17歳からのメッセージReport2010

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30 17歳からのメッセージ17歳からのメッセージグランプリ学生審査員賞金賞銀賞奨励賞学校特別賞応募参加高校一覧んと。千尋は変わらないよね。」友達が笑った。何となく近くのソファに立ってみた。高い。(身長148cm +ソファの高さ30cm =178cm )「うわ!178cmの人の視界ってクリア!」ソファで跳ねる私に友達が言った。「でもそれ、背が低いから感動するんだよ。」「何が?」意味が理解できず。「だからー、それ背が高い人がしゃがんで148cmの世界体験しても感動しないって話。」「え?そう?」「そうだよ!しゃがめば体験できるんだから。」なるほど。納得。ピョンとソファから降りた私に友達が笑いながら言った。「やっぱ千尋はその身長がいい。178cmはきもい。」「何それ!」憤慨する私。でも内心嬉しかった。友達はきっとこう言いたかったのだ。今、小さいからこそこれからの成長が楽しみなんだ!今のうちに背の低い人生エンジョイしときな!あれから何年かたった今、私はずっと148cmをエンジョイしている。夢の設計図沖縄県立開邦高等学校(沖縄県)東濵蓉さん大人と子どもの境目がどこにあるのか正確に答えることはできないけれど、もしそれがあるとしたら、私は今、目の前に「大人」という壁が近寄ってきている感じがする。もちろん私が成長していく上で「大人」に近づいていくのが当たり前なのだが、それがどうも逆に感じてしまうのだ。「大人」は待ってはくれない。私がそう感じるのは、今の私が、小学生や中学生の頃に思い描いていた「17歳」とは違うものであるからだ。それは決して環境のせいではない。ただ楽なほうだけ選んできた人生、明確な目標をもたずに今に至る、といった感じで、そんな私は自分の置かれている立場だけが大きくなって、まるでサイズの合わない服を着せられているように感じるのだ。あの頃は「大人」が遠すぎて「どうにかなるさ」と何も考えずに過ごしていたが、今この瞬間だって、確実に未来へと、「大人」へと近づいている。その「大人」まで、目の前にある小さな目標を大事に積み重ねていきたい。例えば人生は、家を建てるのに似ていると思う。設計士がはっきりと設計図を描き、それをわかりやすく大工に伝える。しっかりとした設計をしていると丈夫な家が建つし、逆だと大工も手を抜いてしまう。同じように、自分がしっかりとした夢や目標を持っていると周りの人が支えてくれる。いつか自分の建てた夢の前で、私の設計は間違ってなかったと、胸を張って言えるようになりたい。心意気沖縄県立那覇高等学校(沖縄県)平安座美央さん私は中学まで1学年20名程の小さな島で育った。島の人はみんな家族のように接してくれる、とてもあたたかい環境だ。しかし、そんな島で育つ子ども達には避けて通ることができない壁がある。それは「島を出る」ということ。島には高校がない。だから中学を卒業すれば全員が島を出て、それぞれ本島の高校に進学しなければならないのだ。私は前へ前へ出たい性格で、とても負けず嫌いだった。島を出る時も、絶対に周りに流されないと心に刻んだ。けれどいざ高校に入ってみると人の多さに圧倒され、自分の存在がとても小さく感じるようになった。たくさんの人と出会うことで自力の無力さを知り、自分の中で勝手に限界をつくるようになっていた。そんな諦めぐせのついた自分が心の中ではとても嫌で、いつもモヤモヤとした気持ちが続いていた。そんな時出会ったひとつの曲に、こんな歌詞があった。「全てはその心意気でしょ?」このひとことに私はどきっとした。どこか環境のせいにしている自分の弱さを言いあてられたような、そんな気がした。でもそれと同時に、心持ちひとつで自分を変えることは絶対にできる!とも思えるようになった。これからどんどん年を重ねて大人になっていくけれど、いつだって自分の力を信じることができる人になりたいと思う。あの頃の自分に胸をはれるような生き方をしていきたい。「旅」とつながり山梨県立都留高等学校(山梨県)石井大和さん「ボク、どこから来たの?」「あ、山梨からです」「まあ!そんなに遠くから、ひとりで?えらいねぇ」一人旅先で寄った仙台のとあるお店での会話である。僕は昔から鉄道を使った「旅」を計画して実際に行くのが好きだ。「旅」をしていると、初めて見る物、する事がいっぱいで、とてもうれしかった。心にあったはずのモヤモヤや、以前気にしていたことが小さく見えてきて帰ってきた時、とても晴れ晴れとした気分になる、それがたまらないのだ。「ボク、これからどうするの?この町案内するけど」僕は地元の人に案内してもらったことがなかった。初めての事ができる、そう思うと、心踊る気分になった。地元の人しか知らなそうな所や、昔話など、お店のおばさんはたくさんたくさん教えてくれた。ふと疑問に思った。なぜおばさんは見ず知らずの僕をこんなに良くしてくれるんだろう?おばさんにその疑問を投げかけてみた。すると、「孫みたいでね、なんだかうれしいんだよ」その言葉に僕の心はとても温かくなった。別れの時、とても名残惜しくなった。たった1日、見ず知らずの人なのに、こんな気持ちになるなんて…不思議に思ってしまう。仙台と山梨、遠くても実はつながっている。これを実感する「旅」、かけがえのない「旅」。大好きだ。手のぬくもりから学んだこと山梨県立都留高等学校(山梨県)石井里奈さん三年くらい前のことか。私は老人ホームを慰問したことがある。私が所属しているボランティア団体の活動の一環ということだった。誰でも知っているような懐かしい歌を四曲ほど歌って老人ホームの空気が和みはじめた頃、ヘルパーさんが言った。