17歳からのメッセージReport2013

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2117歳からのメッセージグランプリ学生審査員賞金賞銀賞奨励賞学校特別賞応募参加高校一覧17歳からのメッセージグランプリ学生審査員賞金賞銀賞奨励賞学校特別賞応募参加高校一覧17歳からのメッセージ北陸高等学校(福井県)中弥瑞季さん「真っ直ぐ」の先に「パン!」真っ直ぐに引いて真っ直ぐに離した矢は、必ず真っ直ぐに的に当たる。私の弓道部の先生や先輩は毎日のようにそう私に言うのだ。私は真っ直ぐに矢を引いていないのだろうか、私は「真っ直ぐ」じゃないのだろうか。そんな疑問を持たせる言葉だった。正直、私は今の自分に自信がない。いつのまにか、自分に起こる様々な出来事に言い訳をつくって逃げ、そうやって逃げている自分に気付いていたけど、そんな自分と真っ直ぐに向き合うことからも逃げ、「真っ直ぐ」になることを怖いと感じるからだ。真っ直ぐに矢を引くどころか、目を閉じたまま矢を射ているような自分はもういやだ。先生や先輩が言う「真っ直ぐ」な人になりたいと私は心から思う。そのための第一歩としてまず自分や自分の周りの人、自分の周りで起こるすべてのことにちゃんと目を開いて逃げないで真っ直ぐに向かい合ってみることから始めようと思う。真っ直ぐな矢が必ず的に当たるように真っ直ぐに向き合えば必ず真っ直ぐな答えを見つけだせると私は思うから。「真っ直ぐ」みなさんはすべてのことに向き合うことができていますか。自分が嫌いになりそうなとき、自信をなくしてしまったとき、まずは怖がらず真っ直ぐに向き合ってみてください。弓道から学んだこんなにも大切なことを次は私がたくさんの人に私の真っ直ぐな背中で姿で伝えていこうと思う。山梨県立都留高等学校(山梨県)山本結希さん文通私には文通をしているおばあちゃんがいる。きっかけは、小学校二年生のころの総合学習。敬老の日が近いということで、市内のお年寄りに手紙を書いた。これは毎年行っているものだが、返事が来ることはほとんどなかった。しかし、敬老の日が過ぎ、手紙を書いたことなど忘れたころ、学校に私宛ての封筒が届いた。担任の先生から受け取り、中を見てみると、きれいな花柄の便箋に手紙の返事が書かれていた。そのことがうれしくて、私は定期的に手紙を書くことにした。小学生のころは、学校行事のことや、今読んでいる本のことについてなど、普段の生活について頻繁に文通していた。また、おばあちゃんの家を訪れたこともあった。しかし、中学生、高校生と学年が上がるごとに、私の手紙を書く回数は減っていった。もう、書かないことが普通になってしまっていた。課題や勉強で忙しいということを理由にして。高校二年生になったある日、部屋の片付けをしていたときだった。私は小さな箱を見つけた。その中には、おばあちゃんからの手紙の返事がたくさん入っていた。それらを一通ずつ読んでいると、全てに書かれている文章があることに気が付いた。その文章は、「いつもあなたのお手紙に元気をもらっています」だった。人を元気にしたい。また手紙を書き始めようと思った。山梨県立都留高等学校(山梨県)米山大貴さん走ることまたここに戻ってきた。赤茶色のトラック、カツカツとスパイクでコンクリートの上を歩く音。初夏の鋭い日差し。今日もここに陸上をしに来た。出るのは四百m、つまりトラック一周だ。実に九ヶ月ぶりとなる試合だ。緊張で落ち着かない体を横にさせる。この感覚、懐しくて、愛しくて、大嫌いだ。必ず前には人がいた。腕を振っても腿を上げても、身一つ近付けなかった。昨年の七月末日の県総体でもそうだった。最後の直線までは僕が先頭を走っていた。でも、最後の最後で追い抜かれてしまって、また僕は二番だった。この大会で三位以内に入れば関東大会に出場出来る。僕は二位なので出場権を得る事が出来た。もちろんそれを目指してここまで頑張って来たのだから嬉しくないはずがない。飛び跳ねるほど嬉しいはずなのに僕はとても悔しい。この日のために毎日努力した。今までだったら挫けてしまうような事もこなして来た。それでも勝てない相手がいるんだ。関東大会に行ったらそれが全員になるんだ。こんな中で僕はやっていけるのか、不安と焦燥が一気に襲って来て│。横になって昔の事を考えていたら僕の組が呼ばれた。この緊張感が嫌だ。今すぐ逃げ出したい。でも、僕はここに戻って来た。僕はここに走りに来たんだ。不安は今だけは胸の奥にしまっておこう。さあ自分の走りをするぞ。起き上がり両手で頬をパシンッと叩く。よっしゃ!長野県小諸高等学校(長野県)木村皆実さん言葉の光今から三年前、私はある作文コンクールで大きな賞をとった。題材にしたのは、祖母の事だった。祖母はたった一人で祖父の介護をしている。いわゆる老々介護だ。自分も病と闘いながら介護を頑張り、昔の様に笑わなくなった祖母を思う作文は高い評価を受けた。やがて、この作文を書いた翌々年、私は進学を機に祖母の家で暮らす様になった。慣れない土地、元々、人見知りの激しかった私には合わない学校。道も習慣も解らず右往左往するばかりの毎日で溜まる憤りを、私はいつしか祖母にぶつけるようになった。少しの会話も口論になる。作文の内容は、もう一文も思い出せはしなかった。しかし、そんな中、祖母が倒れた。救急隊への電話や入院手続き。更に祖父の介護も一手に背負う羽目になった私が途方に暮れながら深夜の病院で手続き方法を調べていると、ウェブページで昔の自分の作文を見つけた。忙しい日々の中で忘れてしまった祖母への思いが、目一杯詰まった原稿を、滲む目で追いかけて、暗い病院の廊下を照らす灯りを見つめ、私は初めて涙を落とした。今までの私は自分が生きていく事に必死で、家族ですら思いやる事ができないでいた。祖母が無事退院した今でも、そ