17歳からのメッセージReport2013

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18 17歳からのメッセージグランプリ学生審査員賞金賞銀賞奨励賞学校特別賞応募参加高校一覧17歳からのメッセージグランプリ学生審査員賞金賞銀賞奨励賞学校特別賞応募参加高校一覧17歳からのメッセージ愛媛大学附属高等学校(愛媛県)鵜久森愛美さん私の弟私は本当は4人兄弟だ。長女が私で、今は妹と弟が1人ずついる。もう1人の弟は、心臓の病気でたった1年ほどしか生きられなかった。生まれつき病気を持っていたらしい。生まれてすぐに集中治療室へと運ばれた。当時、私は4歳だった。「ママのお腹には赤ちゃんがおるんよ。」と聞いてから、生まれてくる日を心待ちにしていた。だから、家に赤ちゃんがやってきてからはとにかく気になって、触りたくてたまらなかった。弟とは短い間しか一緒にいられなかったが、たくさんの思い出がよみがえってくる。ご飯を食べさせてあげたこと、一緒にお昼寝したこと、家族で海へ行った時のこと。1つ1つが私の記憶の中で輝やいている。ふとした瞬間に思い出しては、「もう一度会いたい。」と涙を流すことがある。同時に、弟がもう帰ってこない存在になったことを知った日のことも鮮明に思い出される。今、弟は生きていれば中学生だ。一緒にやってみたいこと、話したいことがたくさんある。でもそれは叶うことはない。少し今の自分を振り返る。頑張れば叶うかもしれないことを簡単に諦めていないだろうか。強い意志を持って夢の実現に向かって走っているだろうか。弟の分まで精一杯生きて、元気に頑張っている姿を見せてあげたいと思う。それが、私が天国に行ってしまった大きな弟にしてあげられることだ。愛媛県立しげのぶ特別支援学校(愛媛県)松尾健太さん障害者を見て笑うような大人を、俺は鼻で笑っちゃうわ、すんまへん俺は十七歳、やけど高校一年生。今年、今の学校に入学して考え方も変わり始めた。そして、何よりよく笑うようになった。この学校に来る前は、荒れた生活をして親に反抗ばかりしていた。意味なく人を睨みつけたり。なんでそんなことをしていたかというと、ただ、人にナメられたくなかった、それだけ。俺は先天性右前腕欠損という障害があるからずっとバカにされてきた。それが嫌で悪いことばっかりしてきた。周りには、障害者を見下している大人がいて、「大人ってこういうことを平気で言えるんやな」と思った。やから、大人全部が悪く見えた。やけど、そんな俺のことを、保育園の頃の園長先生がずっと気にかけてくれていて、「人生やり直してみんか?」と、何度も言ってくれた。徐々に、もう一度高校からやり直そうと思うようになった。最初は不安だったけど、学校でも寄宿舎でも、自分のことは自分でして、周りに頼らず、何事もあきらめないように毎日を過ごしよる。今、俺が思っとること。他の誰でもなく、自分自身の為に頑張る、ということ。俺のことを応援してくれてる人達を裏切らんように。周りの目は気にせず、三年後の自分を思い浮かべて、ひたすら頑張っていく。済美高等学校(愛媛県)二宮華子さんひっつき虫と両親両親が畑へ除草剤をまきに行くと言うので、少し親孝行するかぁという軽い気持ちで私も同行することにした。5月の生温い風の吹く夕暮れ時、じょうろや除草剤を手に3人で草の生い茂る畑へと向かった。約1メートル程伸びた草に、井戸水で薄めた除草剤を広範囲に渡って掛けるという作業は楽なものではなかったが、それでも汗をかきながら仕事をするというのは面白く達成感を得ることができた。ようやく作業が終わり、後片付けを済ませてさぁ帰ろうという時になって、突然父が私を引き止めた。一体何だと尋ねると、ひっつき虫が服に大量に付いているのでここで払っていこう、と言い出した。そして父母は屈み込み、2人がかりで私の服にしがみついたひっつき虫を取り除き始めた。私は口角を持ち上げてその様子を眺めた。普段はおちゃらけた父が真面目に、毅然とした母が愉快そうにひっつき虫とじゃれている姿が何だか可愛らしかったのだ。こんなことで一生懸命になっている父母を見て、何とはなしに「幸せだなぁ」と感じたのだ。17歳。私ももう子供ではない。まだ少年少女の心を持っている父母を、今では親のように愛しく思う。私が自立できる日はもう少し先のことだが、まだ子供であるうちに、子供にしか出来ない孝行をしておきたいものだ。長崎県立諫早農業高等学校(長崎県)東慶次さん無題僕の町には養護施設のある学校がある。中学校に近いということもあり、障害をもった生徒と触れ合うという交流行事があった。僕達は、喜んでもらうために絵を描いたり、おもちゃを作ったりと、万全の準備をしてその日を迎えることになった。しかし、思っていた以上に、それは大変だった。「どんな子達がいるのかな。みんな喜んでくれるといいね。」などと、期待に胸を躍らせていたが、いざ始まると、生徒達は立ち回ったり、大声を出したりして、収拾がつかなくなった。挙げ句の果てに、頑張って作った絵を鼻水でくしゃくしゃにされて、僕はもう嫌だと気分が悪くなった。と、その学校の先生が、「この子達は本当に喜んでいるよ。これが一つの感情表現なんだ。だから、君達が不機嫌になると、この子達も楽しくなくなってしまうよ。」と言って教えて下さった。僕はハッとした。みんな感情表現が苦手なのだ。言葉以外での表現を表に出すのは難しい中、しっかりと行動をとっているのだ。それなのに僕は、どうなのかと、恥ずかしくなった。僕達は心を入れ替え、気持ちと笑顔で向き合い、行事は幕を閉じた。僕達は日頃、笑ったり、泣いたり、怒ったりと感情をうまく表現して生活している。しかし、この世の中にはそれが難しい、でも伝えようとしている人もいる。僕はそれを分かり、自分の思いを伝えられるように頑張りたい。