17歳からのメッセージReport2015

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17歳からのメッセージReport2015

04 17歳からのメッセージ女らしい、男らしい、そんな言葉が、時に波を立てることがあります。「らしい」の目安は、人それぞれの経験や価値観に左右され、絶対的な物差しなどないからです。果たして高校生らしい主張、高校生らしい文章とは何なのか。今回の審査では、そんな議論がありました。大人たちが考える常識的な枠組みを軽やかに跳び越えた、多種多様な作品が集まり、筆者の意図をどう解釈するべきなのか、また、それは正しい解釈なのか、賞が決まるまでに、白熱した意見のやりとりが長く続きました。そういったことにこそ、文章を読む楽しさや、書く楽しさの一端があるのでは、と考えます。どんな風に書けば、最も確実に言いたいこと、気持ちが伝わるのか。原稿用紙のマス目を前に、応募者の皆さんは、頭をひねられたことでしょう。気分や勢いにまかせて、文字をたたきつけた人がいたかもしれません。審査員の多くは、文章をつづる皆さんの姿をあれやこれやと想像しながら、最後には「一度、会ってみたいなあ」との言葉を口にしていました。「らしくない」文体や手法に挑んだ結果、最も自分らしいメッセージが紡げた人、あえて「らしい」文章に徹して、完成度の高い作品に仕上げた人、その全てが正解です。これからも感性の翼を目いっぱい広げて、書き続けてください。読売新聞大阪本社編集委員西井淳氏進研アドマナビジョンブック編集長髙田美帆氏大阪経済大学経済学部教授近藤直美17歳からのメッセージ、今年もご参加ありがとうございます。毎回皆さんの言葉に驚き、発見し、審査する側も緊張の連続です。学生審査委員も含めた最終審査会では、審査委員が自らが受けた感動や発見を語り合い、時に激論が交わされることも少なくありません。今年は特に、「なぜ書くのか?」という観点から意見が戦わされました。親に、友人に、まだ見ぬ誰かに、見えない壁のような何かを伝えたい、という皆さんのメッセージをどう受け止めるのか。伝える相手も分からず口から漏れ出たため息のような言葉とどう向き合うのか。そこで一人の審査委員から「敬意」という言葉が出されました。伝えたい相手への敬意、書く動機を与えてくれた人や出来事への敬意、なによりこれから自分の文章を読もうとしてくれているたくさんの読者への敬意。誰にでも、ではないと思います。あなたは誰に敬意を払いますか?あるいは払ってきましたか?この問いは私たち自身のものでもあります。この問いを胸に、今回の審査にあたりました。作者であり読者であるみなさんへの敬意を込めて。人には、そのとき、その一瞬しか湧き出ない感情や、出てこない言葉があるのだと思います。まして思春期真っ只中の高校生の中から出てきた感情や言葉は、本当に貴重なものです。そんな高校生の柔らかい心に触れることができる「17歳からのメッセージ」。今回初めて審査をさせていただきましたが、身近な家族とのエピソードやコミュニケーションについて書かれた作品が目立ちました。「今の高校生は、半径3mの世界の中で生きている」という話を聞きます。それは、「世界や視野が狭い」という文脈で使われることが多いです。しかし、「半径3m」の世界をこれほどまでに様々な言葉を尽くして表現するような彼らの世界観は、それはそれで、尊重すべきものではないでしょうか。遠い世界にひとっ飛びではなく、まずは足元を大切にする。明日も大事だけど、今日1日生きることを大切にする。このように日常や、身近なものを大切に生きていく日々の先に、将来が続いているのではないでしょうか。グランプリの「思春期モヤモヤ」は、そういった意味でも等身大の高校生のきもちをよく味わえた作品でした。今は進路調査で「その他」を選ぶしかなくても、そういう自分を背伸びせず認め、今できることを一生懸命がんばる…そんな毎日の積み重ねから、未来は創られていくはずです。審査講評