17歳からのメッセージReport2016

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17歳からのメッセージReport2016

17歳からのメッセージ04今年も17歳からのメッセージにたくさんのご応募ありがとうございました。考えてみれば第1回に応募してくれた高校生は30代半ばになろうとしています。その中には子育て真っ最中だったり、そうでなくてもあの頃とはまるで違う想いを抱いている人もいるかもしれません。17歳を知りたい、目を合わせて生の言葉を聴きたい、私たちの試みはそこから始まったものの、いろんなものが変わっていくし、時間の流れは止めようもありません。そんな中、今年の「メッセージ」では「ソーシャルメディアのリアル」をテーマの1つに据えました。私たちの周りには新しい動きが現れるや、瞬く間にそれを「物語」にしつらえて、わけ知り顔で語る言葉が溢れ、私自身の想いであったはずの言葉が、どこか借り物やまがいものに見えることすらあります。そしてそれに私たち自身が慣らされてしまいそうな時もあります。でも、私たちにとってのリアルは、間違いなく私たちのものです。私自身のリアルはどこにあるのか。日々ネット上の情報を探り、さらされもしながら、日常の体験や身近な人の生の言葉に驚き、励まされ、自分だけの「本物」を探していく、その営みはこれからも続いていくはずです。そうである限り、私たちは、「あなたの言葉を聴かせてください。」と語りかけたいと思っています。いい文章とは何か。難しい問いですが、においや音を感じることができるというのも、その答えの一つではないでしょうか。グランプリや金賞に選ばれた作品には、視覚だけではなく、五感に訴えてくる力がありました。たとえば、海苔の仕事に従事する父親への思いを描いた作品もそうです。読み進めていくうち、ふと潮の香りをかいだ気がしたものです。おばあちゃんとのウォーキングをコミカルに描いた作品では、まさに「音」が主人公でしたね。祖母と孫の、その絆の深さを音で感じ取ることができた作品です。もう一つ、グランプリや金賞の作品には、ある特徴がありました。等身大の自分を、しっかりと書くことができているという点です。実は、自身を描くことほど、難しい作業はありません。特別支援学校の生徒は、消極的な自分の内面をラーメン屋のおばちゃんを鏡にして見事に写し出しました。高校生活の普段の様子を、ごく自然に描いた生徒の作品からは、その心の移ろいがストレートに伝わってきます。受賞した作品だけではありません。みな多感で、もろくて、でも、新鮮で。いまの君たちにしか書けない文章ばかり。どうか五感を研ぎ澄ませて、これからも書き続けてみてはどうかな?最終選考に残った作品は、どれも高校生らしい心の動きが、細やかに表現されていました。そんななかでも、高く評価された作品は、ふとしたなんでもない暮らしのひとコマから喜びや驚きを見出しています。そうした書き手の心のありかたやみずみずしい感性が、魅力ある文章を生み出す源になっていると思います。「ラーメン屋のおばちゃん」や「カレーの革命」はまさにそういった作品です。文章を上手に書く、ということは大切ですが、それに加えて「何を書くか」ということにもっと注目してもいいかもしれません。具体的には、日々の出来事について自分はどう思うのか、それはなぜか、自問自答したり、人と会話することで書くテーマを見つける、ということです。それを続けていくことで、感性が磨かれ、文章がより魅力的になるでしょう。それに、そのほうが毎日楽しく過ごせそうな気がしませんか?何を書くか、ということにつながりますが、もう一つ重要なのがタイトルです。「世界で一番の…」や「私の十七歳」などはシンプルな言葉でテーマがよく表現されていました。タイトルに使う言葉でずいぶんと文章の印象が変わりますから、タイトルは最後に見直してみましょう。今の高校生は、SNSなどで「書く」場面が多いと思います。少しこうしたことを意識すると、もっとたくさんの素敵な書き手が生まれてくるように思います。それはもしかしたらあなたかもしれませんよ。17歳からのメッセージ運営委員長近藤直美読売新聞大阪本社編集委員吉岡康生氏進研アドマナビジョンブック編集長原田絵里子氏審査講評