17歳からのメッセージReport2010

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17歳からのメッセージReport2010

「おはよう!」父の朝一番のあいさつは愛する母や子ども達ではなく、ビニールハウスの土の中で眠っているトマトやメロンの苗だ。私の父は8年前、何十年と続けた仕事を辞め、長年の夢だった農業をするべく、高知県の山奥から北海道へと移住する事を決意した。兄4人と末っ子の私を含めた子ども達は反対した。それでも父の意志は堅く、働いていた長男、次男以外の下3人が父と母と共に北海道へ行く事となった。そこから父の挑戦は始まった。それから8年、今では家のすぐ近くにはたくさんのビニールハウスが建っている。そのビニールハウスの中で毎日、父と母がたまにはケンカしながらも一生懸命トマトやメロンを育てている。味はそんな2人の愛情たっぷりで甘くておいしい。高知では見る事のできなかった父や母の輝いた姿に私も何だか嬉しい。小学生だった私も今では高校生だ。高校は奈良の父が通った学校へ合格した。この町に来てもう4年目になる。この場所は父と母が出会った所でもある。2人の歩いた道を私もゆっくりと辿っていく。お父さん、お母さん、いつもありがとう。私にとって2人は自慢の両親です。父や母の汗や笑顔がかくし味のおいしいトマトやメロンが、日本全国の家庭の食卓に並び、誰かの笑顔に繋がる事を祈って、今日もビニールハウスには父の声が響き渡る。私が学校から帰ってくると、いつも昼寝している母。昼寝と言っても時間は午後6時。ベランダから入る沈みかけの太陽の日が丁度母の顔にあたって、凄くまぶしそう。まぶしいなら起きればいいのに。「お姉ちゃん、ごめん。またパソコン教えてくれる?」もう何度目かわからない即席講座。「いいかげん覚えてよね」って私が言うたびに「本当ごめんね」だって。仕事のレイアウト「これどうかな?」って聞くのはいいけど、人が何か言うと「え?」って言う。それなら最初から聞かないでよ。学校に遅刻しそうで急いでるのに、行こうとすると、奥から「待って待ってー」って出てきて「いってらっしゃい」と一言。急いでるって言ってるじゃん。でも私は知ってるよ。いつも昼寝してるのは、夜遅くまで仕事してたからだよね。家事だけでも大変なのに、家族に迷惑かけないように、家事を済ませて皆が寝た後1人でがんばってるよね。パソコンだって、私に聞かなくていいようにメモにとって確認してるよね。レイアウトだって少しでもお客様によろこんでもらえるようにっていつも言ってるもんね。「いってらっしゃい」ニュースで、最後に我が子を送り出した時、親が言えなかったって後悔したって話聞いてから今まで一度もかかした事ないもんね。全部知ってる。全部わかってるよ。面と向かっては言わないけど。学生審査員講評清涼感のある作品に出合った時に、心の中で枯れていた花が再び頭をあげるような感覚を覚えるときがあります。埃がたまった部屋の窓を開けた時の気持ちのよさでもいいです。とにかく、読んでよかった、と安心できる作品というものがあります。学生審査員賞はその一点突破で審議させてもらいました。そして、この文の隣にあるのが今回の受賞作。別の審査基準にすると、違った結果がでたのかもしれません。だけども、気持ちのいい作品というのは他の審査基準を差し置かせる魅力があるということだと思います。今、伝えたいこと(自由課題)3テーマ今、伝えたいこと(自由課題)3テーマ学生審査員賞1点大阪経済大学在学生が選ぶ優秀作品にも選ばれました。中林八栄さん天理高等学校第二部(奈良県)両親の姿に飯田洋子さん西南女学院高等学校(福岡県)母さんへ(読みおわったら、しばらく話しかけないで)06 17歳からのメッセージ17歳からのメッセージグランプリ学生審査員賞金賞銀賞奨励賞学校特別賞応募参加高校一覧