17歳からのメッセージReport2013

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3317歳からのメッセージグランプリ学生審査員賞金賞銀賞奨励賞学校特別賞応募参加高校一覧17歳からのメッセージグランプリ学生審査員賞金賞銀賞奨励賞学校特別賞応募参加高校一覧17歳からのメッセージ長野日本大学高等学校(長野県)大塚友紀菜さん「今」という時間今、部活動を出来る人に考えてもらいたいことがあります。日々の練習を怠っていませんか?意味がないとあきらめていませんか?一度見詰め直してみてください。そして、私はそのことに当てはまる人に問います。もし急に歩けなくなったり、好きなことが出来なくなったらどう思いますか?想像することは難しいと思いますが、ぜひ考えてください。私は二年生の冬に剣道でアキレス腱を切りました。それは致命的なものであり、最後の夏の大会で戦うことが出来ませんでした。怪我をしていなかったら、もっと真剣に剣道と向き合っていたら、こんな結果にはならなかったと何度も思いました。心の中は後悔と苦しさでいっぱいで、簡単に割り切れるものではありません。失った時間を取り戻せない現実に、部活動をやめると決心したとき、顧問の先生は今、逃げたら癖になるぞと言いました。その言葉で私は気付きました。「次」という時間はいつ失うか分からない、だからこそ「今」という時間が大切だと思い、私は最後まで部活動をやり遂げました。この文章を読んでくれた人へ、何気ない日常生活や、好きなことが出来ることを、どうか幸せに思ってください。そして今、部活動を出来る人へ、あなたの健闘を祈ります。どうか悔いのないよう、最後まで己という敵と戦い続けてください。日本大学三島高等学校(静岡県)山田優衣さん紙が一番!私は本を読むことが好きだ。書店で本を選ぶとき、私は表紙と裏の作品紹介を読んで決める。「面白そう!」と思ったら即決で買ってしまうので、今では様々なジャンルの本を持っている。しかし限度があるので図書室を利用する。何を読もうかと探す時間は次にどんな本に出会えるのか、冒険に出るようなわくわく感がある。本は、自分を成長させられる最も身近な参考書だと思う。フィクション・評論・説話等を含めても、自分とは違う考えを持つ人と本を通して出会うことができ、文章化された感情表現に共感し、新しい知識を得られる。そして、頭の中で登場人物や風景を組み立て再生することによって、自分がその世界に入り込んでいるかのように感じることができる。最近では、書籍が電子化し始め、スマホやタブレットで読む人が増えてきた。電子書籍は持ち運びやすいという利便性があるが、そこで読んだ思い出は物質的には残らない。私は紙の書籍を読むべきだと主張する。なぜなら、本は思い出だからだ。ざらっとした紙質、独特な匂い、めくった時の音、これらは紙でしか味わえない。電子書籍が落下すれば壊れてしまうが、紙の書籍ではしみも破れも思い出として残る。いつか読み直したとき、その思い出と共に新しい想いが混ざり、記憶に刻まれていく。なので私は、紙の書籍をいつまでも大切にしていきたい。不二聖心女子学院高等学校(静岡県)川口有紀さん私の恐れるもの戦争を経験した私の祖父母は、私が幼い頃から幾度となく、私にその話をした。「プールに入って空襲を見たんだぞ。」「食べ物が全然なかったの。」生まれてからずっと平和な時代しか知らなかった私は、戦争というものが理解できなかった。ある夏、家族で沖縄の平和資料館へ行った私は、そこで信じられないものを見聞きした。館内では空襲の音が鳴り響き、裸で泣いている少女の写真が展示されていた。怖い、と目を伏せ耳を塞いだ私に、母は「これがじいじとばあばが体験したものだよ。」と言った。恐怖が私を支配していた。自分が常日頃聞かされていたのは、こんなにも恐ろしい、悲惨なものだったのか。その日から、私たちの生活全てを奪う戦争というものに、人一倍敏感になった。そんな中、テレビで聞いたある女性議員の言葉が忘れられない。「日本が戦争をしてはいけないという法律は、なくせるんです。」今日もどこかで、戦争が起こっている。罪無き人々が死の恐怖に怯え、尊い命が奪われている。あの女性議員と、戦争を正当化している全ての人に問いたい。何故、戦争などするのかと。そして、伝えたい。戦争に正しい理由など、一つもない。ただ、尊い命を無駄にする、愚かな行為であるということを。私は、戦争が、怖い。(静岡県)匿名希望見えなかった、愛「どうして急に、母親のことを聞く?」父の口からぴしゃりと言われた言葉に、返答が見つからなくなる。ある日私は、今は亡き母親の写真を見つけた。おそらく私が生まれる前の写真だと思った。いや、それしかあり得ない。なぜなら母は、私が生まれてすぐにこの世を去っているからだ。その写真からは、母の元気な頃の様子が伝わってきていた。この人が私の母親か。記憶にない母の姿に、不思議な気持ちになった。「別に。ただ自分の母親について知りたくなっただけ。」なんとか言葉を絞り出した私。「そうか。」という父の声に、寂しさが混じっている様で、こちらの耳が痛くなる。「あいつは〝幸せだった?って言い残して、死んだ。それだけだ。俺が最後に聞いた言葉は、これだった。」多くを語らない父に、多少のじれったさを感じたが、同時にある疑問が浮かんだ。なぜ母は、父を選んだのだろう。何か特別な理由があったのだろうか。刹那、考える私を、次の父の言葉が現実へ引き戻した。「それに、俺は知ってる。分かるんだ。」父は一回瞳をとじ、息を整えて、こう言った。「俺は、世界で一番、あいつのことを愛しているって。」そして私ははっとした。そうか、これだ、と。