17歳からのメッセージReport2017

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応募参加校一覧17歳からのメッセージ2217歳からのメッセージグランプリ学生審査員賞金賞銀賞奨励賞学校特別賞「…まじか。」寝ぐせが取れない頭をおさえながら、私は一人つぶやいた。時の流れって早いなぁ。いつの間にか大人になって、新しく空へ飛ぶ時がくる。頑張れよ、空になった巣に勝手に思い、ペダルを踏んだ。それから一年、現在。自分の進む道を、私も決める時期がきた。「あ、まただ。」寝起きの頭上には、ツバメの巣ができていた。ひらひらと風に乗って私の目の前に一枚の写真が落ちてきた。なんだろうと思って写真を見ると先祖の人が大きな木を背景にして写っている白黒写真だった。「あれ?」私は何か違和感を感じもう一回、目を曝さらすと先祖の人ではなく一本の大きな木に目が留まった。ふと窓の外を見るとそこには全く同じ木が……。私はその木のことが気になりいろいろ祖父母に知っていることはないか聞いてみたが返答は「分からない。」の一点張りだった。せめて名前だけでも知りたいと思い、調べてみるとサワラという名前だと分かった。私の家の庭にあるサワラは葉が少ない。おまけに幹が細くまるでやせ細った老人みたいだ。しかし、たとえ弱っているサワラにとって嫌な天候でも負けずに頑張って戦っている。サワラは私に勇気と希望を与えてくれる。サワラを見ていると自然に気持ちが和らぎ「明日も頑張ろう!」と思えるのだ。私もサワラのように人を元気づけられる人になりたい。そしてどんな困難なことがあっても目を背けずきちんと向き合える人になりたい。もしサワラと話せることができるのならばサワラに言いたい。「あなたがいるからこそ私は毎日頑張ることができます。いつもパワーをくれてありがとう。これからもずっと長生きしてね。」と。サワラに教わったことセントヨゼフ女子学園高等学校(三重県)川本真帆さん後ろめたい気持ちにもなった。確かに努力したこともある。勇気を出して決断したこともある。しかし、あれは本当に頑張った、と言えるのだろうか。今の私は頑張っているフリをしている。勇気があるフリをしている。本当は手を抜いているのに、人に流されているのにそれを隠しているのだ。ノーベル賞を受賞した大村先生がよく使う言葉に「人と同じことをしていてはダメだ。」というのがある。人並みの努力や人並みの勇気では何も変えられないということだ。人と違うことをすると不安になるし、つらい思いもたくさんする。今までの私はそれが恐かった。それを避けていた。しかし、これからは自信を持って進んでいける気がする。私のすぐ近くにこんなに強く私を応援してくれる人がいる。くじけそうになった時はこの手紙を思い出そう。そしていつか必ず母に恩返しをしよう。勇気を出して努力していこう。朝からピーピー、ピーピー、足元には大量の、白いどろりとしたフン。目の前を素早く何かが通ったと思ったら、それはまた空へ流れるように飛んで、静かになった。ツバメだ。「あ、生まれたんだ」なんて、寝起きの頭で適当に考えた。どのくらいか前、うちのマンションの駐輪場に二羽のツバメが飛んでいた。その時もまた、起きて一時間半くらいの頭で、「あ、ツバメだ」とか思ってたんだろう。そこから間もなく巣ができて、いつの間にか卵を生んでいて、気がついたらひながかえっていた。「そんなに時間経ってたっけな」と頭上の巣をぼーっと見ていた。この間より成長していた。八月上旬。巣からはみでた黒い鳥。めまぐるしく毎日を過ごしている間に、彼らはちゃんとツバメになっていた。「成長早いな」とまた起きたばかりの頭で考える。親ツバメが飛んできて、子はまたピーピーと鳴き始めた。「元気だね。」と勝手に言ってから、学校に向かった。ピーピーが聞こえなくなった。見上げると空になった巣。ツバメ愛知県立鳴海高等学校(愛知県)本田萌々果さん「私はただ経済学という名の夢物語に酔いしれているだけだった。」グラミン銀行の創設者であるムハマド・ユヌスは自叙伝の中でそう語っていた。彼はグラミンで大飢饉が起こるまでは大学で経済学を教えていたが、その理論や公式は目の前で腹を空かせて死んでいく人たちの前では何も役に立たないことを痛感し、学びの場を大学キャンパスから貧困層の村へと移し今も活躍し続けている。ここにはどこか日本の学生として生きる私たちに通じるものがあるのではないか、私はそう思った。生まれてから小・中・高等教育を受け、私たちは教科書の中で戦争を知り、政治のしくみや国の在り方を学んできた。しかしそれはどこか現実味のないふわふわとした知識として頭の中に記憶され、返却されたテストの点数に酔いしれているだけであることを、私たちは大学生になるまでに気がつかなくてはならないのかもしれない。実社会や自身の生活に結びつけることができないのならば、教科書を通して勉強してきた事柄はただの夢物語でしかない、そうユヌスは私に教えてくれた気がした。そして私が日本という国に生まれ、これからの未来に多くの選択肢が存在するということは幸運なことである。私は頭の中の夢物語を役立つ技術に活かしていけるよう、道を選択していきたい。中学卒業の日。母から手紙をもらった。普段、私が「テストで百点取ったよ。」と言っても「当たり前でしょ。」と返す母のことだ。きっと怒られるのだろうな、と私は開けるのをためらった。しかし、思いきって読み始めると涙が止まらなくなっていた。「菜月は、努力する力と勇気を持ち合わせた人間です。だから、これからはもっと自信を持って道を作っていくこと。」私のことをこんな風に思っていたんだ…。嬉しさと同時に現実味のない勉強は…金沢大学人間社会学域学校教育学類附属高等学校(石川県)福居希沙乃さん母からの手紙北杜市立甲陵高等学校(山梨県)中嶋菜月さん