17歳からのメッセージReport2015

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2317歳からのメッセージ17歳からのメッセージグランプリ学生審査員賞金賞銀賞学校特別賞応募参加高校一覧奨励賞山梨県立都留高等学校(山梨県)柳原里江さん発見「はぁ、あっつ!」家からでるとまだ5月なのにむわっとした風が私をつつんだ。いつもだったらお母さんに駅まで送ってもらうのだが、今日はけんかをしてしまったことで歩いていくことになってしまった。よりによってこんな暑い日に、とけんかをした過去の自分を恨んだ。重い足を動かして駅まで続くハナミズキの道を歩く。つい先日まで花で覆われていた木が、いつの間にか葉でいっぱいになっていた。梅の木も桃の木も緑でいっぱいだ。そんななか、ぽつんと小さな赤を見つけた。なんだあれ、自然と歩幅が大きくなる。そして、あの赤が花であることがわかった。木とは比べものにならないくらい細い茎に紙のように薄く頼りない花弁。しかし、人の心をあたたかくするだけの力強さがあった。写真でも撮っておこうと思い、スマートフォンを見ると、電車の時間が近づいていた。余裕をもって歩いて来たのに、随分と花に見入っていたようだ。風が衣替えしたばかりのセーラー服のスカートをゆらす。名前も知らない真っ赤な花に背中を押され、私は再び歩き出した。自然と足取りは軽かった。歩いていくのも悪くないなあ。次はどんな発見が待っているのだろう。愛知県立愛知商業高等学校(愛知県)野田朱海さん卵私は卵だ。臆病で、いつも殻の中にいて安心している。殻の中に閉じ籠っているから、私は自分の殻の形や色なんて知らない。それについて、私はつい最近まで何も思っていなかった。そう、何も。社会という1つの自然の中に放り出されるまであと1年になった。ある程度、大人として認められる歳まで、あと1年だ。それなのに今までそのことを認識出来ていないのは、私の周りの環境の為だろう。優しく私を愛してくれる家族に、厳しくも友好的な先生、同じような環境にいるクラスメイト。このぬるま湯のような居心地の良い場所にいるのに、ちらりと見える、大きく厳しい社会に私は怯えて、直視出来なかった。けれど最近、私の1つ下の妹が高校に入学してきて、そのことに対して、この殻は、割れることを待つのではなく自ら割らなければならないように思えてきた。私を守ってきてくれた人たちと同じように妹を守るには、卵ではいけないように思えてきた。妹は私にとって一番近く、守るべき存在であると思うから、私自身が妹を守りたいと感じたことも自然な流れだろう。そもそも、考えているだけではどんなことも変えることなんか出来ない。殻を叩いて、目を背けていた社会を直視して、家族を守ることの出来る存在として認められたい。自ら卵を割ることの出来る自分でありたい。桜花学園高等学校(愛知県)三島なず奈さん選んだ先には「人生って何だっけ」と思った…。その日は普通の日だった。いつもの朝、ついに夏休みが明けて登校日だった。中二になっていた私は、沢山の宿題を少し汚れた白バンに入れて家を出た。そこまではいつも通り。学校から帰り、家に着いた。しばらくは、テレビを見たりしてのんびりとしていた。その日、父は帰ってこなかった。翌日、倒れているのが発見され、病院へ向かった。「助からなかった。」誰かが言った気がした。それから私は、体に鉛が入ったかのように動かず、学校へも行けなくなった。心にも。ずっと引き籠る生活が続いた。ある日、動画サイトで「声優」というものを見た。とても楽しそうだった。アニメ等で多少、有名な方の名は聞いた事があり、私は暇潰し感覚で見てみた。「何故こんなに仕事を楽しそうにこなすのだろう。」と。するとこう言った。「私は楽しいと思うからこの仕事にしたんです。」人がこんなに楽しく過ごせるのかと驚いた。その人は昔、努力は何故出来たのかを話した。「努力は人の為ならず」もし、いい役が回ってこなくて落ち込んだ時はどうすれば良いのか。「いい役がこないのは努力が足りないからです。」予想外な答えだった。だが、とても納得できた。私とは違っていた。それ以来、私は声優を目指すようになっていた。苦労してもいい、努力だってする、と。未来の自分が楽しくなれるように。桜花学園高等学校(愛知県)森川あずささん自分私は小さい頃から自分の意見を主張することを面倒くさがり、周りに合わせてばかりいました。友達と遊ぶ場所を決めるときやクラスで意見を出し合うときなど場面は様々ですが、とにかく周りに合わせることが自分の中で普通になっていました。しかし、中一のある日、そんな普通を変える出来事がありました。休み時間に友達と話していたとき、一人の子がこう言ったのです。「私、○○さん苦手だわ。」○○さんとは同じクラスの女子のことで、大人しめな静かな子でした。すると「私も苦手だよ。」と他の友達もそれに共感しだしました。いつもなら私も同じように合わせて特に何もないまま終わるのですが、そのときはなぜか心の中がモヤモヤして、気づいたときにはこんなことを口走っていました。「私はいい子だと思うし、嫌いじゃない。」一瞬沈黙が流れ、少し気まずい雰囲気の中、誰かが「そっか。」と言ったところで会話は終わってしまいました。数日後、先日の会話を近くで聞いていたらしい友達が、私にこう言いました。「あの中であんなにはっきり言えるのはすごいなと思った。自分をちゃんと持ってるね。」それ以降私は、思ったことをはっきり言うようになり、周りに流されることもなくなりました。これからも自分をしっかり持ち、貫き通して生きていきたいです。