17歳からのメッセージReport2016

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17歳からのメッセージ1017歳からのメッセージグランプリ学生審査員賞金賞銀賞奨励賞学校特別賞応募参加高校一覧と感じ、拾わなかったりしてしまう。気づく、行動に移すという二つの動作は、人を助けることとよく似ている。だから、「ゴミの拾える人間」とは、周りの変化によく気づき、何かを変えようと行動を起こすことのできる人のことを言うのではないだろうか。私の将来の夢は、保育士になることだ。保育士の仕事と言えば、親に代わって子どもたちの食事や遊びの世話をすることだが、子どもたち、さらには親の心のケアも重要な仕事のひとつだ。そうしたケアをするためには、子どもたちや親の小さな変化に気づくことが必要だ。そして、それを見て見ぬふりをするのではなく、何かアクションを起こさなければならない。果たして、六年後の私は、「ゴミの拾える人間」になれているだろうか。きっと、ゴミ拾いなどの、小さな心づかいのできる人が、人の役に立つことができる人なのだと思う。今日の私は、これからの自分を見据え、ゴミを拾うことから始めていきたい。夢は夢として。でも…愛知県立半田農業高等学校(愛知県)山本瑞貴さん高校三年生。現実を直視しなければならない時期である。将来の夢も現実的に見て行動するべきだろう。だが、僕の夢は現実的とは言いがたいものだ。なぜなら、農業全般を扱う会社を設立し、農業のテーマパークを造る事だからである。農業高校でも今時、農業関係に携わる人は少ない。まったく関係の無い仕事。例えば自動車製造のような工業系に就職する人の方が断然多いと言えるくらいだ。農業高校出身者の中には、学んできた事を活かしたいと思う人もいるだろう。だからこそ、僕はそんな人達の活躍できる舞台を造りたい。僕の家族は皆、高卒の就職者だ。そんな環境のためでもあるが、やはり安定した職業に就くのが賢明なのだろう。だが、一切変えるつもりは無い。「プラリネ」という曲にこんな歌詞がある。悲しくなって悔しくなって自分にもっと夢を見るの僕は夢を実現するために、ある大学の農学部へ進学するつもりだ。これから先、上手くいかない事も多いだろう。だが、どんなに辛くとも、夢を見る。夢に向けて走り続けたい。突拍子もない夢から現実的な夢へ。ただ夢を見るだけだった今までの自分から、夢をつかみ取るため行動できるこれからの自分へ。周りは既に先を見て走っている。回り道でもいい、僕も走り続けたい。夢は眠るときではなく、目を開いて見るものだから。手をさし伸べる勇気桜花学園高等学校(愛知県)池田麻衣子さん私は父と電車に乗っていた。目の不自由な人が電車に乗ろうとしていた。その人は「すみません。」と声を出し、白杖を動かしていた。みんながその人を見ていた。すると、私の父は、その人の手をにぎり「こっちですよ。」と声をかけ、近くの空いていた椅子まで誘導した。私は父の姿を黙って見ていた。その人は父に何度もお礼を言っていた。日々、人間の醜い部分に触れ、寂しくなる。その一方で、人間の温かい部分に触れ、感激する。私が電車で体調が悪くなった時、私の異変に気付いて声をかけてくれた人。私が電車から降りたと同時に、私のかばんについていたストラップが落ちたことに気付き、ドアが閉まる寸前の電車から「落ちたよ。」と叫んでくれた人。人は、温かい。小さなことで人の心は明るくなり、暗くもなる。あの時の父の行動は、周りにいた人の心にどう映ったのだろう。きっと多くの人の心を、明るくしたことだろう。「人を悲しくさせるのは人。人を幸せにするのは人。人は人に影響する。」これは、16年間の経験から感じたことだ。今までの私は、「あの人を助けたい。」そう思っても思うように行動できなかった。一歩踏み出す勇気がもてなかった。そんな自分ばかりであった。でも私は、あの時の父のように、人々の心を明るくしたい。だから私は、勇気をもつ。そこに困っている人がいたら、手をさし伸べる勇気を。私のぬいぐるみ同志社女子高等学校(京都府)角田もなみさんぬいぐるみの心は空っぽ。ニコニコした表情が丁寧に縫いつけられている。抱きしめると、フワフワした体に私の体温が移って、まるで生きているかのような錯覚に陥る。ぬいぐるみの心を埋められるのは私だけ。私は友人を独占したい欲求によく駆られる。「私以外の友達と話してたら嫉妬する。」なんて伝えたこともあった。そして、同じことを別の友人から伝えられた。その時私は、こう思った。私はあなたのものではないし、私の心があなただけで埋まることはない、と。自分が言われることで自覚したのだ。私が望んでいたのは、友人が「ぬいぐるみ」であること。私が独占したかったのは、色んな経験をして完成した人格を持っている、私と違う体温を発している「人間」だったはずなのに。今日も私はお気に入りのぬいぐるみに話しかける。ぬいぐるみは生まれた時から私のことしか知らない。ぬいぐるみの心は私で満たされている。これが独占するということ。私が友人に望んでいたこと。相手を自分で満たしたかった、これは歪んだ自己愛だ。上手く自分を愛することができるようになれたなら、きっと友人を人間らしく愛せるようになるだろう。僕は聴覚障がいを持っている。大阪府立だいせん聴覚高等支援学校(大阪府)高野大輝さん僕は聴覚障がいを持っている。聴覚障がいは生まれつきで、補聴器をつけているが、全ての言葉が理解できない。そのことで、実際に経験した二つの出来事が印象に残っている。ファーストフード店で並んで、オーダーの時に店員に何と言われているのか分からず、「すみません。何て言っているのか分からないので、ゆっくり話してください…。」とお願いをしたことがある。その時には僕は聞こえないから仕方ないなあと諦めに近い気持ちでいっぱいになる。