17歳からのメッセージReport2010

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20 17歳からのメッセージ17歳からのメッセージグランプリ学生審査員賞金賞銀賞奨励賞学校特別賞応募参加高校一覧気が付けば雨は上がり、空が薄く虹色に染まっている。足取りは少しだけ軽くなっていた。みんなの辞書広島県立広島工業高等学校(広島県)佐々木弘樹さん例えば『素直』という言葉を辞書で調べてみると、性格や態度にひねくれたところがなく、人の言動などを逆らわないで受け入れるさま……らしい。辞書にこんなことを言うときりがないのかもしれないが、自分はこの答えに納得できない。『素直』にもさまざまな種類があると思うからだ。自分の言いたいことを率直に言うのも『素直』だと思う、自分のしたいことを自由にするのも『素直』だと自分は思っている。こんなことを考えてみると、この辞書というモノは大人に似ているのかもしれない。皆同じような考えを持ち、似たようなことしか話さないからだ。たしかに話すことや考え方は全て正しいことだとは思う。しかし、あまりにも悲しすぎやしないか。世界中にこれだけの人間が居るのにも拘わらず、あまりにも統一感がありすぎるのではないか。もっと個性を出してはいけないのか、もっともっと自分に『素直』になってはいけないのだろうか。自分も将来はきっとこんな大人になってしまうのだと思う。周りの雰囲気に流され、自分のやりたいと思ったことも、きっとできなくなってしまうのだ。けれど十八歳である今に、このようなことを書くことができ、少しは将来『辞書』になってしまう自分に警告文を書けて良かったと思うのである。遠回り梅光女学院高等学校(山口県)村田真衣さん「あなたの将来の夢は何ですか」そう聞かれて私は、何の迷いもなく看護師になることですと答えてきた。もちろん嘘ではない。人の役に立てるのなら何でもしたいと思っていた。しかし、その夢に一度迷ったことがある。ちょうど高校二年生の時だった。私は看護師の一日体験に出席した。患者さんのかかえている病気やその症状、接し方が様々であることは理解していた。しかし、患者さんの体をふいてあげた際、怖くなってしまったのである。体のやせ方が私の想像をはるかに越えていた。それからである。看護師になって、動揺することなく患者さんのために働けるのかと思うようになったのは。しかし、そう思うようになってから人のために出来ることが、看護師だけではないことも後に知ることが出来た。それが学校で最も力を入れている募金活動であった。私が少し買うことを我慢して、募金することで、世界の人の力になることが出来るのだと知った。少し世界の人のことを考えて、行動することが会えなくても役に立てるのだと知った。私は自分の目の前のことだけで行動することが人の役に立つということだと思っていた。しかし、目で見えなくても自分から行動することも誰かの役に立っているのだと理解出来た。まだ看護師になると決めることは出来ない。しかし、視野を広くすることが出来たのだから、看護師になる気持ちも忘れず、将来の道をみつけたい。好き嫌い愛媛県立南宇和高等学校(愛媛県)中井優希さんどんな人にも「好き嫌い」というものがあるだろう。「好き嫌い」があることについては特に問題はない。しかし、それを表に出したとき、問題が生じることがある。例えばある人が「○○という漫画が好き」と言ったとする。それを聞いた人の中にその漫画を嫌いな人がいても、「そうなんだ。」や「あまり読まないな。」などで返せば問題は起きない。ところが、時には「えー!あの漫画つまらないっ、あんなの読まないよ!すごく嫌い」と返す人もいるだろう。嫌いなものを嫌いと言って何が悪いんだ、と思う人もいるかも知れない。しかし、言われた方の立場に立つと、とても辛い。私が、自分の好きなものを否定されたら、自分自身を否定されたような気分になる。つまり、心から好きなものというのは少なからずその人自身を形成している、と私は思う。私が考えてほしいのは、ある物事に対して、それを嫌いな人がいる一方で好きな人もいることとそのある物事を否定する意見を表面化したとき、傷つく人がいることだ。そして、大事なのは自分と反対でも一つの意見として受け入れること。どれも自己中心的な考えを持っていてはできない。人のことを考え、認めることが自分のためにもなると思う。私もまだできてないことが多く、難しいことではあるが、日々の生活の中で考えていきたいと思う。小さな命高知市立高知商業高等学校(高知県)大畠菜摘さん私は、幼い頃から昆虫が好きだ。これを理解してくれる女友達は、まだ1人もいない。気持ち悪いなどと否定される場合がほとんどだ。確かに、女の子で虫が好きな子は滅多にいないと思う。たまに、触るのは平気という友達はいるが、やっぱり好きではないらしい。別に、昆虫が好きだからと言って触ろうという気にはならない。なぜかというと昆虫にも気持ちというものがあって、その気持ちを考えるからだ。もし、自分が普通に道を歩いているときに、自分より比べものにならないような大きな生物にいきなり体を触られたらどうなるか。私ならパニック状態に陥るだろう。きっと「昆虫に気持ちなんてあるわけない」と思う人も多いと思う。けれども、私は昆虫に気持ちがあると信じている。だから、むやみに殺したりはしないし、殺している人を見ると嫌な気持ちになる。昆虫を捕まえて、羽や足をちぎって遊んでいる人を見ると寒気がする。もし、あれが自分なら、と想像してしまうからだ。世間一般的に、害虫と呼ばれる昆虫までも殺すなとは言わないが、一度だけでも昆虫の気持ちを考えてみてほしい。昆虫も小さな命なのである。それを粗末に扱ってほしくない。