17歳からのメッセージReport2015

17歳からのメッセージReport2015 page 44/48

電子ブックを開く

このページは 17歳からのメッセージReport2015 の電子ブックに掲載されている44ページの概要です。
秒後に電子ブックの対象ページへ移動します。
「電子ブックを開く」をクリックすると今すぐ対象ページへ移動します。

概要:
17歳からのメッセージReport2015

4317歳からのメッセージ17歳からのメッセージグランプリ学生審査員賞金賞銀賞応募参加高校一覧奨励賞学校特別賞ちゃんの居なくなった部屋には最新の家電がたくさん残されていた。そんなにいちゃんが天国に行ってしまったのはものすごく信じがたく、いまだに実感が湧いていない。涙もあまり出なかった。「お疲れ様。」の一言で充分だと思った。「たくさん勉強して稼ぐんだぞ。」と毎年毎年笑いながらにいちゃんが言っていた。酔っぱらいだなあ、と軽くその言葉を受け流していた私の成績はどんどん落ちていった。でも、にいちゃんが居なくなった今、天国のにいちゃんを笑わせたいと強く思う。言われた通りに頑張ってみようと思う。早朝に亡くなったにいちゃんに、直接言えなかった感謝の思いを、これからの自分の頑張りで伝えていきたい。にいちゃんありがとう。やっと成長できた気がするよ。鹿児島市立鹿児島玉龍高等学校(鹿児島県)和田真帆さんわたしの家族「あなたの家は大変ね。」昔からよくこの言葉を人から言われて育った。しかし、わたしにはこの言葉が分かるようで分からない。わたしの兄は小さいころから病気を抱え、今でも車いすなしの生活はできない。わたしの家族はどんなときも兄中心で生活し、みんなが動く。周りの家庭とは少し生活が違うのかもしれない。わたしも小さいころは兄と外で遊べなかったり、兄の入院の付き添いで母がいないことが多かったりで嫌に思うこともあった。今でも呼吸器のサイレンで夜中に起こされ、睡眠不足を苦に思うこともたびたびある。わたしは今、自分自身の進路を決める大事な時期にいる。兄と一緒に生活してきたわたしは、看護に興味を持ち、将来自分も兄のように障がいを持った人々の支えになりたいと思い勉強に励んでいる。兄の世話や、兄の友達との交流を経てできた夢であり、自分が小さいころから経験したことを生かす、わたしだけの道だと思う。わたしの家庭は確かに大変なのかもしれない。でもわたしにとってはこれがわたしの家族であり、この家族でいられることを誇りに思っている。大変かもしれないけど、家族みんなで支え合う姿を見ると、この家族に生まれてよかったと思える。自分の誇りであるこの家族をこれからも大切にしていきたい。沖縄県立首里高等学校(沖縄県)鉢嶺歩惟さん不安に負けないで。「どうしよう。夢なんてないよ。」そう悩み始めたのは小学一年生の時。担任の先生が教室に皆の「夢」を紙に書いて貼ろうと提案した。これまで、気ままに過ごしてきた私は自分の将来を考えたことは一度もなかった。というより、そういう機会がなかったのかもしれない。私は、配られた真っ白な紙とずっとにらめっこしていた。何も思いつかないのだ、何も。不安に駆られ焦った私は、ちらっと周りの友達の紙を覗いた。「ケーキ屋さんになりたい」とか、「消防士になる」などとはっきりした夢がそこにはあった。何で皆決まっているのだろう。そう疑問に思うのと同時に、一人置いてけぼりな気がしてなぜか寂しかった。それからは、将来に関する授業がある度、皆と歩幅を合わせるように夢を偽って書いては不安から逃げていた。「夢は後でゆっくり決めればいいさ。」そんな安易な考えだった。あれから高校三年生になった今、私は「進路」という大きな壁に立ち向かっている。自分が本当にしたいことは何なのか、右も左も分からずふらふらさ迷っている。そして、自分の気持ちを曖昧にし誤魔化してきたことを今になって深く後悔している。そんな私だからこそ、過去の自分に言いたい。気づいて欲しい。本当に怖いのは夢がないという不安ではなく、夢のない漠然とした未来なのだと。沖縄県立豊見城高等学校(沖縄県)上原まさ子さん恩返し私の家は母子家庭です。一才の頃からお父さんという存在を知らないで育って来ました。父親がいないという事は、必然とお金にも困ってしまいます。そのために私の母は、私が幼い頃からたくさんの仕事を掛け持ちして生活を支えて来ました。私は三人姉妹の末っ子に生まれて、母のいない事が多い家で、私の面倒を見るのはほとんど姉達の役目でした。上の姉二人とも、中学を卒業してからすぐ働き始めました。母の負担を減らすため、幼い私の未来のために。そのおかげで、私は中学校から今まで、これといった大変な思いもせずに過ごせて来ました。時折、私の高校生活を見て姉達が「うらやましい。」と口にします。私はその言葉を聞く度に、心に罪悪感が生まれます。「ごめんなさい」素直にそう思ってしまいます。でも、いつからかその思いが反発に変化して来ました。「だってこれが私に与えられた環境なんだから仕方ないじゃないか」そう思えるようになって私は決意した事があります。母や姉達が頑張ってつくってくれたこの環境を最大限に利用して、私は私が今できる事を精一杯頑張る。頑張っていつか、「うらやましい。」じゃなくて「ありがとう。」って言われるように恩返しをしていきたいと思います。◎全作品原則原文のまま掲載しておりますが、一部誤字等を大学側で訂正いたしました。