17歳からのメッセージReport2013

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0717歳からのメッセージグランプリ学生審査員賞金賞銀賞奨励賞学校特別賞応募参加高校一覧17歳からのメッセージグランプリ学生審査員賞金賞銀賞奨励賞学校特別賞応募参加高校一覧17歳からのメッセージ今までの自分、これからの自分1テーマ桜花学園高等学校(愛知県)佐藤香菜子さん「全ての私」最近、とても不思議な夢を見た。後ろ姿の女の子がいて、その子を傍観している大人の女性がいた。女の子は友達らしき人に「大丈夫?」と言葉を投げかけた。その瞬間、女性の心の感情が夢を見ている私に移った。そんな言葉「綺麗事」だ。その時に「言うべき」で、その時に「言いたい」のではない。そんな言葉の台本は既に頭の中で相手の予想通りの中身のない言葉。だから「綺麗事」を捨ててみる。「綺麗事なんて嫌いだ」でも、「綺麗事」を言わないのも「綺麗事」だった。そうか、「綺麗」は存在しないのだ。「綺麗」は酷く汚なかった。2人を傍観している自分は嘲笑っていた。なんて、ひねくれているんだ。そんな考えしかないのか。そんな私を見ている、もう1人の私がいた。当事者を眺める傍観者を、更に眺める傍観者が。私はずっと見られていた。誰も気付いていない。第3の眼の外側に、また傍観者。誰しもが当事者だった。本当に傍観者はいたのか。夢に出てきた全員が、こちらを向いた。全て、私だった。過去、今、未来の全ての自分がいた。この感情も気持ちも私なのか。訳が分からないが、分かる気もする。全て私なのだから。なぜ、こんな夢を見たのか。でも、「全ての私」を見られた。これから何かを考えるたびに、この夢を思い出すのだろう。それが、未来の私にどう影響するのか、今の私は楽しみにしている。洛南高等学校(京都府)幡鎌輝さんスマイル!大学受験が近づいて落ち着かない私。いつも誰かに、何かに怒っている。特に朝。昨夜というか明け方近くに詰め込んだ英単語や数式が収まるところに収まらずに、頭の中で蠢く。喉元に化学結合が引っかかった感触で食欲がない。それでも食べろと親に強制されて無理矢理押し込む。いってらっしゃいの声を振り切って駅まで急ぐ。ホームできちんと整列しないサラリーマンへの怒り、そして車両の混雑ぶりへの憤り。携帯をいじっているだけなら席を替わってよ。私は一生懸命勉強している。日本の未来に有用な人物になる可能性もあるのに。こんなに頑張っているのに。高慢な考えが頭をぐるぐる駆け巡る。あなたたちとは違うのよ。だって私は…。その時、車椅子に乗った女性が乗車してきた。ただでさえ混雑した車内で全体がぐっと一押しされた。露骨に嫌な顔をする老人や、はっきり舌打ちする男性。その女性は申し訳なさそうに私と向き合い、「すみません。」と小声で言って頭を下げた。あなたが謝る必要はありませんよ。さっきまでとは違う怒りが私の中に込みあげてきた。「こちらへどうぞ。ここ空いてますよ。」私の横のスペースを示した。いつも見かける高校生も床に置いたカバンを持ち上げて場所を譲った。いいとこあるじゃん、私たち。お互い笑顔で見合い、その女性も笑顔でありがとうと答えてくれた。意味のない怒りを笑顔に変換できる強さを持ちたい。【スマイル】がこれからの自分の目標だ。金蘭千里高等学校(大阪府)奥田萌莉さん「虹、いいじゃん」夏、雨が降る度に、一人の女の子のことを思い出す。極度な引っ込み思案で、友達がいなくなってしまったあの頃。毎日が孤独で、私は、自分の性格を呪った。蒸し暑いある日、一人でベンチに座っていた私。その私の隣に座ってきた、透き通った瞳をした彼女は、突然、語り始めた。「虹って、不思議だよね。七色もあるのに、意外と空よりも目立たないじゃん。でもきっと、そうだからこそ、虹はきれいに見えるんだよ。」私を指差して、笑った。「虹、いいじゃん。」呆然としている私を残して、彼女は帰っていった。でも私は、確かに、肩の力がすっと抜けるのを感じた。「空」は、私以外のみんな。彼女は、他の人達よりもずっと目立たない私を、目立たないからこそ、光って見えるものがある、と言ってくれたのだ。彼女の言葉は、私の心に、深く響いた。人は人。自分は自分。皆、それぞれの個性があって、それだから生きているんじゃないか。怖気付いて、殻に閉じ込もる必要なんて、これっぽっちも無い。気がつくと、雨が止んでいた。雨のち晴れ。きれいな虹が、空を覆いそうだ。宮崎県立宮崎商業高等学校(宮崎県)黒木菜月さん視点を変える私の眉毛は濃い。友人に毎日笑われるくらい濃い。そこらへんの毛深い男子と同じくらい濃い。とにかく、私の眉毛は濃いのだ。周りは当然のように眉毛をからかってくる。眉毛うつるから近寄らないでだとか、「のり弁ください。」と言われたりとか。お陰でついたあだ名はのり弁当の「のん」だ。そんな毎日を過ごす内に、私は自分の眉毛が大嫌いになっていた。何度毛抜きを手に取ったことか。最終的に校則が怖くて抜いてないのだが。そんな臆病な私は高校を卒業したら眉毛を抜くと決心している。そして、毛抜きを戻しながら卒業金賞10作品