17歳からのメッセージReport2012

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20 17歳からのメッセージグランプリ学生審査員賞金賞銀賞奨励賞学校特別賞応募参加高校一覧17歳からのメッセージ大阪府立八尾翠翔高等学校(大阪府)矢部つばささん120円の鉄道旅行私は鉄道旅行が好きである。定期考査が終わった日、私立受験の日など、日頃の勉強のウサを晴らすために行くことが多い。大阪駅からJR京都線に乗り込み、コンクリートやガラスでできた無機質な林をすり抜けていく。しばらくすると緑のじゅうたんが広がり、青い琵琶湖に沿って北上していく。そこには、田植えをする姿や手入れをする姿など、生き生きとした人間が映し出されていく。それを見て「こうして生きていくために働いているんだ。私も頑張ろう。」と励まされるのである。鉄道旅行の一つに『大回り乗車』というものがある。これは東京近郊や大阪近郊などに限定されるが、この方法を使うと120円でどこにでも行くことができるのである。詳しい説明は割愛するが、私もこの方法を使っている。最近はインターネット依存症の人が増加しているといわれるが、これは時間を持て余しているからであろう。家で青白い光とにらめっこするよりは、車窓の風景を眺めるほうがずっと良い。さらに、自分以外の家族が外出していれば、部屋の電気やエアコンを消すことができ、節電にも貢献することができ、まさに一石二鳥だ。昨年に引き続き、今年も電力会社から節電の呼びかけが行われている。今夏は節電を兼ねて、120円の鉄道旅行をしてみるのはどうだろうか。大阪市立工芸高等学校(大阪府)和田彩花さん変わらない風景私の家の近くには、2つの商店街がある。1つは休みの日でも店が開いていて、いつも活気が溢れる商店街。もう1つの商店街はそれと比べると、毎日開いている店は少ない。私は高校生になる前、家から近いこともあり、前者の商店街をよく使っていた。だが、今はたった数分の通学時間帯に後者の商店街を毎日通るようになった。そして、その商店街を通って3年目を迎えた今、やっと気付き始めたことがある。毎朝、魚屋のおじさんは店の準備と共に小学生に「○○ちゃん、おはよう」と声をかけ、少し早く家を出た時はスーツを着たお兄さんに「おはよう。仕事、頑張りや」と笑顔で声をかける。私はお兄さんがランドセルを背負っていた頃からこの挨拶は変わらずにあるのだろうと、ひそかに思っている。また、夕方頃に通ると、あちらこちらで主婦が立ち話をしている。近所の人と、店の人と。きっと、今日一日の話や最近のニュースの話などをしているのだろう。花屋さんは録画しておいたテレビ番組を仕事中に見ていたりする。最初、不思議だったことも、最近はいつも見ている風景だと楽しく思うようになった。他と比べ、開いている店は少ない商店街だが、毎日、温かい空気に満ち溢れている。それは、私にとって変わらない風景であり、その中を通学できる私は幸せだと思う。そして、この風景が変わらない事を強く願う。大阪市立淀商業高等学校(大阪府)永井友加里さん私はおにぎり高校生になってから、私は毎日電車で通学していた。ある日曜日の朝、検定があるため登校しようとしていた私は、遅刻しそうで慌てていた。家を飛び出した瞬間、定期が切れていることを思い出した。いつもなら母にお金をもらうのだが、昨晩から些細な言い合いで喧嘩をしていて言い出すことができなかった。そのため、しぶしぶ自転車で登校することにした。滅多に喧嘩することのない母と仲直りできないモヤモヤと、学校に間に合うのかというドキドキの中、長く続く橋を必死でこいでいるとき、右手に広がる河原でピクニックをしていると思われる家族が見えた。母親と4才くらいの男の子だった。足を動かしながらじっと見ていると、男の子は母親から受け取ったおにぎりを、ボトンッと川に落としてしまっていた。その後、その家族がどんな様子だったかはわからない。私はただただ、深い川底に見えなくなったおにぎりを、ずっと見つめていた。まるで、今の心が沈んでいる私のようだと思ったのだ。ギュッと心を込め、そして丁寧に握られたおにぎりのように、私も大事に育てられ、ここまで大きくなったのだろう。それを考えると、切なく、申し訳ない気持ちでいっぱいになった。無事に検定を終え、帰宅すると母は外出していた。テーブルの上には、「おかえり」と書かれたメモと、大きなおにぎりが置かれていた。私は涙が出るほど嬉しかった。関西学院千里国際高等部(大阪府)﨑山美琴さん漫画と私私は漫画が大好きです。好きな漫画家の作品を集めたり、買ったばかりの新刊の臭いをかぐ事に充実感を覚えます。物心がつく頃には、漫画好きの父親の影響ですでに漫画を手に取っており、小学校では、休憩時間に漫画の真似をして絵を描いてばかりでした。中学生になったある日、私は苦手な漢文の試験を翌日に控えていました。句読点、返り点などの読み方は理解できても、人物や物語がどうしても上手く理解できない事に頭をかかえていました。教科書と格闘しながら、ふと視線をそらすと、本棚に綺麗に並べられた漫画が目に入りました。その時、私の頭に一つの考えが浮かび上がりました。この漢文を漫画にしてみたらどうか、と。登場人物の顔を決め、服を決め、漫画を描いてみると、翌日の試験ではクラスで二番目の成績でした。それ以来、古典に日本史、世界史まで、分からない部分は漫画になおし、成績が上がるたびに更に漫画が好きになりました。私は、時に面白く、時に切ない気持ちにさせてくれる漫画が大好きで、勉強を楽しいと思えるきっかけをくれた事に感謝もしています。私にとっての漫画とは、物事を色々な視点から見せてくれるものであり、そしてこれからももっと好きになっていくものであると思ってます。銀賞