学長・野風草だより

No.269

No.269 2012年9月18日(火)

春学期の卒業式

 春学期の卒業式がC31教室で行われました。学部生が95名、大学院生が6名でした。皆さんのこれからの活躍とご健勝をお祈りいたします。以下は、その時の私の式辞です。

○2012年度春学期 卒業式 式辞

Ⅰ 先輩たちに学ぶ
 おはようございます。卒業生、大学院修了生の皆さま、おめでとうございます。ご参列のご父母、学費負担者の皆さまにも、心よりお慶び申し上げます。
 最近、何人かの卒業生たちと会いましたので、最初にその紹介をしたいと思います。今年3月に卒業した学生は、フリーターをしながら演劇の道を歩んでいます。つい先日公演があり、来て下さいということで見てきました。終わってから話しましたが、30歳までにプロの舞台俳優になれるように努力してみると抱負を語っていました。彼は在学中に映画研究部の部長をしていましたが、マイナーな芸術系クラブを何とか目立つようにしたいと頑張り、最後に全国コンテストで準グランプリを獲得しました。
 この9月に東京に出張した折、今は計測器メーカーの営業マンとして働いている、卒業して3年目の私のゼミ生と会いました。学生時代の思い出は、サークルでサッカーをやれたことと、卒業論文で先生にいじめられ、「てにをは」の表現や句読点にいたるまで徹底的に厳しく指導されたことだと言っていました。営業報告書などを毎日書くようになって、今になってやっと厳しく指導されたことを良かったなと思えるようになったとのことでした。遅いんじゃ!と言いながら、酒を飲みかわしました。
 私のゼミ1期生は、もう48歳にもなります。大阪の文房具やオフィス機器の会社に勤めて、同期入社組でトップを走っていましたが、会社の合併統合で再び1営業マンとして頑張っています。彼には大経大の歴史と黒正巌の精神を教える新入生特殊講義で、6月末に来てもらい話してもらいました。取引先の方に言われた「出来るか出来ないかではなく、やるかやらないかが大切だ」というのを座右銘にしているそうです。
 8月の末に私の研究調査で、長崎県の五島列島に行きました。帰りに卒業生であるジャパネットたかたの高田社長に、日頃よりお世話になっているのでお礼を述べに佐世保まで行ってきました。すごいビルの隅っこにジャパネットたかたの前身である高田カメラ店の小さな模型がありました。学生時代は勉強せんとESSクラブで英語ばかりやっていたそうですが、卒業してしばらく機械メーカーで働いたのち、実家でカメラ屋さんから始めたそうです。ちょうどインターシップで4人の学生がいて、激励してきました。現在63歳の社長の口癖は、「いつまでも夢を持とう」ということだそうです。
 つい先日には、本学が現在の新制大学になった1949年に入学して、大手メーカーの副社長まで務めた83歳の方にお会いしました。初代学長の黒正巌博士の講話を何度か聞いたそうです。今でも覚えているのは、「無用の学をやれ」。目先のすぐに役立つような勉強ばかりしていてはダメで、無用の学をため込んでい るといつか役に立つことがあるとの教えです。会社を引退して今になって、つくづくそう思えるとのことでした。また、何かお世話になったら、必ず自筆でお礼の手紙を書きなさいと言われていたそうです。その方は、会社の机の抽斗に、いつも鳩居堂の便箋と封筒を入れていたそうです。60年たっても、教えは伝わり生きているんですね。

Ⅱ 道理は天地を貫く
 皆さん、これから行ったり来たり、右へ左へフーラフラ、プラスとマイナス、いろいろあるでしょうが、こうした夢を追いかけている先輩たちがたくさんいることを忘れないでいてほしいと思います。皆さんを含めて8万7千人の大経大卒業生がいるのです。
 初代学長の黒正巌博士は「道理は天地を貫く」と言われました。新しい守衛室の横に、黒正博士の胸像と並んで、石碑があります。おそらく皆さんは、この4年間であまり聞いたことなかったかもしれませんが、この機会に覚えていて欲しいのです。そして帰りにスマフォで記念撮影しておいてください。日本で、世界で大経大しかないただ一つのもの、大経大オリジナルです。いろいろなことがあっても、結局道理は天地を貫いているんだ。人が生きていくうえで道理とは何だろうかと、一生考え続けて欲しいと思います。
 私は、この言葉を私なりに理解して、「志を立てて貫く」、そして「おかげさまと感謝して祈る」と言う言葉を卒業する皆さまに贈りたいと思います。「志を立てて貫く」「おかげさまと感謝して祈る」、覚えていてほしい。いつかどこかできっと、ふっと甦ってきます。

Ⅲ 80年の大樟
 本学は本年創立80周年を迎えます。この大経大でも80年を生き抜いたものがあります。何だかわかりますか?それは、B館の横、J館の前に1本大きな樟がありますよね。あれなんです。学歌2番に「学徒師弟が幹負い持ちて諸汗に しっかと植えた融和のシンボル」とありますが、まさにこの樟なのです。近くの菅原の古い家から移したものです。ずっと見守ってくれていたのです。帰りにそっと触れて下さい。「ありがとう」と声をかけてください。生きてるんです。きっと気持ちは伝わります。
 新しい体育館・学生会館も出来ました。G館の横に図書館、そしてJ館。皆さんには間に合わなかったですが、ごめんね、取り壊した本館の跡には、地上45mの大きくて高い大経大のシンボルとなるような教室棟が出来ます。大経大の建物はすっかり変わっていきます。時折、母校を訪ねてきてください。100周年は2032年です。20年後、皆さんは43歳くらいでしょう。その時あの大樟と再会しませんか。樟は大経大のメモリアルツリーとして、その時もきっと生きています。

 最後に皆さんに1つだけお願いして終わりとします。今日帰ったら、大学に行かせてもらったお父さん、お母さん、学費を負担していただいた方に、卒業証書を見せて、「ありがとうございました、おかげさまで卒業できました。」と感謝の言葉を述べて欲しいと思います。ケジメです。今、皆さん、心の中で、言ってみて欲しい。
 私たち教職員は、皆さんとともに過ごせたことを感謝します。ありがとう。大経大の卒業生であることを誇りに思って、「大経大プライド」「大経大プライド」を持って、これからの人生を生きていってください。卒業おめでとう。