17歳からのメッセージReport2010

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0717歳からのメッセージ17歳からのメッセージグランプリ学生審査員賞金賞銀賞奨励賞学校特別賞応募参加高校一覧石川県立金沢西高等学校(石川県)石田祥大さん素手・素足のトイレ掃除「はい、じゃあここ掃除してね?。」先生が僕に言った。そのときは本当にめんどくさいと思っていやがっていた。他の人もしていない。「あり得ね?」という声もある。その当時はとにかく掃除をしなかった。部屋もいろんな物が散らばり、どうしようもなかったのだ。僕は野球部に所属している。ある日の練習に、「素手・素足でトイレを磨く」というのがあった。聞いた瞬間ざわざわと鳥肌がたった。当日、トイレ掃除のプロが来校した。姿といい、いかにもプロで本格的だった。ヤスリやドライバーのような特殊な器具もあった。一つだけないのはゴム手袋だけだ。悪夢だった。ニオイや汚れは尋常じゃなかった。しかし僕は我慢して便器に手を突っ込み、汚れを取る…。無我夢中で磨き続ける。なんと?しばらくして便器への抵抗感が全くなくなっていた。むしろ「楽しい」という感情が心の底から湧いてきた。便器がだんだん美しくなり、自分の心がキレイになっていく…。すがすがしい気分だった。この掃除で普段の掃除に対する意識が変わった。今では掃除を怠るわけにはおれない。その日から毎日トイレ掃除をするようになった。汚い所にも敏感になった。これにより視野が広がり、野球にも生きている。僕はこの貴重な経験を忘れない。そして誰かにも掃除の良さを教えてあげたいと思った。自分ノート岡山市立岡山後楽館高等学校(岡山県)戸川樹理奈さん高校生になって両親や、仲の良い友だちに、「口が悪い」とか、「怖い」とか、「自己中だ」と言われるようになった。「何で今になってなんだろう……?」という疑問はあったが、前々からこの自分の性格が嫌で、どうにかしたいと思っていたので、いい機会だと思い、その日に、自分なりに考え、まず、ノートに自分の悪い所を挙げていくことにした。次にどうしたら直るかを考え、自分だけでは分からないことは、親に聞いたり、友だちに聞いたりした。そして、自分なりにどこから直すか優先順位をつけ、その日から自分の悪い所を直そうと決めた。「自分ノート」を作り、その日の目標を朝決め、寝る前に、目標が守れたかと、一日の反省を書いていった。それを毎日続けた。それから二ヶ月後くらいに、ある一人の子に、「最近少しずつ、変わってきてるよね。」と言われ、私は、嬉しかった。その日から、「もっと頑張ろう!」と思うようになった。今もまだ、カッとなって口が悪くなったりして、「戻ってるよ」と言われることがあるが、そういう風に自分の悪い所を言ってくれる人がいて、そんな人達に出逢えた自分は、本当に幸せだなと思う。そういう人達に出逢えた事に感謝し、これからも努力していけたらなと思う。今もまだ、「自分ノート」は作り続けている。目に見えない贈り物函館白百合学園高等学校(北海道)齊藤桃華さん「君たちは私にとってかけがえのない宝物だ。」中学校を卒業する時に先生が言った言葉。この言葉を聞いた時、涙と喜びが一緒になってあふれてきた。私は、この言葉の贈り物を今でも大切にしている。ただ高価な物だけが贈り物なのではない。心がこもっていなければ、どんなに高価な物でも無に等しいのだ。そして、目に見える物は、いずれ必ず無くなってしまうだろう。しかし、目に見えない心や言葉の贈り物は一生心に残る。だから私は何よりも人との心のつながりや言葉の一つ一つを大切にしている。現代の社会には、そういう心のつながりや言葉といったものが欠けているのではないだろうか。人はいつも自分を理解してもらうことばかりを考え、互いに理解しようとしない。そして、何故理解し合うことが出来ないのかという理由を考えもせずに力や権力を利用してしまう。そうしているうちに人は自己を守ろうとして、意思表示をしなくなる。悲しいことだが、現代の社会はその繰り返しである。おそらくこの繰り返しが私たち若者へ影響を及ぼしているのだろう。だから私は一人でも多くの人に知って欲しい。目に見えない贈り物の素晴らしさを。そして私は、あの時先生が言っていた「かけがえのない宝物」という言葉の贈り物に恥じぬよう生きていきたい。