17歳からのメッセージReport2005

17歳からのメッセージReport2005 page 10/44

電子ブックを開く

このページは 17歳からのメッセージReport2005 の電子ブックに掲載されている10ページの概要です。
秒後に電子ブックの対象ページへ移動します。
「電子ブックを開く」をクリックすると今すぐ対象ページへ移動します。

概要:
17歳からのメッセージReport2005

僕には双子の妹がいる。しかも、ただの双子ではない。一人は知的障害、もう一人は心臓に奇形が見られ、日常生活に支障はないものの激しい運動は控えなければならないのだ。それぞれ精神と肉体のハンデを抱える双子。まるで漫画や小説のような出来過ぎの展開で、あまりに美味し過ぎる設定だ。さぞ面白い作品が出来上がることだろう。それがフィクションならば。悲しいことにこの世界はどこまでも現実で、現実にはハンデはハンデでしかなく、そこから御都合主義のいい話など生まれないということを、僕は妹たちを見て知ってしまっている。小学校までは何とか普通学級に通い、それでも授業内容の遅れはどうしようもなく、中学校で仕方無く障がい児学級に編入されて、「何で私は向こうのクラス(普通学級)じゃないの?」と聞いてくる妹に、僕は兄としてどんな答えを返せば良かったのだろう?まだ十にも満たない年で、検査の為に体に機械を差し込まれていた妹に、僕は兄として何が出来たのだろう?分からない。分からなかった。だから、僕がしたいことをしてあげようと思う。支えてやりたい。妹たちを、家族として、兄として。今までもこれからも、それが僕の全てだ。「また逢えるとイイネ。」中学3年生の頃、私が下校時に知的障害を持った人に話しかけられた最後の言葉。…あれから1年半が経とうとしている、いつもと変わらぬ日々。ある日、私は忘れかけていたこの記憶を思い出す出来事に接触した。平日の学校帰り。私はバスの座席に座り、疲れた体を揺すりながらいつものようにボーッ…としていた。そんな私に話しかけてきた知的障害を持った女性と出逢った。「見てぇ!鶴折ったの。いっぱいあるから一つあげるネ。」突拍子もない彼女の言葉に、どう返答して良いのか分からなかった。私は、ただただ手の平にポツンとある折り鶴を眺めた。健常者の私達からしたら、まるで小さな子供が折ったような綺麗とは言い難い鶴だったが、努力が感じられた。上手く折れなくても頑張って折ろうとする彼女のキモチはとても素敵なものだと。いつの間にか忘れていた『頑張る』こと。それに気付いた私は何だか嬉しくなって何故か自然と彼女に話しかけた。「ありがとう。上手だネ。部屋に飾っておくネ。」彼女は私よりも先にバスを降り、帰り際に、私に向かって笑顔をくれながらこう言った。「また逢えるとイイネ。」前にも聞いた事のあるセリフに懐かしさを感じた。先日、父にひどく叱られてしまった。理由は、四月の携帯電話の使用料が、いつもより高くなっていたとのこと。それも、大幅に上がっていたらしい。必死に訴える父を見て、悪いと思いながらも、心の底では少し嬉しく思っていた。実は、去年も四月だけ、他の月とは使用料が大きく違っていた。携帯を使っている張本人である私には、その原因がすぐに分かった。四月になると、新しい知り合いが増えたり、小・中学校の頃の友達と、久しぶりに会おう、ということになったりして、メールや電話の使用回数が、他の月より多くなる、ということだ。だから、料金表はたくさんの人に会った証のようで、嬉しく思う。私は、一月よりも四月のほうが、「はじまり」という感じがする。年が明けた、といっても、学校へ行ってクラスが変わるわけじゃないし、寒い気候が変わるわけでもない。自分の気持ちも変わらない。それに比べて四月は、全ての環境が一変する。周りの変化につられて、嫌でも「がんばろう」、という気にさせられる。今は、五月。四月は終わっても、「がんばろう」と、感じたことは忘れないでおこう、そう思っても、気持ちがたるむ頃。そこへ、あの料金表のおかげで、あの時の気持ちが思い出せた気がする。未だに怒鳴っている父に、「わかったよ、がんばるから」と言うと、不思議そうな顔をしていた。僕は弱視で、盲学校に通っている。小学生の時は、地域の学校に通っていた。その頃、よく病気やケガをした。じっとできず、いつも体のどこかが動いていた。テレビやゲーム以外のことには、ほとんど集中できなかった。勉強もきらい。運動もきらい。友達もいない。給食だけが楽しみだった。家に帰ると誰とも遊ばず、よくひとりごとを言っていた。自分の障害についても、理解していなかった。周りから見ると、とても「変なやつ」だった。その頃、担任の先生の紹介で、初めて盲学校のことを知り、体験入学した。盲学校の授業は分かりやすく、先生達は僕の話を聞いてくれた。嬉しかった。ここなら、僕でもやっていけると思った。中学からは盲学校に入学した。それからいろんなことにチャレンジし、僕は大きく変わった。運動は今でも苦手だが、頑張って野球や卓球をしている。やっているとだんだん楽しくなってきて、試合で勝つと、本当に嬉しい。体が丈夫になり、勉強もするようになった。友達もできた。はじめは絶対無理と思ったことでも、「やればできる」。自分に少しずつ自信がついてきた。今でも僕は「変なやつ」と言われるが、かなり「普通の人」に近づいたと思う。そして、まだまだ変われると思うし、自分の可能性を信じている。これからも僕は、いろんなことにチャレンジし、自分の世界を広げていきたい。そしていつか、自分の夢を実現させたいと思う。私が住んでいる町には、古びた駅がある。いつもそこから学校に通うのだが、時々私は年の離れた”友達“と会うのだ。朝早く駅へ行くと、またいつものように大量のゴミが置いてある。「無人駅」となると夜の駅はたまり場になるし、特別”駅をきれいにしよう“などといった活動団体もないためだ。私はいつもと同じ駅の風景の中、誰もいないホームで電車を待っていた。そんな時、私は”あの人“に出会った。「おはようございます。」と元気の良いあいさつと共に老婆が現れた。びっくりした。何故こんな早朝に駅にいるのだろう?私が尋ねると、ポツリと「私の町はここしかない。町に愛着があるから時々こうしてゴミを拾っているんだよ」と言う。そして駅に落ちているゴミを拾いはじめた。私は一度でもこのような事をしただろうか。もちろんこの町は私も大好きだ。でもたった一人の小さなおばあさんだけが大好きなこの町の駅のために行動をしている。17歳からのメッセージ?受賞作品集??銀賞?銀賞66点?今までの自分、これからの自分?テーマ?1北海道匿名希望Twins横浜隼人高等学校(神奈川県)加藤聖野さん懐かしき過去、忘れかけてた『頑張る』こと。石川県立小松高等学校(石川県)塚本愛美さん無題福井県立盲学校高等部(福井県)酒井秀典さん現在・過去・未来―変化する僕―長野県北佐久農業高等学校(長野県)佐々木睦美さん駅のホームで8