17歳からのメッセージReport2017

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17歳からのメッセージ0717歳からのメッセージ奨励賞学校特別賞応募参加校一覧学生審査員賞金賞銀賞グランプリ「さっちゃん、一日一善したことある?」母にそう言われたのは15歳の夏、学校から家まで車で帰宅している時の出来事だった。一日一善という言葉の意味は知っていたが、実践したことはなかったので、「したことないで。」と言うと、母はハンドルを切りながら「そっかぁ。」と小さく呟いた。今までの自分、これからの自分テーマ1私だけの秘密高知市立高知商業高等学校(高知県)筒井皐月さんその日の夜、一日一善を実践してみたくなった私は、普段はしないであろう食器洗いを率先してやってみせた。母は驚いた様子でこちらを見ていたので、私は満足気で「一日一善やき。」と言うと、母は少し笑って「残念。一日一善は人に教えたらいかんがで。自分の中でそっと秘めちょくが。だって、人に教えたらそれで満足してしまうろ?」と言った。私は一日一善ができた嬉しさと、言ってしまった恥ずかしさが頭の中をグルグルと回り、15歳にして初めて、葛藤という言葉の意味を知りながら、夜を過ごした。17歳になった今、私は一日一善を実践しようと毎日心がけている。だが、私の母も口には出さないだけで一日に二善、三善もしていると思うと、素直に尊敬するし、母に追いつきたいとも思う。今日も私は、母の背中を眺めながら、誰にも言わない素敵な秘密を心に抱えて生きてゆく。「なんくるないさ」今までの私は、この言葉の本当の意味を知らずにいました。私は、めんどうな事は「どーせ、どうにかなるだろ」と思い、いつも後回しにしてきて、「明日やればいいさ」「誰かがやってくれる」そんな事を思いながら生活をしていました。ある日、社会の先生から「沖縄の良い所を探す」という課題が出されました。私は方言について調べ、「なんくるないさ」という言葉を見つけました。ノートに「なんくるないさ=どんな事もどうにかなる」と書き、先生に提出しました。なぜこの言葉を選んだのかというと、私の性格と同じだと思ったからです。先生からノ―トを返却され、コメントをなんくるないさ沖縄県立那覇商業高等学校(沖縄県)玉城吏乃さん金賞●8作品ビクビクしながら生きている。だから、けんかなんてもってのほかなのだ。でも、母の一言にイラッとすることだってある。それでも、言い返すことがあっても、素直に謝るようにしている。母はたまたま病気になったけど、それは特別なことでないし、私も特別でない。これは全員に同じくらいありえることだと知っていてほしい。私はできなくなってしまったけれど、親子げんかってとても大切だと思う。でも、その分たくさん笑ってほしい。本当に、親も人間だから、いつまで一緒にいられるか分からない。守られてばかりではいられない。だから、親を大切にしてほしい。少しだけ暗い話になってしまってごめんなさい。でも、これだけは言いたかったんだ。タイトルの「今、親とけんか中のあなたへ。」に惹かれました。このタイトルを見てまさに自分のことだとドキッとした人もいるのではないでしょうか。私自身、図星をつかれましたし、高校一年生でこのような文章を書けることは素晴らしいなと感じました。思春期ど真ん中の高校生時代には進路のことや人間関係のことなど様々な悩みが増え、親と喧嘩することも増えるでしょう。親の存在が鬱陶しいと感じることもあるでしょうが、作者は母親が病気になったことで親と喧嘩できることがいかに幸せなことかをこの文章の中で訴えかけています。「うらやましい」や「こわい」など、ところどころに見える高校生らしい本音に心を打たれました。メッセージ性が強く、まさに記念すべき17回目の「17歳からのメッセージ」にふさわしい作品だと思いました。高校生の皆さんにとって親の病気や死というものはまだ遠い存在かもしれません。しかし、必ずいつかは別れが来るものです。この文章の中にもあるように、それは特別なことではなく、全員に同じくらいありえることです。親との関係だけでなく、何事においても後悔の無いように充実した毎日を送っていただきたいです。経済学部3年生三浦絵梨花さん学生審査員講評