17歳からのメッセージReport2005

17歳からのメッセージReport2005 page 37/44

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17歳からのメッセージReport2005

17歳からのメッセージ?受賞作品集??奨励賞?僕は元々いた七人の中で唯一、高校から野球を始めた未経験者だった。一年が経ち、ましにはなってきていると思うのだが、やっぱりメンバーの中では一番下手だ。だから少し不安もある。僕の守備位置は外野なのだが、新部員の加入で、三つの枠を五人で争うことになった。そして僕以外は皆、経験者なのである。もちろん部員が多いことは嬉しいし、本格的な練習もできる。だが、これからは一つのエラー、一つの三振が、笑って「ドンマイ」ではすまなくなった。チームが勝てるならベンチで良いとは思わない。今までお世話になってきた先輩達の最後の大会までは、少なくとも先発出場したい。だがスポーツの世界は甘くはない。実力のある者ならば、年下でものし上がってくる。入部していきなりエースになるような人もいるのだから。だがここに一つ、宣言したい。宣言とはいっても、自分自身に対するものなのだが。絶対に負けたくない。いや負けない。勝負だ!一年生!三カ月後のその日、先発の外野手の中に自分がいることを宣言する。「鉄は熱いうちに打て」という言葉がある。鉄のように硬いものは、熱のある柔軟なうちに打て―つまり、物事を行う時機を見逃すな、ということである。これは、どんな事柄にも当てはまる言葉だと思う。例えば、今「やりたい」と思ったことがあるとする。それを「明日にしよう」と先延ばしにしてしまうと、その時「やりたい」と思ったことが、いつの間にかやりたいことではなくなってしまう。今、これだけは言いたい。言葉は、自分が思った瞬間に伝えなければ伝わらない、ということを。どんなに綺麗で相手に分かりやすい言葉を綴っても、思いが冷めてしまった言葉では、相手に上手く伝わらないような気がする。今、思ったことを伝える―上手く言葉になっていなくても、その言葉は相手に伝わるんじゃないかと思う。伝えるのは”言葉“じゃない。”思い“を伝えるのだ。言葉を以って、思いを伝える。”思い“は生まれた瞬間が一番強く、そして温かい。温もりのある”思い“を言葉に込めたとき、言葉は必ず思いを届けてくれる。”伝える“ということは、そういうことではないかと思う。伝えるということ―それは、人と人との関係を築く上で怠ってはいけないことだ。うわべだけの言葉では、思いは伝わらない。温かい思いを温かい言葉で伝えていく―そんな人に私はなりたい。僕には86歳になるひいおばあちゃんがいる。ひいおばあちゃんは、今でも温泉や旅行に行ったり、演歌歌手のコンサートに行ったりと、なかなか元気だ。そんなひいおばあちゃんは、時々僕の家に泊まりに来る。そんな時、僕も弟も大喜びだが、困った事が一つだけある。それは、言葉のジェネレーションギャップだ。大正生まれと平成生まれの間には、当然それが存在する。ある日、ひいおばあちゃんに「エモンカケ持ってきて。」と言われた弟は、その初めて耳にした得体の知れない物体を、何だかわからないままに探し回っていた。母に「ハンガーのことやで。」とクスクス笑いながら教えてもらっていたが、実のところ僕も知らなかった。又、別のある日、ひいおばあちゃんに「ジョウマエかけた?」と聞かれた僕は、少しあせった。「ジョウマエ…かける…」、こうなると、もうなぞなぞだ。「夜寝る前にかけるものは、なぁんだ?」答えは「鍵」。その場の状況と「かける」というヒントがなかったら、多分わからずに弟と同じ目に合っていただろう。他にもチリシ(ティッシュ)やマエカケ(エプロン)など、ひいおばあちゃんの言葉にはなぞなぞがいっぱいだ。しかし、これからもひいおばあちゃんとの「なぞなぞ」を続けて、ジェネレーションギャップを楽しみたい。私が中学生の時の、テストが返った時の決まり台詞2パターン。1つめ、「めっちゃ勉強したのに全然点数上がらんし。」でも実はあんまりしていなかったり、テレビを見ながらダラダラしていただけ。2つめ、「まぁ今回この教科は捨てとったから。」こう言って、自分はもっとできるんだと他人に証明したかっただけ。そうやって中学校生活を何となく過ごしてきた。しかし、さすがに中3の春頃から焦りだし死にものぐるいで努力し勉強した。どんどん点数が上がり努力する喜びを感じた私は、「良いな?頭が良い人は。」と他の人に言っていた自分が恥ずかしくなった。努力をしているから頭が良いのだ。ときどき勉強しなくても点数が良い人がいるが、その人は小さい頃や小学生の時の積み立て(努力の)があるからなのだ、と私は思う。私はこれを機に、勉強に対する考えが変わった。自分の将来に必要だと思わなければ勉強しなくても良いと思うが、単語や公式を覚えることだけが、勉強して学べることではなく、集中力・暗記力を身につけることができること、自分に合った勉強法・自分の好きなこと、得意なことを見つけることができること、それが将来必要なことを私達は忘れてはいけない、と私は思う。17歳という年は大事な時機だと思うので、今はたくさん学び、自分という可能性を伸ばし成長させていくことが大切だと今は思う。「少年よ大志を抱け」は前途洋洋たる若者に向けての言葉である。しかし、今の私は前途多難。大志を抱くほど余裕がない。今、私は三年生。進路を決め、それに向かってつき進む、まさに大事な時である。しかし、実際のところ、私は何がしたいのか分からない。聴覚障害者としてその中で生きてゆくのか、健常者の社会に入ってゆくのか二つの道の間で手当たり次第進路を挙げているが決めあぐねている。何故こうなのだろうか。将来に希望が持てないからだろうか。不況だとか高齢化だとか暗いニュースが絶えず流れているためか将来が不安で大人になるのをためらう自分がいて進路を決められないのではないかと思う。現在、世の中ではフリーターやニートの若者が年々増加し、社会問題になっている。この根本的な原因は私と同じような不安ではないだろうか。ならばどうするか。今、過ごしている日々を充実させ毎日を楽しむことができれば、これから明るい希望を見い出すことができるかも知れない。そんな人たちが増えれば、明るいニュースのあふれる世の中になるかも。そして、できれば聴覚に障害を持つ人々にも、もう少しだけ進学や就職への門を開いてもらえたら私自身の未来ももっと明るくなりそうな気がする。世の中よ、自分よ、「大志を抱け」もし、目の前に『パンドラの箱』が有ったら、私は自分自身を閉じ込めて、厳重に鍵をかける。この世界で生きていたくはないけれど、自殺する勇気は無いからだ。自分が他人と関われば他人を傷つけてしまい、その結果自分が傷つくのが嫌なのだ。私は他人が嫌いだし、他人は私が嫌いだろうから、私を世界から隔離した存在にしてしまえば簡単にケリがつくだろう。箱の中には希望兵庫県立姫路商業高等学校(兵庫県)井之上綾さん無題和歌山県立那賀高等学校(和歌山県)東裕基さんジェネレーションギャップを楽しもう岡山県立岡山南高等学校(岡山県)藤原莉沙さん学ぶということ佐賀県立ろう学校(佐賀県)川原えりかさん無題35長崎市立長崎商業高等学校(長崎県)臼井亜弓さんパンドラ