17歳からのメッセージReport2010

17歳からのメッセージReport2010 page 23/44

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22 17歳からのメッセージ17歳からのメッセージグランプリ学生審査員賞金賞銀賞奨励賞学校特別賞応募参加高校一覧まったく入らず父も母も深刻に悩んでいたがそんな素振りはまったく見せない。心配をかけさせたくないのだろう。だが、そうは言ってもお金がない。父は福岡に働きに行くことになった。だから、また家に帰っても父がいない日々がやって来た。母も7月には福岡に行く予定だ。向こうの方が収入は増えるし、何よりも父の身体が心配なのだろう。父も母も自分の為に頑張ってくれている。そんな2人の子に生まれた俺は本当に運が良い。そんな2人に育てられた俺は幸せ者だ。だから、今は一生懸命に勉強することで恩返しをしたい。父や母、そして自分に関係する人全てに支えられて今の自分がいる。いつかその恩に応えられるような立派な大人になり、今度は自分が誰かを支えて生きていく人物になりたい。親離れ沖縄県立那覇特別支援学校高等部(沖縄県)國吉真奈美さん私は、車椅子の十六歳です。小学校一年生の時から、施設に入っていて、高校生になってから、家族が非常にうるさく感じるようになりました。将来、私は一人暮らしがしたいのに、「おまえは人の助けがないと生活できないだろう」と言うのです。私もよくわかっている。でも、一人暮らしするためにグループホームから始めてみたい。そんな私の気持ちをわかってくれない。きっと私のことを心配しているのだと思う。それはそれで嬉しいのだけれど、少しは自分のことも信用してほしい。やりたい事を自分の力でやってみたい。自由に生きたい。仕事してみたい。これまでお世話になった親には感謝している。けれども、一人でやってみたい気持ちが強い。「私は絶対、夢を叶える!」新しい親子常総学院高等学校(茨城県)田野陽子さん「最近、調子どう?」「今月もあかんかったー?」始まりはいつも、このやりとりからだ。親子の会話は毎週土曜日、受話器越しに交わされる。父の仕事がうまくいかず、家族がそれぞれの実家へ別れて暮らすようになったからだ。「頑張りぃよ?。働けるうちに働かな、あかんでぇ」「うん…」「もぉ!しっかりせな」「…」分かっている。毎週、答えの分かりきった問いを繰り返していること。しかし学校で色々と学んで不安になり、訊ねては「ちゃんとしてよ」と突き放してしまう。父が失業していた頃の方が、私は父につらくあたっていた。母の苛立ち、学校でのストレス、妹の反抗期、買いたい物が思うように買えず、大学に行けるかも分からない――…。一人で抱えるには大きすぎた、もやもやとした不安の捌け口にしていたのかもしれない。離ればなれになってから初めて、今更ながらそんなことに気づいた。後悔の念が押し寄せた。親孝行したい。そんな思いが日に日に強くなった。こんな私が、父と離れていても出来ることは何だろう?ふと目についた、高校入学祝いのプリペイド携帯。「お父さん」何かつらいことがあったら、すぐメールして。楽しいことがあっても、いっぱいメールしてね。いつでもいつまでも話聞くから。父のと同じプリペイドは、親子の関係を新しい方向へと導いてくれるだろう。失って気づくもの日本橋女学館高等学校(東京都)池内みやさん私は高校生になってから昔の事をよく思い出すようになった。そこには小学生にもなっていない私がいて、目の前にはしゃがみこんで泣いている母の姿がある。今の私には何てことない風景、でも幼い頃の私の心は不安で一杯だった。今思うとその時からだと思う、母が泣く姿を見る回数が増えていったのは。私は回数が増える度にだんだんと慣れていった。その風景に、心を埋めつくしていたたくさんの不安に、そして私が「またか。」と思うようになった時には私は母と話さなくなっていた。今の私はこの時の事を思い出す度に思う事がある。それは、人は感情をもつ生きものだからどんなに嫌な事でも続けていくうちにそれが自分の中で「当たり前」になっていくだろう、それはとても良い事だと思う。人はその能力がないと生きてはいけないと思うから、けどそれは裏を返せば自分の意志や心を無視することにもなっている。きっとそのほうが楽だろう、流れに身をまかせれば自分が傷つくこともない。しかしそれは確実に未来の自分へと影響を与える。それに気づいた時にはもう手遅れな場合が多い、今の私は昔の事を後悔している。あの時、心の中の不安を押しきって何か行動を起こしていたら今の私は何か変わっていたのではないか。たとえ幼い自分一人が行動していたって現状は変化しないかもしれないけど流れに逆らって生きてみる事で痛みを伴う分得られるものの大きさに今の私は気づいている。失って気付く大切なもの高岡第一高等学校(富山県)山本千紗さん家に帰ると骨壺と写真に「ただいま」と言うのが私の日課となっている。帰宅後だけでなく、おはようからおやすみまでを私は彼女に言う。彼女は先月亡くなった猫である。まだ3才だった彼女の死は私に大きな悲しみと成長を与えた。命あるものに死は必ずくる運命なのだと、私はその真実を受けとめていた。死んでしまえば、友達もお金も何もかも意味がなくなる。だから私は何にも執着せず生きていこうと