17歳からのメッセージReport2017

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17歳からのメッセージ0517歳からのメッセージ奨励賞学校特別賞応募参加校一覧学生審査員賞金賞銀賞グランプリとある休日の朝。洗面所。コンタクトをつけるために鏡をはさんで自分とにらめっこをする私。コンタクトを両目につけてもう一度自分の顔を見る。「今日もダメか…。」左右非対称な目。左右対称な目を持つ人なんて、そうそういないが、私はそんな完璧さを求めているのではない。私は右目が一重、左目が二重。俗に言う片二重だ。母は両目が一重で父は右目が二重、左目が三重だ。着替えを済ませて洗面所に歩いてきた父に「父ちゃんの左目の線、一本欲しいんだけど。」と私が笑いながら言うと、「ひとえとふたーえ、あわせてっみえっ。」父は楽しそうに歌い始めた。一重と二重、合わせて三重。両目合わせたって父ちゃんの片目分にしかならないじゃんか。心の中でふてくされていると、「ふたえとみえ、あわせてっごえっ。」二重と三重、合わせて五重。そもそも、どうして合わせようとしたのだろう。きっと父に尋ねたとしても、「刑事の勘だ!」なんてよく分からない返事を返されるだけだと思う。サラリーマンなのに。謎の歌を満足気に歌う父の後ろ姿を見て、合わせて三重も悪くないな、なんて思ってしまうから不思議だ。父が思いつきで歌った歌でコンプレックスが解消されただなんて少し悔しいけれど、やはり父には敵わない。今までの自分、これからの自分テーマ1作詞・作曲父ちゃん山梨県立吉田高等学校(山梨県)土橋由芽さん私は発音が上手く出来ない。私が鮮明な発音も声の表情も聞いたことがないからだ。自分が理解しにくいものを再現するのは難しい。「お前の声、変やな。日本人ちゃうやろ。」小学生の時に、同級生から言われたことがある。その時、自分の発音が皆と違うと知り、その違いが恥ずかしくて段々と口数が減った。中学校に上がり、国語の最初の授業の朗読で、他の小学校から来た生徒数人が、私の発音を馬鹿にして笑った。彼らは私が難聴者だと知っていたが、それと発音が悪い理由が結びつかなかったのだろう。その日を境に、私は学校で声を出して話すことをやめた。自分の発音を聞かれるのが怖くて、担任に対しても声を発さなかった。そのまま三年が過ぎ、卒業式を迎えた。卒業アルバムに担任が書き込んだメッセージを読んで、私はハッとさせられた。「次に会った時は、声を聞かせてな。」短い文章の中に担任の思いが詰まっていた。本当は私がお喋りな性格で、家ではよく話すことを、担任は母から聞いて知っていた。学校で本来の自分を出せずにいた私を、担任は心配してくれていた。高校生になった今、初対面の人でも声を出して話すように心掛けている。自分の発音を受け入れ、周りの人々に理解してもらえるように努めている。目を背けてきたものと向き合うきっかけをくれた担任に、自分の声で感謝を伝えたい。手をつなぐこと。それはとても大事なことだと僕は思う。生きた言葉を声で大阪府立だいせん聴覚高等支援学校(大阪府)岩下愛さん人とのふれあいの中で…テーマ2手をつなげば東山高等学校(京都府)岩崎正孟さんグランプリ●4作品