学長・野風草だより

No.324

No.324 2013年1月21日(月)

日本の伝統芸能である文楽を鑑賞

 大阪市からの補助金問題で揺れている文楽を大阪・日本橋の国立文楽劇場に鑑賞しに行きました。昨年は古典芸能のうち歌舞伎を楽しみましたので、今年は趣向を変えてみたいと思った次第です。文楽は、今から10年前の2002年に京都造形芸術大学の春秋座で、「仮名手本忠臣蔵」を見たことがありますが、よく覚えていません。今回は、義太夫語りで人間国宝の竹本住大夫が、5カ月の療養を経て舞台復帰するというので、これは見ておかないと思い出かけました。私の見た演目は、「寿式三番叟」、「義経千本桜 すしやの段」、「増補大江山」でした。新春正月の気分があふれていました。

 竹本住大夫は現在88歳の高齢ですが、五穀豊穣・国土平穏を願う「寿式三番叟」では、「とうとう、たらりらたらりら、たらりあがりららりとう」と、翁を朗々と語っていました。舞台復帰した喜びを、文楽劇場のホームページに、次のように述べています。「お客様の万雷の拍手に胸が詰まりました。本日の舞台も、お客様の励ましによって勤めることが出来ました。ただただ感謝するばかりです。今後もリハビリを続け、よりよい舞台を勤められるように努力することが、御恩返しになることと思っております。 正月三日 七世竹本住大夫」。いやはや、大したものでした。『なほになほなほ 私の履歴書』(2008 日本経済新聞社)を読むと、修業の厳しさや芸の奥深さが何となくですがわかってきます。歌舞伎の中村吉右衛門や片岡仁左衛門との対談が楽しいのも、ちょうど彼らの生の舞台を見ていたからでしょう。

 文楽には全く門外漢でしたので、入門書にと思い、三浦しをんさんの『あやつられ文学鑑賞』(2007 ポプラ社 2011 双葉文庫)を読みました。大変わかりやすく、勉強になりました。「睡魔との戦い」でいい脳波が出て寝てもいいんだよと言っていただくと、ごっつう安心して出かけられます。故郷の内子座のことが出てくると、数年前に訪ねていたのでうれしくなりました。三浦さんの小説は、『まほろ駅前多田便利軒』、『神去なあなあ日常』、そして『舟を編む』を読んでいて好印象を持っていましたが、この本で完全に三浦ファンになりました。当日はパンフに床本が付いており、舞台の最上部に台詞が字幕で出てくるので、ストーリーもよくわかりました。義太夫の人間国宝である竹本源大夫、三味線の人間国宝・鶴澤寛治の芸、そして人形遣いの桐竹紋壽、桐竹勘十郎の芸などを、4時間たっぷりと堪能させていただきました。これは、はまりそうだ。あやつられてしまいそう!竹本座の紋が我が家の家紋と同じ「丸に九枚笹」であったので、ご縁が続きそうだ。