17歳からのメッセージReport2015

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38 17歳からのメッセージ17歳からのメッセージグランプリ学生審査員賞金賞銀賞学校特別賞応募参加高校一覧奨励賞岡山県立岡山南高等学校(岡山県)畑紗里花さん親とは最近よく耳にする言葉「虐待」。調べた結果、児童虐待相談対応数は七万三千件を超えているらしい。言うことをきかないからといって殴る、蹴る。些細なことで罵倒する。満足に食事を与えない。これらの親が決まって言うのが「躾」。私から見れば、こんなことは躾でも何でもない。なぜ一番に守るべき我が子を肉体的、精神的暴力で傷付け、自身のストレスのはけ口にするのか。虐待の連鎖は全体の三十%。そのため、虐待が生まれるのは連鎖だけではなく、親の気持ちに余裕が無かったり、経済的に不安定であったり、育児の知識が無かったりすることなども要因らしい。今は子供を持つ親を取り巻く環境は複雑で、私はこれから親になる中高生男女問わず、授業の中でも積極的に保育を取り入れればいいと思う。赤ちゃんは泣くことでしか意思を伝えられない。一、二歳の子は自分の感情が先に立って、なかなか他人の言うことが理解できない。だから、根気よく良いこと悪いことを言い聞かせる必要がある。そして、怒鳴ったり、暴力をふるう人には決して懐かない。子供は周りから惜しみない愛情を受けてこそ、健やかに育つ。そういったことを勉強して将来親になったときに役立つ知識を身に付けることが何より大切だ。幼い子供にとって親は全て。私たちが親になり、子供に教えるべきことは、苦しみや悲しみ、痛みではなく、優しさに満ち溢れた果てしない愛情ではないだろうか。山口県立徳山商工高等学校(山口県)高重竜輔さん私のつよい、お母さん私のお母さんはつよい。朝、家族四人分の朝食をつくり洗濯をして、掃除をする間もなく働きに出る。そして夕方、日が沈むころに買い物をすませ家に帰って来る。そして、へとへとになりながら夕飯をつくる。今、思うと、お母さんは、毎日毎日一日中働いている。私のお母さんは一人親なのだ。私がまだ中学三年生に進級したばかりのことだった。その日は、部活の遠征に行っていたため、遅い時間に電車で帰って来た。駅でお母さんの迎えを待っていると、珍しく祖母が迎えに来たのだ。私は、不思議に思い事情を聞いた。すると祖母は慌てた表情で言った。「お母さんが倒れた。」と。私はそれを聞いた時、変な緊張をしたことを未だに覚えている。次の日、私は見舞いに行った。お母さんは、疲労が溜まり、倒れたらしい。お母さんは、まだ元気ではないのに、私達に心配させないよう笑顔で会ってくれた。とても複雑な気持ちになった。それから一ヵ月後、お母さんは無事に退院した。とても、うれしかった。お母さんは退院してすぐ、仕事に戻った。私は、止めようと思った。けれど、私は、見守ることにした。お母さんの意志はつよかったからだ。みなさんのお母さん方もつよいと思われます。しかし、私にとってのつよい人は、お母さんです。これからは、つよいお母さんが倒れたりしないよう、家事で自分にできることは、どんどん手伝っていきたいと思う。つよいお母さんであるために、守りたいと思う。山口県立豊北高等学校(山口県)末永茜さん喧嘩と空私は一人っ子だ。小さい頃から遊び相手は自然の中にあった。魚をつかまえたり、犬や猫と遊んだり、その時は兄弟なんて考えたことがなかった。しかし十七歳の今、喧嘩の仕方がわからないということに初めて気がついた。兄弟がいる友達は自然と喧嘩や仲直りのやり方を学ぶが一人っ子の私にとって、喧嘩や言い争いをするなど想像がつかなかったのだ。ならば、喧嘩をしなければ良いと思ったのだが、これから先、社会に出れば時には周りの人と意見がぶつかることもあるだろう。中には、それは喧嘩ではないという声もあるかもしれないが、私にとってはぶつかり合うことが怖く感じるのだ。そんな時、私は空を見る。二年前亡くなった私の曾祖母もいつもそうしていた。いつも黙ったまま、空を見上げる曾祖母の横で私は幼い頃から一緒によく空を見た。時間や天気、季節ごとに変わる空が私は大好きだ。そんな空を見ているといつの間にか悩みが消えて笑顔になれる。一人っ子の私は、私なりの元気の出し方をいつしか学んでいたことに気がついた。私は一人っ子だ。兄弟がいないのは正直さびしい。だが、私が過ごしてきた時間は無駄ではなくきちんと私の中で気持ちとなり感覚となり生きているのだ。喧嘩の仕方はわからないが私なりに頑張りたい。もし上手くいかなくても、その時は空を見上げて自然を感じながら力強く生きていこうと思う。徳島県立新野高等学校(徳島県)柳川竜弥さん本が子ども達の世界から消える最近、子ども達の世界から本がなくなっていると思っている。私が保育所や小学校の時は、外で遊ぶ時と室内で本を読む時があり、私はどちらも好きだった。特に本を読んでいるとわくわくし違った世界に行ったようになる感じがとても好きで、本は私に夢と希望をくれるものだと思っている。今の私があるのは本があったからだと言っても過言ではない。本は人の心と人柄を作る大切なものだと思う。しかし最近の子は外で遊ばず、本を読まず、何をしているのだろう。最も多いのはゲームである。ここ十年間ぐらいでゲームの種類が増加し、ほとんどの子がゲームや携帯アプリを利用しているのである。久しぶりに地元の図書館に行ってみると、子どもの姿は皆無で私は悲しかった。私が小学生のころは図書館には子どもがあふれ、にぎやかだったものだ。しかしそこには昔の面影はなかったのである。今の日本の子ども達には本のすばらしさをもっと伝えていく必要があると思う。本を読むと、想像力や表現力が身に付き、「心の豊かさ」や「心の健康」を育むが、ゲームではそれは不可能だ。本を読めば心の中で旅をすることもできるし、本の世界では何でも見たいものを見て、どこでも行きたいところに行ける。そんな体験を現代の子ども達にも、ぜひ味わってほしい。