17歳からのメッセージReport2010

17歳からのメッセージReport2010 page 33/44

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32 17歳からのメッセージ17歳からのメッセージグランプリ学生審査員賞金賞銀賞奨励賞学校特別賞応募参加高校一覧はかなりきついメニューを組んでいた。時には、できるまで終わらないこともあった。後輩達もそれに必死にくらいついてきてくれた。そして最後の試合、優勝はできなかった。しかしその時私がずっと思っていた優勝したいという気持ちはどこかに消えていた。みんなの練習での必死な姿を見ていたからだ。結果発表の時、横を見ると後輩達が「先輩達の最後の試合優勝したかった」と泣いていた。あんなにきついことなども言ってきたのに自分達のことで泣いている姿を見て、これが本当の「繋がり」なんだと思った。きついことを言え、またそれを受け止めるのは信頼関係がないとできないと思う。信頼関係を築くには1人1人との「繋がり」が大切だと思った。そのことをきづかせてくれた仲間は今もこれからもずっと私の誇りだ。緑のテープ大阪府立八尾翠翔高等学校(大阪府)大石一貴さん私の部屋の床には緑色のテープが、部屋を奥と手前に分けるように貼ってある。私の、といっても弟と共同の部屋である。弟は部屋を片付けるのが苦手だ。弟の机の上にはマンガや文房具、服などが無造作に積みあがっていて、勉強ができないほど酷い有様だった。当然、机の上だけではなく床にも物が乱雑に置いてあった。ほぼ毎日、親から「片付けろ」と言われていた。当時小学生だった私は少なからず迷惑していた。そこで思いついたのが、テープで境界を作り、自分の所だけ綺麗にすることだ。部屋を見た瞬間、弟は大変驚いた顔をしていた。あれだけ汚かった部屋が半分だけ綺麗に片付いていたからだ。次の日の朝、自分の机の上に紙切れが一枚置いてあった。昨日こんなのあったかと思いつつ見ると「兄ちゃんキライ」と書かれていた。当時は何故こんな事を伝えられたのかさっぱり解らなかった。しかし最近になって何が言いたかったのか理解できた。多分、急に境界を作られて自分が見放されたように感じたのだと思う。それが解ってから私は、人の気持ちを理解するよう心がけている。弟は気付いただろうか。テープが短くなっている事に。二つに分かれて見える部屋も一つにつながっていることに。「アンから学んだこと」大阪桐蔭高等学校(大阪府)中村朱里さん「朱里が日本へ帰ってもずっと友達だよ。」とアンは私の目を真っ直ぐ見つめて微笑んだ。アンとは私が去年の夏、初めての海外研修旅行でマレーシアを訪れた時に出会った同い年の女の子だ。私が四日間お世話になったのは幼い子供だけで六人もいるという大家族で、アンはその家の長女だった。彼女は私が慣れない生活に戸惑っている時もすぐに状況を察知し、丁寧に教えてくれた。私は御礼に日本から持参したトランプのルールをアンに教えた。私の滞在中アンはずっと側にいて、出国前に抱いていた水や電気すら通っていないような場所で生活していくことができるのだろうかという不安を消し去ってくれていた。別れの日の朝、アンが舟の中でその言葉をつぶやいた時、私は今までこらえていた涙をおさえることができなかった。たった四日間の滞在だったのに、まして住んでいる国も文化も何もかも違う中でこんなに別れる時に胸が一杯になる友達に出会えたことに心の底から喜びを感じた。お互いに異なった生活環境や、価値観の相違がある中でなぜ今回私はアンとあんなにも仲良くなることができたのか。それは私がマレーシアでの生活スタイルを尊重し、またアンもそれを認めてくれたからではないだろうか。だからこそ私たちは四日間という短い時間でこんなにも堅い信頼関係を築くことができたのだと私は思っている。惑わされてはいけない兵庫県立網干高等学校(兵庫県)中村彩さん人と人とのつながりははっきりと目に見えるようになってきた。携帯電話やメールなどを利用し、多くの人とつながることができる。しかし今の時代の中で、目に見えているつながりは本当のつながりなのだろうか。私は以前、友達に一通のメールを送った。内容はたわいのないものだった。何通かしているうちに友達と言い争うようになってしまった。相手の顔が見えないことを良いことに心では思ってもいないことまで言ってしまっていた。そのメールを境に、その友達とのつながりはなかったもののようになってしまった。今の時代、私たちの周りには簡単に人と接触できるものが増えてきている。実際に私もそれを利用し、生活に欠かせないものになっている。だが、そのようなものばかりに頼っていて本当に人とつながっていると言えるのだろうか。本当の人とのつながりは、自分自身が相手と向きあうことによって築かれていくものだと思う。文字がただ並べてあるだけの画面を見てその人を判断するのは間違っているのではないだろうか。大切なのは、メールなどの道具を使わず、自分自身で相手と正面から向きあうことである。そうすることによって、心でつながっていると思うことができる。そう考えながら人間関係を築いていくことが、これからの時代にとって必要なのではないだろうか。人と人とを繋ぐ橋神戸市立兵庫商業高等学校(兵庫県)藤島彩さん朝、私のおばあちゃんが小学生の子供達と挨拶している姿を見て私は胸が温かくなった。私のおばあちゃんは毎朝小学生達が危険な目に遭っていないかを見守る活動を地域の方と一緒に行っている。始めたばかりの時は小学生達に「おはよう」という言葉を掛けてもなかなか次の言葉が返ってこなかった。小学生達も何か言いたそうだったが恥ずかしさが勝って何も言えなかったみたいだ。しかし毎朝活動を続けていると次第に挨拶をしてくれる子が多くなった。その中でも一番印象に残っている子は知的障害を持った子だ。その子は話す事も少し困難だが、人一倍元気よく挨拶したり、その日学校であった事を話した。するとある日、その子が毎朝話しに来る時間になっても来なかった。心配になり、色んな人に聞いて家へ訪ねた。しかしただの寝坊だった。その日の夜、「寝坊でよかった。何かあったらどうしようと思った。」と言った。まるで自分の孫の事かのように話していた。毎朝挨拶するだけなのにいつの間にか人と人の間にはとても大切な何かが生まれる。たった四文字の「おはよう」という言葉。しかしそれは人と人とを繋ぐ橋だと思った。だから