17歳からのメッセージReport2005

17歳からのメッセージReport2005 page 38/44

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17歳からのメッセージReport2005

しか残ってないのだから、きっと心地良い世界だと思う。優しい人は、こんな事を考える私を優しい言葉で諭してくれるけど、それは偽善と欺瞞であり無意味なのだ。言葉は救いにも慰めにもならない。気持ちは有難いと少しは思うが、私はそれを必要としていないのだから…。捨ておいてほしい。だけど感情は察知してほしい。大きな矛盾だが両方が本心であって、自分でもわからない。悩まない為にも私は一層強く独りきりで居る事を望む。それでもまだ此処に居てこんな文章なんかを書いているのは、まだ少し他人と関わる事に希望を持てている…のかもしれない。まだ辛いままだけれど、とりあえず今は全力で自分のパンドラの箱を探すついでに、この世界で殻を閉ざしながら笑うフリだけしていようと思う。…根本的な解決にはならないとわかっているのだが。私は、母を尊敬している。私の一番の理解者であり、そしてとても意志の強い人だ。私は最近まで、進路のことで悩んでいた。将来なんて就きたい仕事なんてまだわからない…決められない…もうどうにでもなれ!と、自分を見失いかけていた。勉強も手につかないまま時は流れ、不安と焦りでいっぱいだった。ある時私は母にボソッとグチを吐いた。母は洗い物の手を止めず、そして食器を見つめながら、今までの人生を語ってくれた。数年前、母は仕事をしながら独学で救急救命士の資格を取った。夜中に一人、台所のテーブルで勉強していた姿を今も覚えている。そして今母は、ずっとやりたかった仕事を手に入れている。「何年か前はこの仕事に就くなんて夢にも思ってなかったけど(笑)大変だけど充実してる。」そう言って笑った母の顔は、いつもよりとても輝いていたように感じた。「人生なんてどう変わるか、わからないんだから。気ィ張らずに、好きなことをやりなさい。」私よりずっと長く生きてきた母からのアドバイス。何も直接的な解決法を聞いたわけではないが、私の心に深く染み込み、肩の荷を軽くしてくれた。私も、母のような充実した生活が送れたらいいな、と思っている。お母さん、ありがとう。これからも、よろしくね!父が仕事をやめた。私の家は田舎ではよくある兼業農家で、父は会社に勤めながら、休日に少し農業に携わる程度だった。しかし、私の家の周りは専業農家の家も少なくない。その人たちと触れ合ううちに、父はしだいに農業に興味を持ち始め、そしてついに仕事をやめて本格的に農業を始めると言い出した。私は、どうせ本気ではないだろうと、思っていた。しかし、父は本当に会社をやめてしまった。私の家庭は再婚家庭であるため、父は、母と私にいつも弱かった。その父が、めずらしく強気で出て、ゆずらない。ここまで父を動かすものは何なのか。毎晩遅くまで、化学や生物学を勉強する父の姿を見て、私は少しだけ理解できたことがある。家族七人を背負って、一からスタートすることは、大きな迷いと並々でない決意が必要であったに違いない。それでも、挑戦してみたい、何かを始めるということに遅すぎるということはないんだ、という強い気持ちがあったということだ。不満や不安がないとはいえないが、何か私にできることはないかと考え始め、奨学金制度を利用することを決めた。私にはこんなことしかできないけれど、父にがんばってもらいたいと思っていることは本当であることを今、わかってもらいたい。言葉が足りなくて伝わりにくいかもしれないが、私の気持ちが父に、ほんの一片でも伝われば、他に言いたいことは何もない。17歳からのメッセージ?受賞作品集??奨励賞?鹿児島県匿名希望巣立ちへの想い鹿児島県立伊集院高等学校(鹿児島県)日唯さん伝えたいこと36◎山梨県立日川高等学校の1名の方が奨励賞に入賞されましたが、本人のご希望で掲載しておりません。◎全作品原則原文のまま掲載しておりますが、一部誤字等大学側で訂正いたしました。