17歳からのメッセージReport2013

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1717歳からのメッセージグランプリ学生審査員賞金賞銀賞奨励賞学校特別賞応募参加高校一覧17歳からのメッセージグランプリ学生審査員賞金賞銀賞奨励賞学校特別賞応募参加高校一覧17歳からのメッセージりも身長は低く、年齢は幼く見られるようだ。「お姉ちゃん」と呼ばれることは恥ずかしかったが、私は兄が大好きだったので幼いころはよく一緒に出掛けて車いすを押していた。ある日、私は友人に兄のことを話した。すると友人は「何も自分でできなかったら、ペットのような動物と同じだよ」と言った。私はもやもやとした気分で家に帰り、ソファーの上で沈んでいた。近くには兄がいた。兄は私の気持ちを察してくれたのか、私の肩をポンポンとたたいた。普段なら、力いっぱい腕を引っぱったり、ハグしてきたりするのだが、そのときは軽く優しく私の心を励ましてくれた。そして、兄はいつも私の気持ちを感じてくれていることを思い出した。兄は、話をしたり歩いたりすることは出来ないかもしれない。でも、私が泣いているときは私以上に号泣し、私が笑ったときは私よりも大きな声で一緒に笑ってくれる。優しい自慢の兄だ。だから私も兄の自慢の妹になれるよう、どんなときでも優しい人でありたい。そして、兄がたくさん笑えるように、つらいときでも笑っていられる強い人になりたい。山口県立大津緑洋高等学校大津キャンパス(山口県)森野祥平さん地球科学科志望動機湯船でうとうとしていると、シャワーの口から一滴ぽたんと垂れてはっとした。しまったと思いつつ半身を湯船から出して蛇口をひねると図らずして水が出た。暫く湯に浸ったまま、サアサアと噴き出す水を眺めた。その音はまるで五月の雨のようだ。どこからともなく蛾が現れて、ふらふらと雨の中に舞い込むと、瞬く間に飲み込まれた。蛾は為す術もなく排水口に消えた。その時思った。「自分のごく些細な不手際で蛾は死んだ。一部始終を黙って見ていた己の行為を悔やむではないが、他愛ない生命が失われたことに動じないこの心中を改めたい。」と。自然に対する情はそんな些細な罪悪感から始まった。以後、地球温暖化によって人類が滅ぶだろう事を怖がっては環境問題と天変地異との因果関係を考え、氷河期の到来によって生物が死滅するのを恐れては、自然を害するすべてのものを非難した。思うがままに自分は将来自然を保護する職に就きたいとまで考えるようになった。あの蛾を見て以来、そんな考えに取り憑かれている。けれども、その時分に自然の大切さに気づいたわけでも、等閑な態度を改めたわけでもない。ただただ、仮に自分がその羽の生えた生き物だったとして、自ら身を滅ぼすような愚鈍な真似をするくらいなら、うとうとしているその人間に、直ちに放水を中止するよう警告するだけの行動力は持っていたい。そんな気持ち。徳島県立阿波西高等学校(徳島県)西村優さん目指すべき大人私は小さい頃、「十七歳ってすごく大人だなあ。」と思っていた。でも、自分がその年齢になってみるとそうでもない気がする。高校生になり、体の成長はもう止まった。それでも、まだ完全な大人にはなり切れていないと感じる。では、これからは一体何を成長させていけば良いのか。その答えだと思っていることが一つある。ほんの少し前のことだが、私と友達が放課後、学校の駐輪場で喋っていたとき、近くにいた小鳥の群れをカラスが襲った。私は一瞬「助けなければ」と思ったけれど、結果として何もできなかった。理由は簡単だ。その場にいた友達や周囲の人たちに、小鳥を助けに行くのを見られたら笑われるのではないかと恥ずかしかったからだ。家に帰ってから私は悩んだ。単純に小鳥を助けられなかったというのもある。しかし何より、自分が正しいと思ったことを、周囲の視線を気にしてできなかったことが悔しかったのだ。何を成長させていけばよいか。私の考えるその問いに対する答えは、ベタなようだがやはり心の部分だと思う。いつでも自分に正直にいること。それは、やりたい放題するということではなくて、自分に恥じない生き方をすること。ひいては、自分が正しいと思ったことはやり通す勇気を持つこと。そういうことが大切なのではないだろうか。周りから見てじゃなく、自分から格好のいい人になりたいと私は心から思う。徳島県立徳島北高等学校(徳島県)鴛海綾裕美さん不安と私、二人三脚。「青」い「春」と書いて、「青春」。たった二文字のその言葉は、十代の私には眩しいほどキラキラとしていて、胸がくすぐったくなるような心地良さを与えてくれる。高校入学前の私は、華やかな女子高生の自分、放課後のタピオカ屋さん、自由な毎日、なんていうものを想像しては、一人にやにやしていた。しかし、今の私。毎日毎日山のような課題に追われ、息がつまる。その上に、大人たちはまだ子供呼ばわりする私へ、「進路希望調査」という名の紙きれ一枚で人生が決まると言う。まだ何も見えていない。泣きそうになる事がおしよせてくる。要するに、現実はドラマや漫画のようにはいかないのだ。しかし、夏の始まりのすみわたる空や、ピンク色の朝焼けを見る度に、「悪くないな。」なんて思ってしまう単純な私もいる。毎日、友達とくだらない事で延々と笑ってお腹を痛めたり、大好きなアイドルについて息を荒げて語ったり。決して退屈ではない日々。それと共にふくらむ不安。憂鬱と添い寝する夜。それらをすべてひっくるめて、「青春」と呼ぶのだろう。スパイスなしの人生なんて、甘ったるいだけだ。たまには悲劇のヒロインになってみるのも悪くない。改めて、このくだらなくも輝かしい毎日を、「希望」と名付け、「青春」と呼ぼう。愛しき不安たちに、カンパイ。