17歳からのメッセージReport2013

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2517歳からのメッセージグランプリ学生審査員賞金賞銀賞奨励賞学校特別賞応募参加高校一覧17歳からのメッセージグランプリ学生審査員賞金賞銀賞奨励賞学校特別賞応募参加高校一覧17歳からのメッセージそうつぶやいて。ずっと、一人で耐えてきた。卒業して、見知らぬ人ばかりの高校に入学すれば終わると思っていた。でも、私の中では何も終わらなかった。人と接するのが怖い。何か言ってまた同じことを繰り返したら、とおびえて。自分を必要としてもらえるよう、周りを騙して自分を殺して。周りにどれだけ人がいても、私は一人ぼっち。だってみんなが見てるのは嘘つきの私だから。苦しいとも助けてとも叫べない、人形だから。こんな私に、本当の私に気付いてくれたたった一人の大切な人ができた。一人できると二人、三人と少しずつ増えてきた。私は今、彼らと一緒に一歩を踏み出そうとしている。正直、怖い。どこに向かおうとしているのかまだはっきりしていないから。でも私は、変わりたい。だから私は一歩ずつ歩いていく。梅花高等学校(大阪府)岡村千香子さん人間とカメレオン今までの自分は、動物のカメレオンと同じだ。カメレオンは、周りの色と同じ色で体を染める。それは、敵に見つからないように周りに合わせているからだ。周りに合わせる事でしか、自分の身を守る事ができないのだ。私はカメレオンと同じだ。私にとっての敵は、周りの人達なのだ。その人達によって、いろいろな色に体を染める。その場面によって色を使い分けるのだ。だが、色を使い分けているのは私だけではない。人間すべてに色はあるからだ。私だけではなく、人間はカメレオンと同じなのだ。色を使い分ける事で自分の身を守り、自分を保つ事ができるのだ。今までの自分はカメレオンと同じ。周りの色に合わせているだけ。だが、こんな自分はだめだと思うようになった。色を使い分けてもいいが、周りに合わせすぎて自分の色がなくなってしまうかもしれない。忘れてしまうかもしれない。自分の身を守る事に必死で、自分が変わっている事に気付かないのだ。周りの人達も気になるが、自分を見失ってはいけない。これからの自分は、ありのままの自分で人と向き合う事が大切なのだ。神戸朝鮮高級学校(兵庫県)朴福年さん帰り道私はいつも、学校から約1時間かけて家に帰っている。外は真っ暗だけど、帰り道がずっと真っ暗だとか、危険な道があるとか、自分は別に何の不便も感じなければ、怖くもなんとも感じていない。むしろ、夜の道を自転車で一人で走りながら、色々考え事をしたりするのが好きだったりもする。家から5分程離れた所で父はいつも私の帰りを待ってくれる。懐中電灯と太い棒を持って、道の端でずっと待っていてくれる。私はそんな父が嫌いだった。「いつまで子供扱いするんやろ。」とずっと思っていたし、少しイライラしていた。ある日、父に素直に「もう迎えに来んでいい。」ときっぱりと言ってしまった。私より後に帰って来た父が、とても不機嫌そうな姿を見て、なぜか寂しくなった。それでも父は、毎日同じ場所で、同じ時間に私の帰りを待っていた。何日かして、父が出張で迎えがなかった日があった。私はいつも通り、夜道を自転車で一人で帰っていた。いつもの場所に父が居なかったのが、寂しくて、ショックだったのを今でも覚えている。その時、初めて気付いたこと。父と家までゆっくり歩きながら、一日の出来事を話していた時間が自分の支えになっていたこと。普段、父とあまり話さないけれど、気が付けば、話もはずんでいて、すごく楽しかった。灘高等学校(兵庫県)大浦琢巨さん1通の封筒「また今度しよう。」この言葉を何度、自分に言ったことだろうか。私は自分から何かをするのを中学生になってからずっと忘れていた。正確に言うと、大人から何かすることを提示されることが無くなってきた。そして、自分がしたいことがあっても自分で探し求めなければならず、面倒であったのだ。そんな時に1通の封筒が届いた。小学校の時に通っていた書道教室で出品した書道展がある。出品してから5年後にいきなり、そこから次回の書道展の募集要項が届いたのだ。「パシャッ」両親が笑顔の私と入選した作品にレンズをむけている。この書道展は初めて出して入選したものだ。そして、人生で初めて掴んだ「入選」なのだ。こんなことを封筒の中身を見て思い出した。この中学の3年間、何かをし、その結果が返ってくる、こんな単純な喜びを思い出せずにいた。「これをしたい、あれもしたい。」小学生の時に自分がこんなことを言っていた光景が脳裏に浮かぶ。私は一体、今何をしているのだろう、昔は様々なことをしてあんなに楽しかったのに。私は高校に上がり、書道教室にまた通い始めた。残念ながら、この書道展では入選することができなかった。しかしながら、私は嬉しい気持ちで一杯だった。久し振りに挑戦できたのだから。あの日のたった1つの些細な出来事で今の自分がある。この幸運に感謝しながら、私はこれからもずっと挑戦し続ける。天理高等学校(奈良県)吉村忠幸さん大好きになった子供「ギュッ」と小さな手が私の人差し指を握った。決して強くはない、でも懸命に生きようとしてるのが小さな手を通して強く伝わって来た。