17歳からのメッセージReport2014

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06 17歳からのメッセージ06 17歳からのメッセージ17歳からのメッセージグランプリ学生審査員賞金賞銀賞奨励賞学校特別賞応募参加高校一覧06 17歳からのメッセージ私のカバンはとても重たいです。一人で抱えきれない位に。「君達のカバンの中に」という在日コリアンが作った歌があります。「遠い通学路でも毎日元気良くカバンを持って『ウリハッキョ』(朝鮮学校)へ通っている私達」朝鮮学校の子供達へ向けた母親達の想いを歌った歌です。実際に私も家から学校まで一時間以上かけて通っています。毎日「いってきます。」と叫んだら「頑張れ。」と声をかけてくれる私のお母さん。お金が無いと言いながら、毎月高い学校の運営費をちゃんと出してくれます。そして私は両親の「希望」を背負って毎日学校へ向かいます。私のカバンの中には沢山の「希望」がつまっています。両親が私にたくす「希望」。少し前に卒業した母校の先生達、今学ぶ神戸朝高の先生達の「希望」。日本社会が、私達朝鮮人を認めてくれる未来への「希望」。そしてこれから成長して社会へ羽ばたく私達が心の中に秘めた「希望」が沢山つまっています。「君達のカバンの中には希望がつまっている。だからオモニ(母)達は遠くはなれているけど、君達を朝鮮学校へ送るんだよ。私達はいつもいつも君達を見守っているから」私のカバンはとても重たいです。三ペンマークがついた普通の学生カバン。私は、毎日重たいカバンを一生懸命持って歩きます。カバンからあふれる「希望」を全身で感じながら。学生審査員講評私はギャルになりたいです。これは私の中学校からの夢でした。私が思うギャルというのは、髪が茶髪で制服のスカートが短く、口癖が「まぢだりぃ。」、彼氏が居て放課後は遊びで忙しい事です。それに比べて今の私は、髪の毛は黒く、スカートは長く、放課後はバイトで忙しく輝きのない日々を送っています。もちろん髪が黒くてもギャルに見える人は居ます。だけどその人の髪質は絶対柔らかいです。私には生まれつき備わっていない才能です。つまり、私の学校は校則が厳しいのでこの学校に入ってしまった時点で、私がギャルになれない運命は決まっていました。中には校則を破ってギャルになる人も居ますが、私は校則を破るのが嫌いだからなれません。せめて、中身だけでもギャルになれればと思ったのですが、口癖が「まぢだりぃ。」なんて私には絶対に言えません。私はしんどいと思うことがあっても「まぢだりぃ。」とは言えないです。周りの人が聞くと嫌な気分になるし私も嫌な気分になるからです。つまり、私がギャルになると私が嫌な気分になります。校則を破り怒られ、「まぢだりぃ。」で嫌な気分になり私にとって良い事はギャルになれる事だけです。ギャルになる以外の方法で青春を輝かせるにはどうすれば良いのか日々模索中です。あと残り少ない青春を私らしく真面目に輝きたいと思います。普段心の中で思っていても言葉にすることが難しい心の葛藤を、高校生ならではの視点で書かれていると感じました。日常生活において感じている心の葛藤に着目し、「私はギャルになりたいです。」という冒頭の一文にもある様に、難しい言葉ではなくわかりやすくリアルで素直な言葉が使われていることで、高校生の「今」の声を聴いている気持ちになりました。そして最後には、どうすれば残りの高校生活を充実させることができるかを見出そうとしており、もう二度と経験することができない高校生活をいかに大切に思っているかが感じられました。そして高校生の今だからこそ抱えている心の葛藤に着目しているという点が、この「17歳からのメッセージ」にぴったりと当てはまると思いました。大人になった私たちにはもう書くことができない、高校時代ならではの葛藤を味わうこともできない。そして大人にとって高校生の気持ちや葛藤は不透明で、わからないことばかりです。しかし私はこの作品から、こうして高校生が「今」感じていることに目を向け、耳を傾け、理解しようとすることが、高校生を経験し大人になった今、私たちに求められているのではないかと思いました。大阪府立港南造形高等学校(大阪府)藤原愛永さんギャルギャルデビュー経営学部4年生川口佳奈さん神戸朝鮮高級学校(兵庫県)金梨月さん私のカバン大阪経済大学在学生が選ぶ優秀作品にも選ばれました。学生審査員賞1作品