17歳からのメッセージReport2010

17歳からのメッセージReport2010 page 4/44

電子ブックを開く

このページは 17歳からのメッセージReport2010 の電子ブックに掲載されている4ページの概要です。
秒後に電子ブックの対象ページへ移動します。
「電子ブックを開く」をクリックすると今すぐ対象ページへ移動します。

概要:
17歳からのメッセージReport2010

さまざまな思いがこめられた作品が届いた第10回。厳正なる審査の結果、受賞作品140点を選定。2002年、創立70周年を迎えた大阪経済大学。その記念事業の一環として開催された「高校生フォーラム・17歳からのメッセージ」は毎回好評を受け、今回ついに節目となる第10回を迎えました。そして今回も、北海道から沖縄にいたるまで、全国420校の高校にご参加いただき、応募総数29236点の作品が寄せられました。29236点の内訳は、テーマ①「今までの自分、これからの自分」12949点、テーマ②「人とつながる・社会とつながる」3758点、テーマ③「今、伝えたいこと(自由課題)」12529点。今回も、一点一点に、高校生たちを取り巻く切実な現状や心に秘めた本音が綴られ、高校生たちが自分の意見を語る場を強く求めていることを改めて感じました。去る9月3日、大阪経済大学内にて選考会が行われました。最終選考にあたった審査委員は読売新聞大阪本社論説・調査研究室長波多野敬氏、進研アド『大学発見ナビ』シリーズ編集長蓮見浩一氏、元伊都高等学校校長松本公望氏、本学理事長勝田泰久、本学学長重森曉、教員からは近藤直美、浅田拓史、小松亜紀子、三島重顕、安井栄二、山田文明、学生からは中谷任智さん、丹羽淳貴さん。作品は、希望、不安、怒り、悲しみなど人それぞれの複雑で繊細な心の内を見事に表現した個性的なものばかり。文章の完成度、素直な感情を表現できているか、おもしろさなど、各テーマとも選考基準が難しく、審査員の皆さんを悩ませました。そして厳正な審査によって、グランプリ4点(学生審査員賞1点含む)、金賞5点、銀賞に57点、奨励賞に74点が決定。こうして、来年の開催への期待を新たに、第10回選考会は幕を閉じました。自分の思いを文章で表現すること。それは、きっと人生を楽しくする。「無縁社会」に生きる17歳の作品から縁の素晴らしさが伝わってきた。この夏、ある言葉を頻繁に目にしました。「無縁社会」戸籍は残っているのに所在が分からない超高齢者の存在が、相次いで表面化しています。「親の居場所を知らないなんて……」という、親族や地域社会の無関心に対する驚きと怒りが、「無縁社会」に込められているようです。寒々とした、悲しい響きの言葉です。この言葉が、それまで以上に気になり始めたのは、全国の高校から寄せられた、2万9千余点の「17歳からのメッセージ」に接したからです。親、兄弟姉妹、友人、恩師であったり、地域の人々、あるいは見ず知らずの人の場合もあるでしょう。人と人との縁(えにし)を通じて、己を見詰め、考え、明日の自分を描く17歳がいました。無論、つらい縁、厳しい縁、苦い縁もあるでしょう。しかし、どのメッセージからも、縁の素晴らしさが生き生きと伝わってきました。つい「多縁」「豊縁」といった、ありもしない日本語を思い浮かべてしまいました。書くことで、自分の考えが、くっきりと見えるようになる。何でもデータ化される現在、高校生が自分の考えをアナログな書き文字にはなかなかしないだろう。文字を書く、文字が連なって文章になる。文章の固まりはエッセイとして、自分の意見を表す。簡単なことだが、その難しさを今回応募した高校生は感じたと思う。しかし、その難しさを乗り越えて、自分の意見を100%表現できるエッセイが書けたらと想像して欲しい。自分の思いを、共有言語を持たない(かもしれない)他人にさえ、伝えることができたら、みんなの意識は飛躍的に広がるだろう。関わる世界もそれに伴って広がっていくに違いない。日本人である以上、今後も日本語から離れることはできない。せっかく文章を書く機会を持ったのだから、自分の意見をもっとストレートに表現できるようになるまで、文章を書く習慣を持ったら、今後の人生も楽しくなるのではないだろうか。受賞作品選考会レポート読売新聞大阪本社論説・調査研究室長波多野敬氏進研アド『大学発見ナビ』シリーズ編集長蓮見浩一氏17歳からのメッセージ??