学長・野風草だより

No.402

No.402 2013年8月21日(水)

美術の展覧会での2つの衝撃

 自宅の近くの京都国立近代美術館で、陶芸家の鈴木治(1926~2001)の展覧会があったので出かけました。全く知らない人でしたが、戦後の日本陶芸を代表する方だそうです。「使う陶」から「観る陶」、そして「詠む陶」へ、とキャッチコピーにあります。器としての用途を持たず、純粋に立体造形としての芸術性を求めた作品群は、当時から驚きをもって迎えられたそうです。日用雑器として、全国各地の安い陶器や磁器を「使う陶」として愛用している者からすると、見ていてビックリ仰天の連続でした。「観る陶」は、いろんなイメージを掻き立てられておもしろいのですが、「詠む陶」はなかなか難しいものがありました。それでも陶器でこんな世界があることを知ったのは、大きな喜びでした。

 東京へ全国大会に出場した弓道部と準硬式野球部の応援に出張した折、移動の電車内の広告で、「大野麥風展」があるのを知り、東京ステーションギャラリーに寄りました。広告の魚の絵を見た瞬間、どこかで見たことあるなと思いました。自宅で旧暦に基づく暮らし方の本を見ているとき、よく「旬の魚」で紹介されていたのです。本を読んでる時は「大日本魚類画集 大野麥風」とあるので、江戸時代のものと勝手に思い込んでいました。大野麥風は、1888~1976と、現代の人だったのです。日本画から博物画へ移り、魚が棲息する海や川の景色を入れる新境地を開拓しました。和歌浦沖では潜水艇に乗って、魚の生態を観察したそうです。しかも、1937年に発行された「大日本魚類画集」は、木版画集だったのです。ええっ!!!原画から木版画になるまで数十回の刷りをしてるのでしょうが、細かく指示をしている途中のものも展示されていました。すばらしい展覧会でした。