17歳からのメッセージReport2012

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2117歳からのメッセージグランプリ学生審査員賞金賞銀賞奨励賞学校特別賞応募参加高校一覧17歳からのメッセージ関西学院千里国際高等部(大阪府)廣井洸司さん見えないものの可能性みなさんに忘れられない空はあるだろうか。僕は普段意識しながら空を見ているというわけではない。しかし、僕の頭の中には1枚の写真のように鮮明に残っている空がある。それは高校1年の夏休みが過ぎ、少し肌寒くなった10月に、山口県の岩国で野球の大会の時に見た空だ。勝たなければ次に進めない試合で、最終回僕らは4点差で負けていた。1アウト満塁のチャンス、僕はセカンドベースの上からバッターを眺めていた。この時、バッターの上に広がっていた空こそ、僕の忘れられない空である。夏が過ぎ去り、早くなった夕暮れと僅かに残った青空が混ざり絶妙な色を放った空を見て、僕は無意識に勝利を確信した。そしてその打席の2球目、バッターは文句なしのホームランを放ち、僕らは両手を高く上げ、叫んだ。いつもは意識をせずにただぼんやりと見ているものが、ふと鮮明に見えた時、あの空が僕の背中を押してくれたように、僕らに与えてくれるものに限界はないと感じた。だから、僕はこれからもっと、普段意識することのない何気ないものに目を向けていきたい。(大阪府)匿名希望今、これだけは言いたい!八十歳を過ぎた老人を病院で安楽死させても良いという法律が欲しい。急に何を言い出すのかと思うだろうが、私だって本当は、もう八十を過ぎたおじいちゃんとおばあちゃんと笑って暮らしたいのだ。だがそんなキレイ事を言ってられなくなってきたのが今の私の家庭事情である。この法律さえあれば、多くの介護に苦しむ家庭が救われるのだと私は思う。大層な事を言ったが、私は率直に言うと祖父祖母に早く亡くなって欲しいだけなのだ。私の家は、別居中で今は父と祖父祖母、そして私で暮らしている。父は仕事で家に夜中に帰り朝には出ていない。私も学校と塾で家を空けている時間の方が長いので、祖父祖母の世話はヘルパーを雇ってしてもらっている。このヘルパー代が高くつく。そして、動けないためか、もはやすることが食べる事しか無いようで食費が異常にかかる。食べて寝て、そうして仕事から疲れて帰ってきた父を夜中に呼び出す。毎度毎度大した用事も無いのにだ。こうした事が続くと、父と私はポツリとこうもらす「早く亡くなればいいのに」と。何故、本来楽しいハズの家庭がこんな事になってしまうのか。正直言って解決策は私には見つけられない。なので老人ホームがもう少し頼りやすくなったらいい、なんて願望に過ぎない月並みの言葉しか出てこない。だけれどそんな私でも心から思うのだ。「また家族で笑い合いたい」と。兵庫県立視覚特別支援学校高等部(兵庫県)安田啓志さん障害者と社会とのつながり私は生まれつき視覚障害者で全く視力がありません。私は列車に乗って旅をすることが大好きです。その旅行中に体験したことを記します。それは、タッチパネル式の券売機で切符を買う時の出来事でした。タッチパネルの券売機にはテンキーで切符を買えるシステムも付いていて、私はそれを使って買おうとしました。しかし、その時はいつものようにやっても買えず、駅員さんに尋ねたところ、私が視覚に障害があると分かっているのに、「タッチパネルで買えばいいじゃないですか」と言ったのです。私は腹が立つとかあきれると言うより、社会がどれ程障害者について理解できていないかを再認識し、それをきっかけにして少しでも理解してもらえるよう、自分も何かできないか真剣に考えました。理解してもらうためには自分をアピールすることが大切です。自分ができることできないことをしっかり相手に伝えなければなりません。そうすれば障害者は何もできないなどとは誰も思わないはずです。社会が理解してくれないのは、私たち障害者にも責任があると思います。ただ分かってほしい、なぜ理解してくれないのだと言っても大抵の人は理解できないし怒るだけです。それよりも障害者の方から積極的に外に出て自己アピールをし、仕事でも何でも、自分ができることをしっかりとこなし、自分が誰かの、社会の役に立てるよう努力をするべきだと思います。西宮市立西宮高等学校(兵庫県)佐藤綾香さん心のゆとり大人も子どもも、こんなにそろいもそろって空を見上げた日はないだろう。五月二十一日に金環日食が見られた。金環日食とは、太陽に月が重なるという、必然的におこりうる現象だが私たちにあたえてくれる力は計りしれなかったと考える。朝、私が登校していると、駅のホームにはたくさんの通勤、通学中の人々がグラス片手に、並んで上を見ていた。私にとっては、金環日食という現象を見るのも生まれて初めてだったが、人々のこのような光景を見るのも初めてだった。現代人は、日々時間に追われ、多忙な日々を送っている。しかし、あの数分間は、いつも追い詰められて、へとへとになっている人々が少しちがって見えた。みんなとなりにいる初めて出会ったであろう人と、互いに感想を述べあい、共鳴していた。私はそこに、心のゆとりを取り戻した、人々の姿を見たような気がしたのだ。金環日食、それは人々に、心のゆとりをあたえてくれる力を持った、神秘的な現象だったようだ。和歌山県立那賀高等学校(和歌山県)掃部裕也さん親父よ俺の親父は割と年寄りな人だ。押すだけで録画ができるのに一人で悪戦苦闘している。親父よ、それはTVのリモコンじゃないぞ。俺の親父は店長をしている。昔は銀行マンだったのに脱サラ開業した。おかげで毎日油にまみれ、従業員の事で頭を悩ませ、不況を嘆いている。親父よ、宝くじは当たっていないぞ。俺の親父は近づくと加齢臭がする。親父が出勤して十分たっていてもエレベータでは独特の臭いがしている。親父よ、なぜ風呂に入っても体を洗わないのだ。俺の親父は健康志向だ。毎晩1時間ぐらい散歩してくる。親父よ、ビールとおつまみを買ってきては意味がないぞ。俺の親父はダサイ。毎日同じようなユニクロのシャツばか銀賞