17歳からのメッセージReport2017

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応募参加校一覧17歳からのメッセージ4017歳からのメッセージグランプリ学生審査員賞金賞銀賞奨励賞学校特別賞頭が真っ白になり、監督が激怒して私に何かを言っている様だったがよく覚えていない。その日の夜は、自分に腹が立ち眠れなかった。「もうあんな情けない思いはしたくない。」そう思った。その日から無我夢中で白球を追った。辛くて何度も野球部を辞めようと思った。しかし、二年生の春、もう一度チャンスがやって来た。試合中、私は、正面に転がって来る打球を待っていた。「カキーン」来た!あの時の打球と良く似ていた。落ち着いて体の正面で捕球してファーストへ送球した。「アウト!」審判の判定を聞いて小さくガッツポーズした。私は高校野球生活の幕開けを今でもハッキリと覚えている。思い出すのも嫌で、野球が恐くなる。でも、アウトにした時の喜びが全てを良くしてくれる。喜びを覚えてしまった体はどんなに失敗しても、喜びに向かうために体を動かしてしまう。達成感を得るために動いてしまう。これだから辞められないのだ。小さい時、見ていた女子高校生は、スラッとしていて美人で……きっと私もこんな風になれると信じていた。けれど現実はそんなにあまくなくて、百六十八センチメートルの父と百四十五センチメートルの母の間に生まれた私は、十七歳にして百四十八センチメートルしかない。そう、私の夢に見ていた女子高校生像はあっけなく崩れてしまったのだ。低身長はあまりいいことがない。なぜなら、高校生に見てもらえない。私服でバスに乗ってお金を払おうとしたら「小学生料金でいいよ?。」とありがたいようなありがたくないようなことを言われたり、アルバイト中にお客さんに「中学生がバイトしてたらあかんで?。」と茶化されてしまったりする。若く見られるのは少しうれしいが、子供扱いされるのが腹が立つ。だから私は、低身長の自分があまり好きではない。牛乳を飲むなど、身長が伸びるような努力をしているが、いっこうに伸びない。まだ成長期がきていないだけだと思いきかせて高身長になりたい!徳島県立城西高等学校(徳島県)米田実柚季さん57歳スマホデビュー。先日、遂に父がスマホにした。父は約40年間大工をしている。だから、手はとても分厚い。そんな手で慣れないスマホを操作している。いや、正確に言うと、操作しようとしている。これまでガラケーだった父にとって、スマホは未知なるものだった。まず、最初に電話のかけ方を教えた。苦戦しながらも隣にいる私に電話をかける父。そんな父を見て、思わず笑みがこぼれた。次に検索アプリの使い方を教えた。ケーブルカッターと打ちたかった父。打てたと思ったら、「けえぶるかった」と打っていた。私が「小学1年生みたいじゃな。」と言った。すると「そうじゃ。1年生じゃ。」と父が言った。私は驚いた。いつもはプライドの高い父ができないことを認めたからだ。今までは父に色々と教えてもらっていた。しかし、今私が父に教えている。そんなことを考えると、自分の成長を感じ、嬉しくなった。と同時に、少し切なくなった。父はずっと父であり、自分のお手本である。私が父に教えてあげれることは何もない。と思っていたからだ。これからは父のスマホデビューを機に、分からないことは教え合い、日本一ではなく世界一素敵な親子にしていきたいと思う。「カキーン」という金属音と共に私の正面に地を這うようなゴロが転がって来た。私はグラブを体の正面に綺麗に出した。打球は私の股の間を抜けていった。私の股の間にトンネルが開通したのだ。それが私の高校野球生活の最悪の幕開けだった。高校一年生の秋の出来事だった。体中の毛穴という毛穴からブワッと汗が出てくるのが分かった。気が付いた時には選手交代でベンチに立っていた。遂に父が…岡山県立岡山南高等学校(岡山県)冨士本果奈さん辞められない理由広島県立広島工業高等学校(広島県)福田翔さん「あんた最近ほんと兄ちゃんとドライブばっか行っとらん?」…そうだね。明日私テストなのにね。「あんた今度の休み何するん?」…あ、そうだ。兄ちゃん姉ちゃんとご飯行くんだった。「あんたほんと、兄ちゃん姉ちゃん好きだね。」「まぁ、そうだね。」普段家の中では両親から小言を言われる私だが、一つ母から褒められる瞬間がある。それは、飼い犬のつばさの体調管理だ。「散歩も行ってあげなさいよ。」と度々言われるのだが、私でなくても祖父や姉がやってくれるのを見越して、ほとんどしていない。つばさは昨年の夏、熊本からうちにやってきた。熊本の動物保護センターに保護されていたが、四月の熊本地震直後、被災犬がどっと押し寄せてくるだろうと予想されセンターにいた犬は全国に送られ、つばさは岡山にやってきたのだ。池田動物園でつばさを引き取る時に聞いたのは、右足を骨折してさまよっていた所をセンターに保護されたと聞いた。そのためか、つばさの右足の皮膚は時折、炎症を起こし薬を塗ってあげなければならない。傷口に塗った薬をなめないように、首に巻く道具をつばさの首のサイズぴったりに画用紙で即興で作ったりする。「つばさに対してのその積極性、ほんまにすごいわぁー。」と母が言う。つばさのことを一番観察しているのは私だと母は言う。可愛いから撫でてあげ、見つめていると異変に気づく。薬を塗ったりすることは面倒だが傷が治っていくと嬉しい。めんどくさがり屋の私だが、つばさのことだと家族の中でも主導的に考え行動できるのは不思議だと思う。私はつばさによって、真剣に考え行動する機会を与えられているのかもしれない。ただ、つばさが可愛いというだけなのに。つばさ岡山県立岡山南高等学校(岡山県)栗林宣愛さん