生。絶対合格して、二人で旅行いこうね。また、変な歌うたいながら。一緒に歩くこと、楽しみにしてるからね。この前、鼻炎であまりにも鼻が辛かったので、久しぶりに病院に行った。診察を終え、薬をもらうまで時間があったので、ジュースを買いに売店へと向かった。その時、「すいません。ちょっと部屋まで押してってくれん」車椅子に乗ったおばあさんに話しかけられた。急に面識のない人に話しかけられて驚いたし、少し面倒とも思ったけど、おばあさんの優しい笑顔に負け、承知した。病室に行くまでに、色々なことを話した。おばあさんの入院生活のことや、自分の学校のこと。他愛のない、色々なこと。おばあさんは、話す時も聞く時も、いつも笑顔だった。表裏の無さそうな、すごく純粋な笑顔を見ているうちに、いつの間にか自分も笑っていた。久しぶりに心の底から笑ったような気がした。病室に着き、「本当にありがとね」「いいよ、気にしんといて。それよりも体大事にね」と話した後、自分は今来た道を戻った。いつもよりも、優しい気持ちで。自分から人の手助けをするのは、難しいかもしれない。でも、あの時のように助けを求められたら、次からはあのおばあさんのような優しい笑顔で応えられたら、と思う。私は努力することが嫌いだった。「努力」から逃げていた。頑張る人を受け入れることができず、何もできない自分にイライラしていた。母の言うことすべてが命令に聞こえ、素直に聞くこともなかった。高校3年生。私は今年受験生となった。努力が好きじゃなかった私は今までどれほどいい加減な勉強をしてきたのだろう。危機が来るまで本気の努力、本気で勉強をしてこなかった自分がいる。定期テスト、検定など、振り返ればいくつもある。努力でイイ点数を勝ち取った人を横目で睨み、開き直ったこともあった。今まで私は危機を感じた一時にしか「努力」をしてこなかった。そんな私を変えようとしたのは、最近見た父の姿だった。父は私が2歳の時、脳卒中で倒れた。今でもその後遺症として右半身が自由に動かない。よく工事現場に関わる父は、書類を一人でまとめることが多い。夜一人でパソコンに向かって書類をまとめている父の姿を何度も見たことがある。片手でキーを打つ父の姿は私とは懸け離れていた。毎日何種類もの薬を飲みながら寝る時間を削って作業をしている父には病気なんかに負けない気持ちと努力があった。それから私は少しずつ自分を変えたいと思った。努力を最初から諦める自分を。欲を言わず、1つの事に真剣に取り組む人になろうと決めた。本当に自分が変わることができたら父に一言、「ありがとう」と言いたい。「あなたと出会えてよかった」韓国の友達から、新年の挨拶の文面の中に何気なく書いてあったこの文章。私は、この文章を読んだ時、「あぁ、またこんな恥ずかしいことを…」としか思っていませんでした。私と彼女との連絡手段は、電子メールです。日本語を勉強したいという彼女の希望から、日本語でのやりとりをしています。彼女は、私の周りにいる人と違い、ダイレクトな言葉で自分の気持ちを表現してきます。そのような表現方法に慣れていない私は、「なんで、そんな大胆な表現をするの?」と思い、聞いてみると、彼女は、「曖昧な表現は私の考えや気持ちをあなたに伝えるには不適切だし、あなたとの出会いを大切にして発展させていきたいから、できる限り私の気持ちを分かってほしいから」彼女の返信に、私は少し驚いてしまいました。単に、直接的な表現方法しか知らなかったと思っていたからです。よくよく考えてみると、彼女は大胆な発言をすることが多いけれど、失礼な発言をしたことはありませんでした。相手の気持ちを考え、そして自分の気持ちをはっきりと伝える彼女は、私の憧れの人です。将来、私は国外で生活をしたいと思っています。「シャイで表現力の乏しい日本人」のイメージを拭いさるために、自分の気持ちをはっきりと言える人になりたいです。「あなたと出会えてよかった」と、はっきり言えるような人間に。パソコンの前。一人笑う私。画面をみつめながらタイピング。パソコンが喋り、パソコンに喋る。他人から見れば、異様あるいは変わった子といった感じだろうか。だがこれは私の生活のいちぶぶん。小四の頃から私は家庭の事情もあり、人の目を見て話せない軽い奨励賞?17歳からのメッセージ[受賞作品集]??22滋賀県匿名希望On-line Communication新潟県立阿賀黎明高等学校(新潟県)渡部貴将さん人間とは人とのふれあいの中で…?テーマ?静岡県立静岡商業高等学校(静岡県)鈴木貴美さんハートを動かした人福井県立盲学校高等部(福井県)冨久尾佳美さんと・も・だ・ち岐阜県立大垣工業高等学校(岐阜県)田島昂平さん笑顔愛知県立半田農業高等学校(愛知県)鈴木有佳里さん彼女との出会いで…