17歳からのメッセージReport2012

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36 17歳からのメッセージグランプリ学生審査員賞金賞銀賞奨励賞学校特別賞応募参加高校一覧17歳からのメッセージ沖縄県立那覇西高等学校(沖縄県)比嘉愛さん忌まわしい傷跡六月二十三日。沖縄では蝉が鳴き、夏の花が咲きみだれてる。こんなにも穏やかな沖縄にいるとあの忌まわしい出来事を忘れそうになる。今から六十七年前。沖縄では激しい地上戦が起こった。人と人が殺しあい、逃げまどいそして苦しんだ。「人が人ではなくなる」という表現もあるほどに。今の沖縄では戦争体験者は年々減少している。私の祖母でさえ戦後生まれだ。戦争は体験しない方がもちろんいい。がしかし、体験者がいなくなったことであの悲惨な戦争を語ってくれる人が少なくなったのも事実だ。そんな沖縄はこれからどうなっていくのだろう。私達若者はこれからどんな沖縄を目指すのだろう。戦争の傷跡は今でも米軍基地として沖縄に残っている。今日もヘリコプターや戦闘機の音が聞こえてくる。あれらは一体どこに向かっているのだろう。私にはよくわからない。けど、一刻も早くこの米軍基地をなくしてほしい。いや、なくしたい。これからの沖縄はまだまだたくさんの問題がある。その問題に私達は立ち向かわないといけない。今からでもいいから沖縄の過去・現在・未来について深く自分なりに答えを探したいと私は思う。これからの未来の為に。今、これだけは言いたい!(自由課題)テーマテーマ3(東京都)匿名希望天秤の上の子供達歩くのもままならないほどの人混みの上空には灰色の空が広がる夜の渋谷。私はスクランブル交差点で行儀よく『止まれ』をしていた。ふいに後ろから声が聞こえる。私を呼んでいるのかとふり返ってみると30代のサラリーマンと目が合った。男は言った。「ねぇ、8万円でやらせてくれない?」これは俗に言う援助交際というものだろう。金銭的援助をする代償として自分の身を売る行為のことだ。渋谷には欲求を満たそうと目を光らせる大人とお金欲しさにそれを受け入れる未成年女子であふれている。援助交際をする理由としては一度で多くのお金が手に入るからという人が多いらしい。たしかに私が取り引きに出された金額は8万円と、高校生にとっては充分遊べる大金だ。でも私は思う。8万円と自分が天秤にかけられたのだと。もし私が取り引きに応じたら、私は8万円の価値しかない人間になってしまっただろう。世の中には、貧しさのあまり親が子供を売ってしまうことがあるのだという。子供達は大人の都合で天秤にかけられるのである。日本はどうだろう。大半の人々が毎日、三食のごはんをお腹いっぱいに食べることができ、義務教育を受けて楽しい学校生活を送っている。それなのにどうして、自ら天秤の上に足をかけてしまうのだろうか。これは決して、他人事ではない。世の中にあふれるそんな闇はすぐそこにあるのだ。私は決して染まりたくないと思う。山梨県立都留高等学校(山梨県)石岡真由美さん無題私は和太鼓をやっていてその活動の一環として海外文化交流もやっている。毎年アメリカやフランスといった国へ演奏をしに行くのだが、ある年にネパールへ訪問したことがあった。私はそこで、自分の価値観を180°変えるような経験をしたのだ。空港に降り、外へ出た瞬間に寄ってくる私よりも小さい子ども達。その子達は皆裸足で、ボロボロの服を着、お金をせがんできた。その子達を見た時、私は何とも言えない気持ちになりながらも、演奏場所であるネパール一の学校へ向かった。そこで会った生徒は皆、清潔な制服に身を包み、整った環境で勉強をしている、いわばお金持ちの子ども達ばかりであった。私はこの時ほど貧富の差を実感したことはなかった。清潔な服を着ることも、学校へ行くことも、食事をとることも、その日を生き延びていくことも、私にとってはあたりまえのことだ。しかしそれすらもできない子ども達が懸命に生きている様子を見て、私は彼らに申し訳ない気持ちでいっぱいになった。時には学校へ行くのが面倒になることも、勉強するのが苦と思うことも、自分はなんて哀れな人間なのだろうと思った。私たちのあたりまえは恵まれているからこそ成り立っているもので、私たちは普通に生活できて、学校へ行き学べることに感謝して、日々生活していくべきであると私は彼らから学ぶことができた。静岡県立静岡商業高等学校(静岡県)鈴木美帆さん生活を支えてくれているもの生徒会は本当に沢山の会議をする。1つの議題で何日もかかることも多く、長く続けば嫌になるし、終った後には独特の気怠さが充満する。その中で1人が、「この会議は私たちしか知らないんだよね。」とつぶやいた。考えてみれば、私の身の周りには知らないことが多いのだ。毎日乗る電車を走らせるために誰が何をしているのかや、配られたプリントを誰が作り、その時どれだけの時間がかかったか。それが政治のことになれば、私は全くわからない、知らないことばかりだ。そんな中で過ごしている今は、そういう「知らないこと」を誰かがしてくれているから成り立っているのだろう。それはとてもありがたいことだと思う。私の進路は就職だ。社会の中で働くということは、いろいろな人にとっての知らない部分をこなすことだと思う。それはきっと多くの大変なことがあると思うが、巡りめぐって誰かの生活を支える一部になると思うと、少しでも誇りを持って仕事ができるのではないだろうか。私はそうなりたい。残りの高校生活の中で、生徒会役員の任期はもう半年もない。身の周りの知らない所で動き、生活を支えてくれているいろいろな人々に感謝しながら、精一杯活動をしていきたいと思う。奨励賞