17歳からのメッセージReport2012

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26 17歳からのメッセージグランプリ学生審査員賞金賞銀賞奨励賞学校特別賞応募参加高校一覧17歳からのメッセージ奨励賞奨励賞71作品今までの自分、これからの自分テーマテーマ1高岡第一高等学校(富山県)明美佐季さんありがとう今年の春休みはつらかった。受験に失敗して、家族や親戚から向けられる視線が体中に突き刺さり、痛くて痛くてたまらなかった。痛さのあまり何回泣き疲れて寝てしまったか数えきれない。あからさまな幻覚まで見えてくる始末だ。精神がもうボロボロで限界だった。私はどんどん壊れていく自分に恐怖を抱きながら日々を過ごしていった。春休みももう2、3日という日のことだ。突然何の前触れもなく、幼馴染が遊びにきた。中学校の卒業式以来、音沙汰がなかったからびっくりした。私はとまどいながらも彼女を家の中へと招き入れた。そんな私とは裏腹に彼女は普通に中へ入っていった。その日、彼女と具体的に何をしたというわけではない。他愛もない会話をポツポツと交わし、互いの持っている漫画を読み合ったりした。中身なんてあったものじゃない。しかし、この無駄にダラダラ流れていく時間がとても心地良かった。まるで空っぽだった心が温かく満たされていくように。あれから1ヶ月、私は高校生になっていた。勉強は難しいが、それなりに楽しくて充実した生活を送っている。そんな中、ふとした瞬間春休みのことを思い出す。何故彼女は突然遊びにきたのだろうか。元々気まぐれな性分だからふらりと来たのかもしれないし、元気付けるためにわざわざ来たのかもしれない。どっちにしろ彼女のおかげで救われた。ここは簡潔に、「ありがとう」。長野県田川高等学校(長野県)井戸美咲さん私の3月11日、その後2011年3月11日、私は人生初の家出をした。留年回避がかかった最後のチャンスの日、絶望的な状況の中で、唐突に「逃げなきゃ」という考えがよぎったのだ。お年玉から抜き取った五千円と、文庫本を一冊荷物につっこみ、私は家出を決行した。とにかく家族に見つからない場所をと思い、いつもとは逆方向の電車に乗って、二つ先の駅で隠れるように待合室へと逃げ込んだ。気を落ち着かせようと本を開いてからは、何も考えられなくなっていたかもしれない。…本を読み終わり、いくらか気が静まってきたまさにその時、”それ“は何の前触れもなくやってきた。突然、がくがくと揺さぶられるような地震。周囲の人は皆悲鳴を上げていた。私がぽかんとしているうちに揺れは収まったけれど、その後待合室のテレビには見たこともないような惨状が繰り返し映し出され、今のが紛れもなく実際に起きたことなのだと訴えかけていた。…列車運休を伝えるアナウンス、流れるニュースに怯える声、それらがようやく落ちついてきた頃、私は何気なく携帯電話の電源を入れた。そこには私の安否を問うメールがひしめき合っていた。地震で怪我をしていないかと心配してくれた人までいた。この一件があってから、心配してくれる人の大切さを知り、私は少しだけ頑張り強くなったと思う。今は高校3年生。大変な日々は、もうすぐそこだ。静岡県立静岡西高等学校(静岡県)渥美祐太さんほこりまみれの作文以前、自分の部屋を掃除していた時に、一枚の作文がほこりまみれで出てきた。いつ書いたものか、なぜ捨てずに保管してあったのか、と見つけた時は思っていたが、中身を見てすぐに思い出す事ができた。それは、小学校四年生の時に書いたものだった。題名は「ぼくのみらい」と書いてあった。本文は題名通り、これから自分がどうなっていくかというものだった。とても懐かしく思い、掃除を途中でやめて座りこみ、ゆっくりと読み返した。すぐに思ったのは、「字」の事だ。お世辞でも綺麗とは言えない字だった。しかし、その字には心がこもっていた。文字の一画一画に力をこめて書いていて、文章の構成はごちゃごちゃではあるが、真っすぐな自分の思いが書かれていた。何かを参考にして、早く終わらせようとする、現在の自分が書く作文とは全く違っていた。そして、作文の最後には大きなハナマル。この作文を保管していた理由はこれだった。ありえないような未来、夢のような物事、そんな幼稚な作文に、先生は大きなハナマルをしてくれた。そのハナマルが、ただ単純にすごくうれしくて、大切に保管してあったと思い出した。ほめられた事に対して、純粋に喜ぶ事ができなくなっている現在の自分は、それを思い出して少し胸が痛くなった。偶然見つけたほこりまみれの作文。そこから、現在の自分に必要なものを気づかされた気がした。静岡県立三島南高等学校(静岡県)植田実由季さん人を支えることは幸せ私は小学二年から中学三年まで、バスケをやっていた。高校に入学してもバスケ部に入り、選手でいたいと思っていた。けれど、その頃ケガをしていたので、選手になることを諦め、選手を支えるマネージャーとしてバスケ部に入部した。入部してすぐ、目の前で練習する部員の姿を見て、バスケが出来ないもどかしさから、部活が嫌いになった。何度も「辞めたい」と弱音を吐いていた。そんな中、三年生の先輩にとって最後の試合を迎えた。試合が終わると、マネージャーの先輩が泣いていた。私はその姿を見て気付かされた。それまで自分のことだけ考えていて、マネージャーとしての役割を果たせていなかった。その日から自分を変えていこうと決めた。今、私は三年生になり、最後の大会が始まった。入部した頃の気持ちはなく、あの日の先輩の姿を思い出し、悔いを残奨励賞