学長・野風草だより

No.378

No.378 2013年6月7日(金)

地域文化論でエチオピアからのメッセージ

 私は本来は日本経済史と地域文化論を担当していますが、忙しいため非常勤の先生にお願いしています。地域文化論は、昨年までアジア文化論をお話ししていただいた先生が転勤となり、今年からアフリカ文化論が専門の中村香子先生に来ていただいています。D16教室は、300人ほどの学生で一杯です。中村先生は、最近、授業最後に書いてもらっている感想文がものすごく刺激的になってきて、学生さんたちの感受性に感激しており、文才もありとても楽しんでいます、と授業の様子を伝えてくれました。安心しました。是非アフリカの友人を特別講師でお招きしていただいたら、学生たちにすごくいい刺激になるとお話したら、早速実現していただきました。
 エチオピアの民族衣装を着た中村先生が、マモさんとエチオピアのコーヒーをいれるなんて、地域文化論ならではの光景ですね。マモさんの日本文化論、まさにピンポイントで正鵠を射てますね。日本社会が近代化の中で得たものと失ったもの。日本文化の根源には、「おたがいさま」「おかげさま」の感謝と祈りがあったはずです。初代学長の黒正巌博士は「道理は天地を貫く」と、喝破されました。夕方近くの料亭で、感謝の気持ちを込めて、中村さんとマモさんに日本料理を食べていただきました。マモさん、ありがとうございました。8月に学会で京都に来られるとの事、今度は貴船の床料理でも堪能しましょう。

○中村香子先生のコメント
 6月7日の地域文化論の講義では、エチオピアのアジスアベバ大学のマモ・ヘボ先生に、エチオピアについて語って頂きました。エチオピアはアフリカの東部の国でコーヒー発祥の地として有名です。独特のコーヒー文化が人々の生活の中に生きています。講義の中では、コーヒーの生豆をローストして壺でコーヒーをいれる「コーヒー・セレモニー」のプロセスをマモ先生がやってくれました。大教室いっぱいにコーヒーの香りが充満しました。この香りとともにエチオピアが学生のみなさんにとって忘れられない国になるのではないでしょうか。「エチオピアの方に直接エチオピアの話を聞けてよかった!」という感想を書いてくれた人がたくさんいました。また、マモ先生をうならせた質問・感想も多くありました。たとえば、「マモ先生から見て、日本と日本人の長所と短所をおしえてください」この質問、マモ先生は1晩考えさせてくださいと言って翌日に以下のように答えてくれました。

○マモさんの日本文化論
 「日本人のすばらしいところは、やることを本当にきちんとやることです。それはどんな仕事をしている人にも言えることです。たとえばエチオピアでは、レストランで注文したものがすべて注文どおりにきて、その計算が合っていることのほうが珍しいぐらいですが、日本では間違える人はほとんどなく、もし間違えたとしたら、その人は本当に申し訳ないという気持ちで謝ります。こうした日本人の正確さと質の高いものをめざす気持ちというのは、世界で一番だと思います」
 「私は日本に来たばかりの頃、自転車に乗れず、乗り始めたときにひどい転び方をしたことがあります。すぐには起き上がれないぐらい頭も身体もひどくぶつけました。その時、まわりにはたくさんの人が歩いていましたが、『だいじょうぶ?』と声をかけてくれるどころか、こちらを見る人すらほとんどなく、皆、忙しそうに去っていきました。エチオピアではあり得ないことなので、そのときのショックは忘れられません。日本は経済が発展しています。経済が発展すると、人間は個人主義になり、『忙しい』ということがとても大切なことになります。それが大切になりすぎると、他人への関心が薄くなってしまい、人生は少しさびしくなってしまうかもしれません」