学長・野風草だより

No.363

No.363 2013年5月12日(日)

大阪の文化と人情を味わう近畿農書を読む会

 近畿農書を読む会は、1981年から毎年5月に近畿はもとより全国の農書を訪ねてきました(関西農業史研究会 http://www.ka-ahcs.org/)。30年を越えて、今回は地元大阪に戻って、農業史にかかわる史跡や農家を回ることになりました。JR新大阪駅に東京から、福岡から、関西からと10数名が集まり、マイクロバスで出発です。東大阪市にある鴻池新田は、江戸時代の宝永年間の大和川付け替えに伴い豪商鴻池家が開発した新田です。会所は新田の管理をした事務所のようなもので、現在まで残っており、国の史跡・重要文化財に指定されています。重厚な造りの本屋の中で、新田や河内木綿の歴史などに関して学芸員の軽妙な説明に聞き入りました。

 その後は、羽曳野市の河内ワイン館です。生駒山麓の柏原市などでは、明治中期からブドウ栽培が盛んとなり、ワインも醸造されました。私たちが訪ねた河内ワイン館も、昭和9年から始めて今は3代目とのことでした。3代目の奥様の専務さんにワイナリーの案内していただき、ワイン館で自慢のワイン、梅酒を試飲させていただきました。私はお酒はかなり好きなほうですが、ワインだけは悪酔いするので敬遠していました。それは安物しか飲んでいないからでしょうと一蹴され、まあ飲んで見て下さいと勧められました。確かにオイシイ!!!。専務さんの見事なしゃべくりに引き込まれ、フランス語での落語をお聞きしながら、赤、白、そして昨年産はじめ各年の産、次々と飲んでしまいました。日経新聞の「何でもランキング」の梅酒で、河内ワイン館の「布袋福梅」が見事1位に輝きましたが、まさに「飲む梅」です。お土産に買って帰りました。

 泊まりは泉佐野市の犬鳴山温泉で、ワインの酔いをさまし、楽しい懇親会となりました。太閤秀吉が愛したという幻の銘酒「天野酒」(河内長野市)を飲みながら、いつものように遅くまで語り合いました。朝風呂ですっきりさせてから、泉佐野市の水茄子農家を訪ねました。泉州の水茄子は、不思議なことにここでしかこの味は出ないのだそうです。大和屋さんという農家で、この界隈では最上級の水茄子を作られるそうです。おもに奥様が中心になってハウスと露地で作られていますが、土作りが一番のポイントだと話されていました。いろいろな方に教えていただきながらここまでやって来ただけというお話に、いのちを育てる農家の名人の奥ゆかしさを感じました。水茄子は浅漬けして販売されており、その場で頂きましたが、まことに美味でした。早速、自宅に送ってもらうことにしました。これをアテに一杯・・・と想像するだけでうれしくなります。2日間、大阪の農業に関わる文化の深さと技の伝承を実感することができました。そして、お話しいただいた方々のしゃべくりの味わいもまた格別でした。さすが、オオサカ!